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活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(29)―フォント千夜一夜物語(62)

『21世紀の本文用書体の開発』

これからの日本語用の本文書体の開発には何が求められるかである。活字時代、写植時代、そしてデジタル環境においても、本文用書体の中心は明朝体であろう。

つまり明朝体は、読者の視覚に最も馴染んだ活字書体であること、そしてリョービには評価の高い「本明朝シリーズ」があるからだ。これが「本明朝-Book」開発の起点になっている。

●本明朝Bookの開発コンセプト

1.判別性と可能性を重要視して、適度の黒味と安定感のある本格的本文組み新書体を創造する。

2.活字本来の柔軟性の再現のために、デジタル効果の過剰な露出を避けて、エレメントに人間の手法としてのアナログの要素を取込む。

3.書籍と雑誌の本文用専用書体として使途を意識する。そのために句読点、括弧などの約物の位置や大きさを再検討する。

4.縦組み用・横組み用の専用かな書体を開発する。またふりかな(ルビ)用のかな書体の開発も重視する。

5.和欧混植に対する、本格的で多彩な組版の実現のために、従来の枠組みを超えた本格的な欧文書体を開発し、パッケージに同梱する。

これらが開発コンセプトの骨子である。と同時にできるだけ奇異な形姿の出現を避けることや、独自の字体の解釈を避けることにも留意した。

新書体の「本明朝-Book」は、あくまでも広範な読者からの評価の高い「本明朝シリーズ」を基盤として、単なる本明朝シリーズの拡張を超えたプロフェッショナルな文字組版を満足させるものであり、充実した文字種の提供(外字の対応)、最新の組版環境への対応なども考慮している。

ともすると、日本の代表的な本文用書体には、その使用範囲が余りにも広範囲に設定されてきたきらいがある。つまり見出しのような大サイズから、本文用の小サイズまでを共用することや、縦組みにも横組みにも対応できることが求められてきた。

「本明朝-Book」は、あくまでも「本明朝シリーズ」のなかにある新書体として、その字体と形姿は既存の本明朝シリーズと同一のものとして、使途に応じた多様な選択に応じられるように柔軟性をもたせた。

そのウエイト(太さ)と黒味(テクスチュア)は、「本明朝-L」と「本明朝-M」の中間に位置付けた。また「横線」をやや太めに、「ふところ」をややしぼって、ダズリング・イフェクト(幻惑効果)の発生を防止した。

「ダズリング・イフェクト」とは幻惑効果のことで、タイポグラフィ用語では「目がチカチカ」して読みづらいことをいう(つづく)。

※資料リョービイマジクス「本明朝Book」より


【参考】プリプレス/DTP/フォント関連トピックス年表
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フォント千夜一夜物語

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2005/04/09 00:00:00


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