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印刷業のIT戦略を考える人のために

ITとは、情報技術という意味であるが、最近はいろいろなところでIT戦略という言葉を聞く。例えば金融業界でのIT戦略が今注目を浴び始めているが、ネットワークを利用して個人資産活用や投資情報提供など、いろいろなサービスが出始めているからである。

 また産業界においては、自動車産業における部品調達や食品産業の材料調達などをはじめとして、今注目を浴びているサプライチェーンマネージメントもIT戦略である。ネットワークを利用して資材調達を自動化するとか、需要予測を小刻みに行って在庫量をコントロールするなど、いろいろなところでITを利用し始めている。
 これらは、基本的には企業レベルまたは企業グループレベルでネットワークを利用した情報活用を行っていくことで、IT戦略と呼ばれている。

 印刷業界においても、セレクトバインディングやCTP利用による現地印刷などは基本的にはIT利用である。またこれからは、顧客へのサービス化のための情報活用、社内業務の自動化のためのシステム造りなど、IT利用は印刷業の生き残りのための技術となりつつある。
 また印刷業を取り巻く環境も、マニュアルやパッケージ系などの印刷においては、産業界からのサプライチェーンへの取り組みなどの要求もされはじめており、印刷業側の対応にもIT利用への圧力が出始めようとしている。

 印刷業界では、デジタル化ということでDTPやCTPの導入などいろいろなデジタル生産設備を導入してきている。また同時に多くのデジタル情報を作成してきている。画像もスキャンすればデジタル画像になり、イラストも同様で、SGML化などをはじめテキストもどんどんとデジタル情報になってきている。今後はこれらデジタル情報をどう活用するのか、また顧客との関係をどうデジタル化するのかなど、ITを利用することは当たり前にならなければならない状況になりつつある。そのためにはIT戦略が必要であり、このIT戦略は経営レベルでの課題として、設備、人材、及び企画提案力などが要求されつつある。

 IT戦略というと、非常に大きな意味のように聞こえるが、実際には、一つの生産の流れや業務の流れレベルからIT利用を始めるというのが実際である。印刷業からみると、一つの業務の流れとして、顧客との関係と社内生産の流れで製品クラスから取り組む例が多い。しかし取り組むのと取り組まないのでは、大きな違いになる時代になりつつある。このためにも、部分的な取り組みに対するIT利用からでも取り組む必要がある。

 PAGE2000は、「グラフィックアーツのIT戦略」というテーマで池袋サンシャインシティコンベンションセンターで2月2日から4日まで行う。同時開催のコンファレンスには、これらの要素を取り上げたセッションが盛り込まれている。IT戦略としての技術系のセッションには、「ネットワーク戦略」「サーバ/データベースの仕組み」、「DAM、アセッツ管理」などがあり、印刷会社がネットワークにどう取り組もうとしているのか、情報を管理、配信する仕組みの傾向、またデジタル資産を運用管理する仕組みについてなどをそれぞれのセッションで行う。
 また、JAGATではIT戦略を検討されている方々のためのワークショップとして,印刷会社のためのIT戦略ネットワーク管理ワークショップも行っております。更に、2月27日〜3月4日には,米国におけるネットワーク利用の視察ツアーも行いますので、どうぞご利用下さい。

2000/01/08 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会