本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

無視して通れないネットマーケティング

インターネット普及による社会の変化

日本国内のインターネット人口普及率は、総務省の発表によると、2003年末の時点で60.6%で、世帯普及率は88.1%、事業所普及率は82.6%、企業普及率は98.2%であった。
インターネットの影響はあらゆるところに及んでいるが、そのひとつには情報収集に対する考え方の変化がある。同じく総務省の調査結果によると、迅速性をメリットと考えるが80.3%、情報収集や情報検索には最初にインターネットを利用するが68.1%(総務省『情報通信白書2004』)からも分かるように、情報をアクティブに取りに行く人が増えている。

同じく総務省のデータによると、インターネットによる情報収集は仕事、勉強、趣味・遊び、旅行・お店、生活など、ニュース以外は、既存媒体であるテレビ・新聞・雑誌・書籍を上回っている。特に顕著なのは、「趣味・遊び」、「旅行・お店」の分野で、インターネット利用において前者が85.6%、後者が78.9%に対して、次点の雑誌利用においては前者が35.3%、25.2%にとどまっている。つまりこの分野においては、情報を積極的に取りに行く消費者が多いということを表している。関連分野のサイトには必然とアクセス数が多くなり、広告媒体としてもインターネットの価値が上がることになる。

こういった流れの中で、2004年末に電通からインターネットの広告出稿費がラジオを抜いたという発表があった。これは、マスマーケティングで上から下へ流れていた情報が、Webサイトというマッチングの世界を演出する役割を担うようになったことを意味している。

新しい価値観

ネットマーケティングの広告費はマスマーケティングに比べるとかなり低く抑えられるので、これまで予算が取れずに広告展開が限定されてしまうような中小企業も、ナショナルクライアントと同じマーケティングのステージで競争できる。

インターネット広告のメリットとしては、レスポンスがすぐ返ってくるのでリアルタイム測定が可能になる、ログが取れるので顧客の行動を追跡できる、過去のデータを分析することによって未来を予測できる、ノイズの少ない情報を目的とする相手に送り届けることができるといったことである。
広告を出す企業は「費用対効果」を求めるが、インターネット広告ではログ分析により効果が明確に分かる。販売から購入後まで、消費者の行動を追いかけることは既存のマスマーケティングでは出来なかったことだが、それが可能になり、インターネットを通してコミュニケーションをとり続けることで優良顧客を育てることもできるのである。
さらにインターネット広告を2〜3年やっているとアクセス数が増えてくるので、企業名や商品名の認知度を上げることもできる。

ノイズの少ない情報がインターネット上で発信されるような時代では、大企業であろうと、中小企業であろうといやおう無く素をさらけ出すことになる。素の状態で人と人、企業と企業、企業と人はどうやって出会っていくのか?そのときにバナー、メール、動画、キーワード、モバイルなどのインターネット広告が出会いを演出し、マッチングさせる役割を担うのである。

広告を出す側にとっては、この現状を捕らえて生き延びる道を探らなくてはならない。そしてWebサイトの受発注に関係した企業をはじめ、DMを行う企業、インターネット事業に関わる企業にとっては、ネットマーケティングへの対応・提案は必須であり、その配慮のない企業は次第に仕事が減っていき、この時代に生き残ることが難しくなるのである。

2005/05/09 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会