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MIS/JDFを進めるCIP4の新たなワークグループ

JDFフォーラムジャパンがスタートして1年が経過した。参加者はJDF関連ベンダーの実務者が中心であり、印刷会社がデジタルネットワークで結ばれるMISなどの管理システムと生産機器によって、印刷企業が全体最適を目指 すため情報発信をさまざまな機会を捉えて行なっていく。
本年2月に開催されたJAGAT主催のPAGE2005でもMIS/JDF Zoneで企画展示を行ないったが、インパクトを感じ取った来場者が多数あったことが報告された。また、CIP4によってもPAGEがCIP4公認のJDF展示会として認証された。 またPAGE2005にあわせて制作された「JDFマップ」は、全印工連などの団体を通じて広く配布し利用されている。
以下は、2005年4月18日に開催された、第8回JDFフォーラムジャパンのメンバー報告である。

1.CIP4の動き
(1)あらたなワークグループ
CIP4の新しい動きに、ワークグループの中に「ジャパニーズユーザーグループ」を作る準備が進められていることが報告された。これは日本国内でのJDFに対する議論の場を提供していくものとなる。ユーザーグループ登録はCIP4の会員になる必要はなく無料となっている。CIP4会員用に公開されているコンテンツは閲覧できないがユーザーグループのコンテンツは閲覧可能となる。

また、CIP4では、米国の印刷機関であるGATFが提唱していたJDFのサーティフィケーション(証明, 検定)のワークグループができることになった。あるJDF対応製品がJDFに適合しているどうかという、検定と証明などを行なうという。GATFではサーティフィケーションサービスを提供するという。しかし具体論になると、ビジネスとテクニカルの両方の課題など、いろいろな議論が出ているようだ。そもそも何が検定されて、何が証明されるのか? その対象はハードなのか、ソフトなのか、または両方なのか? その検証用テストツールを誰が作るのか?、テスト範囲は?、何をテストするのか? うまくいかなかったらどう対応するのか? テスト費用?、海外で行なう場合の旅費などの負担、その他いろいろな議論しなければならないことがあるという印象であるという。しかしIPAX2006(イギリス)までには、認証されたJDF製品を出荷したいということになった。

(2)Interop(相互互換テストとワークグループ討議)
2005年1月24〜28日には、定例になったCIP4のInteropがハイデルベルグ社のサポートにより、同社のプリントメディア・アカデミー最上階にある会議室で開催された。今回のインターオペラビリティ(相互互換)テストへの参加者企業は24社、またテクニカルミーティングへの参加は、ヨーロッパでの開催と言うこともあって、一時は100名近い参加者があった。

24〜25日の二日間で行なわれた相互互換テストは朝8時頃から夕方6時まで作業が続けられた。26〜27日の各ワーキンググループによるミーティングと、28日にはそれらのワーキンググループの議論の内容が報告された。相互互換テストは、参加各社が適当な相手を見つけてそれぞれのシステムで、ホットホルダーかhttpによってJOBの送受信がきちんと行なわれるかのテストが行なわれる。例えばMISからJDFを発行して、各機器のコントローラが正しくJOBを受取れるのか。また、JMFシグナルの送受信では、コントローラ側から機器のステータスを返してみて、その結果がMIS側に正しく受取れるのか、などをテストしていく。

テスト結果は非公開であるが、マトリクス表の形で発表される。接続性のレベルなどが示される。しかしこのテストは各社の開発者がその結果を参考にして、自社システムを改善していく参考にするものであるため、限られた条件で行なわれること、相互接続してテストするのは各社のシステムを開発者がノートパソコンで持ち寄って行なうものであり、生産装置そのものではない。従って、発表された結果は、JDF対応の生産装置の性能を評価することが目的ではない。さらに、相互互換テストでは開発者たちによるテスト的な試みも行なわれるので非公開になっている。

印刷に関連するワーキンググループの報告では、今までのバージョンには盛り込まれていなかった、受注(JOBオーダー)後の変更が管理できる仕様が、JDFバージョン1.3に入ってきた。またコンベンショナルプリントのワーキングからは、関連のICSがリリースされる。

MISワーキングからの報告では、httpsによる双方向への認証ということで、ネットワークでデータをやり取りするときの、データのセキュリティ(安全性)の議論が具体的になりつつあって、これらもJDFバージョン1.3に含まれてくるということで、次回、4月に米国ピッツバーグで開催されるInteropでお目見えすると言う話も出ていた。また、ファンインとファンアウトというのがあらたに出てきて、複数の機械とコントローラやMISのことで、各々の対応についてドラフトを作成し検討中である。

2.JDFフォーラム参加者から
・JDFは手段なので、何をもってメリットとするのか。目的を明確化しなければならない。
・印刷会社ではMISシステムを単に伝票発行器と見ていて、管理としてのMISやJDFまで未だたどり着かない。
・プリプレスは印刷・加工へのトリガーであり、前後の生産機に影響したり影響を受けたりという、要のポジションにいる。
・MIS、プリプレス、印刷、加工のJDF対応は印刷会社に大きな効果が出る環境は整ってきた、次は印刷会社はどう使うかの段階である。
・加工機はアナログ的なところも多いが、ここをデジタル的に管理することのメリットは大きい、そして各機器が連携することの方法としてJDFがある。

3.各地で無料セミナーを計画
JDFフォーラムジャパンが主催者となって、「全体最適をめざす印刷CIM構築」(JDFによって従来のMISとはどこがどのように違うものになっていくのか?)についてのセミナー・パネルディスカッションを計画している。
(予定)
東京会場: 7月14日(木) 国立オリンピック記念青少年総合センター(代々木公園)
名古屋会場:7月 5日(火) メルパルク名古屋(千種駅/名古屋市東区葵3-16-16)
大阪会場: 6月21日(火) メルパルク大阪(新大阪/大阪市淀川区宮原4-2-1)
福岡会場: 未定

2005/04/27 00:00:00


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