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色について総合的な判断力をもつ

 CTPやリモートプルーフをおこなうための制作工程フルデジタル化の影には,色校正における色情報の伝達などの課題がある。
 これら色の問題は,社内はもちろんクライアントとのコミュニケーションも重要になり,とりあえず1点の仕事をこなすという目前の目標だけではなく,将来にわたってクライアントと色管理のパートナーになるという大きな目標も大切である。

 従来,印刷製版における色の知識はCMYKや網点に関するものが固有に存在していた。しかし,今日ではさまざまな分野がデジタル化したことにより,色情報はそれらと横断的に扱えるようになった。色に関するデバイスが異なっても色情報の変換が可能なカラーマネジメントシステムはその典型である。
 例えば,印刷とWebなど異なるメディアでの色世界のインタフェースが必要な機会が多くなり,よって制作内部においても標準的な色彩理論の重要性が高まっている。

 一方,作業面では制作工程で使用されるモニタをカラーマネジメントしていても,周囲の照明や本人が着ている服の色,印刷する材質の特性などを配慮しないと効果が無駄になる可能性もある。

 このように,印刷物作りがデジタルカメラからCTPまで一貫してフルデジタル化すると,知識も一貫したものでないとトータルなソリューションができなくなる。そのためには色についても,人間の眼の特性から,光や色の科学的な理解,カラースペース,色の計測,文化的な記号としての色の常識など,総合して考察・評価できるようにならなければならない。

 今後,印刷など色の世界に携わっていく人は,従来の印刷製版の現場の知識の範囲内だけで色を考えるのではなく,色の総合的な判断力をもつために色を科学的にとらえられるようになる必要がある。

関連情報:色の見え方と科学的理解

2005/06/09 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会