本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

印刷物によるコミュニケーションの再評価

インターネットの劇的な普及に伴い,多くの企業が顧客とのコミュニケーションを印刷物からWebや電子メールにシフトしてきた。その移行が進むにつれ,2つの大きな課題に直面している。

1つは印刷物とインターネットの両方の媒体を維持するには,コストが大幅に上昇してしまうということがある。もう1つの課題は,インターネット技術をベースにしたコミュニケーションに対して,顧客離れが進んできていることがある。例えば,米国での調査では顧客の企業からの電子メールメッセージの開封率が一年前と比較して半分になっているというデータがあるという。われわれの実感としても,受け取る電子メールが多くなればなるほど,結局は読まずに削除することが多くなっているだろう。

そのため昨今では,むしろ印刷物によるコミュニケーションが見直されている。
たとえば高所得者層への特別な案内は,やはり高級感のある印刷物でなければ効果が少ない。また,利用明細書や請求書の場合は,一般のDMと違い開封率が100%近いこともあり,これまでの購買履歴や購買傾向・嗜好などを分析し,顧客の必要とする情報を盛り込むことにより,より効果的なマーケティングツールとなるということが認識されるようになった。

DOC1(ドックワン)は,このような大規模なバリアブル印刷向けの編集ソフトウェアであり,金融,通信,電気・ガス,流通業界等,世界でもっとも幅広く利用されている。
クレジットカードのアメリカンエキスプレスでは,顧客のクレジットカード利用状況に応じ,必要な広告の提供を行っている。たとえば,よく出張する人にはホテル,航空機の割引情報などを提供しており,画一的なDM 発送に比べ10 倍以上のレスポンス向上が実現できたという。また,アメリカンエキスプレスでは,全世界の利用明細書をDOC1で出力し,日本を含むアジア全域の明細書を一箇所で印刷,発送しているという。

GMCソフトウェア社のPrintNet Tは,ノンプログラミングでバリアブル編集をおこなうソフトウェアである。ほとんどのバリアブルインタフェースに対応していることはもちろん,バリアブル編集のための複雑なレイアウト指定やルール設定,ジョブフロー管理までも,対話式におこなうことができ,大規模なバリアブル印刷ソリューションの実現に有効なツールとなっている。

顧客データベースとCRMに基づく1to1コミュニケーション,デジタル印刷機の進化,高度なデザインとバリアブル編集を実現する編集ソフトウェアといった要素を集約することで,印刷物による効果的なコミュニケーションが実現すると言える。

関連セミナー:
7/6(水)「デジタル印刷によって拡がるビジネス」
〜CRM,フルカラー化で変わる請求明細書の意義とバリアブル印刷〜

6/29(水)「デジタルプリント事業の現状と課題」
〜ユーザサイドから見たバリアブル印刷のいまとその可能性〜

2005/06/23 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会