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Quarkエンタープライズ・ソリューション,Quarkコンテント・マネージャ

QuarkXPressおよびその他のドキュメントやWebコンテンツのバージョン管理,再利用を効率的に行うコンテンツ管理システムを中心にクォークジャパンの堀野春雄氏にお話を伺った。

クォーク社の使命

 クォーク社の製品は,デスクトップパブリッシングのQuarkXPress,ワークフロー管理はQPS(Quark publishing System)という出版のワークフローエンジン,さらにコンテンツ管理(Quark Content Manager)がある。コンテンツマネジメントやワークグループで使うような製品に関しては,エンタープライズという名前を使って,Quark Enterprise Server Suite3というパッケージ名で欧米ではバージョン3を販売している。
 クォーク社の使命は,コンセプトを作る現場から,マルチ・チャネルで,例えばPDFやXML,オンデマンド印刷,プレート出力等一連の流れをサポートすることである。

 日本ではコンテンツの効率的なクリエイト・制作の部分でQuarkXPress製品を使ってもらっているが,管理や編集,とくにそれらの展開については,コンテンツマネジメント製品によって現実的なものにしたい。
 デスクトップパブリッシング,ワークフローシステムのQPS,コンテンツマネジメントのQCM(Quark Content Management)によって,DTPからワークフロー,コンテンツマネジメントを活用して,コンテンツ制作から配信まで一貫して提供できる。
 ユーザが抱える問題点として,以前使用したコンテンツの再利用が容易にできないことや,マニュアル制作等では日本語だけではなく多言語対応がある。

 また,レビューと承認のプロセスは,繰り返し作業があるので承認も大変である。
 現在はインターネットが普及し,世界中どこからでもアクセスできるようになった。QuarkXPressやInDesignで編集されたものが世界中のどこかにストアされて,最新バージョンを使用して次の仕事に渡すことができる。場合によってはクライアントが外にいて,その承認を早く取らなければならない。ノートPCを持っていき見てもらうのではなく,クライアントが自らWebを利用して承認することで効率を上げるということを提示したい。

デジタル資産管理の提案

・Quark Digital Media Server
 Quark Enterpriseのコアになり,コンテンツやアセットの受け渡し,カタログ化,保存,検索,アーカイブ等デジタル資産管理をする。例えば何月号の何ページ,何々特集というものが1つのファイルになっている場合,それを分散して保管し,バージョン管理して保存することが可能になる。
 これは,見出しや写真等,顧客の考え方によってパラメータを区切っていろいろな棚に収納し,それをマルチのインデックスで引くことができるようなものである。これができるのは,クォーク社の強みである。

・Quark Workflow Engine
 卓越したワークフロー管理,プロジェクトの追跡,進捗管理をデザインし実行する。
・Quark Media Manager
 Digital Media Serverと連動し,キーワード検索,フルテキスト検索,メタデータ検索など多機能検索が可能である。
・Quark Review Manager
 部門間,企業間でWebを介して,あたかも紙の印刷物のイメージでレビューを可能にする。リモート・レビューと呼んでいるが,紙の上で赤字を入れるイメージである。Web上で,フリーハンドで削除等,直感的にできるようにシステムを構成している。

・Quark Media Portal
 Webポータルとして,Webからシンプルかつ迅速に必要なファイルへアクセスし,ダウンロード,モデファイする。Webの画面上からパラメータを切ることによって,写真や本,パワーポイント等のデータをWeb上で簡単に集め,ダウンロードして使うことができる。現場の声として,企画をして部材を集めるのに時間がかかるという話をよく聞くので,これは強力なツールになると考えている。
・Dynamic Document Server
 QuarkXPressオブジェクトを,オンラインでレンダリングする。テキストや画像データの操作や,リッチテキストフォーマット,ドキュメントのコンバージョンを実行する。QuarkXPressを持っていない顧客がその機能を使うことができるようなWebのアプリケーションを提案するものである。

 QuarkXPressを持ち出すものと考えてもらえばよい。機能の8割程度をテンプレートで,QuarkXPressを持っていないインターネット上のユーザに開放することができる。DMS(Digital Media Server)内に保管されている文書やコンテンツを,Dynamic Document Serverを通じて,Webで文書を引っ張り,それに編集をかけてストアし,場合によってはワークフローに放り込み,次のステップに行くということを可能にした。

 Dynamic Document Serverのターゲットとしては2つ視野に入れている。まずパブリッシングである。これは文書そのものをWeb上に引っ張るわけではなく,テンプレートでデータだけを引っ張るので,たいへん軽い作りになっている。100ユーザでも,マルチユーザで使うことができるが,現実的には50ユーザが多いようである。これによりフィールドの割当,タイトル,見出し等の編集が可能になった。
 もう1つのターゲットは,ビジネス・ユースとして,レポートの作成や名刺の作成に使うことを考えている。部署や名前が違ったり,場合によっては名刺に写真を載せているところもあるので,それらに対応することができる。これを広告レイアウトなどに使うこともできるので,ターゲットとして考えている。

 他のシステムやWebアプリケーションとの統合で,QuarkXPressだけで囲い込むのではなく,InDesign等のさまざまなコンテンツ,あらゆるフォーマットをカバーするよう心がけて,いろいろな連携を考えている。
 例えばCRMのような大きなシステムと連動させてDMを考えたとき,パーソナライズするのにどうすればよいかを具体的に提案できる。
 日本では,これらを1つにまとめた形で提供しようと考えている。このシステム全体を統括するものが,QLA(Quark License Administrator)というもので,QuarkXPressだけでなく,モジュール群を一括管理する。

Content Management導入の効果

 日本語版はまだ完成していないが,ある企業の本社でコンテンツ管理やワークフロー管理,メディアポータルという検索ができるサーバを立て,それにQuarkXPressやWeb用のコンテンツを入れる。支社等ではWeb環境を使用し,QuarkXPressのデータを管理することができる。
 QuarkXPressだけでなく,他のデータフォーマットの自動生成も可能である。他社フォーマットのまま管理したり,編集するシステムを構築することができる。支社のどこかにWeb環境さえあれば,一貫した形でブランドの一元管理等を可能にする。

 アメリカの大手カタログ通販会社は,QCMの導入前後で比較して,年間数十万ドルのコスト削減に役立ったということである。検索効率が上がり,またカタログ印刷コンテンツを作ると同時にWebにアップできる処理時間を1時間に短縮した。

(テキスト&グラフィックス研究会)

2005/06/07 00:00:00


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