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DVDによる自動データバックアップシステム

株式会社ディジタル・ストリームス

 印刷業界においても日々の業務で蓄積されるデジタルデータは膨大化している。こうしたデータの管理とその保護は,業務効率化および個人情報保護の観点からも重要課題と言えよう。ディジタル・ストリームスでは,こうしたデータ管理の重要性をいち早く捉え,製品の開発から販売までを行っている。同社社長の三宅義治氏は商社の出身で,Rimage(リマージュ:以下リマージュ社)社のCD,DVDに書き込みのできる製品と出合い,同製品の可能性の高さに着目していた。また同製品の有する潜在的な市場性にも着目して,国内販売権を取得したことも同社設立の契機になっている。ちなみにリマージュは,世界で7割のシェアをもつ。特に印刷業界でも需要の多い,「DIGI WARP(デジワープ)」と3月に発売された新製品「サムライガード」について,三宅社長,榎本技術本部長,ギルバート技術部長にお話を伺った。

 蓄積データ管理とバックアップ機能に優れた「DIGIWARP(デジワープ)」
 印刷業界では,膨大化するデジタルデータの保存への対策として,サーバによるデータ管理を進めているところも多いであろう。しかし,サーバによるデータ管理にはそれなりの費用が掛かり,サーバ増設にはスペースも必要となる。膨大な蓄積量のデータから必要なデータを探し出すことも,大変な手間と時間が掛かっていた。こうしたデータ管理上の問題を解決することも同製品開発の動機であった。
 蓄積データが増えてくると,各データの属性ごとの管理とそのバックアップに煩わしさが発生する。この「DIGIWARP(デジワープ)」では,複数の監視ディレクトリを有しており,管理ディレクトリを変更することによって,ディレクトリ名をそのまま盤面印刷できるため,盤面を見ただけで管理データが認識できる。またWindowsやMacintosh,UNIXなどのOSの互換性もデータ管理上不具合を生じさせていたが,本製品では,そうしたOSの環境の違いを選ばないのが利点である。データの管理をCD/DVDで行うため,大きな設備投資や管理スペースなどを必要としない。また,サーバ増設のスペースも不要となる。CD/DVDのバックアップについては,その内容を今までは,1枚1枚,PC上でデータを呼び出して確認をしていたが,こうした作業についても,盤面印刷の一部にデータ内容と関連した可変データを印刷された盤面で認識できるため利便性を生むことができる。
 プリンタ搭載ドライブ「プロテジェ」(写真1)では,データの容量を判断し記録媒体をCDかDVDのどちらにするかも判断してくれる。多くの印刷会社は,データの蓄積,管理にはサーバを用いていると思われるが,蓄積データのクライアントへの返却時にデータの内容を見間違えるようなことが防げる。
 出版社の用途を例とすると,雑誌ごとにデータを管理しており,編集が終わるとバックアップはCDに記録させる作業を行っていた。そして,そのCDをほかの部門で使用する場合,一定量までデータが蓄積されてからバックアップを行っていた。こうしたデータ蓄積後に行う手間と時間が軽減できる。「DIGIWARP(デジワープ)」はカスタマイズ機能も有し,導入時には顧客のニーズにより,自動スケジューリングやデータ内容,バーコード,顧客名,データ名も自動レイアウトできるような機能ももっている。
 印刷会社では,ハードディスクに入っているフォルダをクライアントごとに分類管理して印刷会社自身がバックアップしていく方法と,顧客にバックアップデータを返却する場合の利用方法が考えられる。そうした際にもデータの中身を見誤ることもない。また管理スペースを考慮した場合,ハードディスクやMOで管理を行うよりも省スペース化ができる。プリンタ搭載ドライブ「プロテジェ」では300枚のCD-Rが収められ,チェンジャーを内蔵しているため,CDもDVDも同時に記録できる。Windows上で管理しているがMacintoshやUNIXのデータも記録できるようになっている。

 デジワープ画面サンプル(図1)
 デジワープ1はCSVファイルに生産JOBをあらかじめ登録して,一括で異なった作業が可能なソフトウエアである。
 ローカルディスクやネットワーク上のデータをファイル,ディレクトリ,イメージファイル単位で書き込みの指定ができる。印刷データも簡単にレイアウトでき,可変情報もCSVに登録するだけで処理できる。


主な機能
 監視モード(CSV一括処理機能)・印刷データ可変機能(テキスト,日時,バーコード,画像,ほか)
 JOB処理後バックアップ機能(元データを別ディレクトリへ移動)・処理枚数機能(固定)
 固定ファイル追加機能(ディレクトリ+固定ファイルを追加書き込み)
 ログ履歴管理機能・出荷チェック用ログ印刷機能・処理状況確認機能・選択ログ再発行機能
 過去のログ表示機能・全JOBキャンセル機能・データの残し機能(元データを削除移動しない)

 用途展開について
 今後は,記録媒体としては,DVDに統一されていくものと考えられる。それは,DVDのほうがCD-Rに記録するよりも,48倍速と格段に早いことにある。そのため,CD-Rドライブだけに対応する機種は今後少なくなると予測する。現状印刷会社のデータは,約7割方CD-Rで管理されていると言われており,DVDを使うほどデータ量が増えることは,まだそう多くないかもしれない。しかし今後,ページ数の多い出版物や増大していく画像データへの対応に,この製品は適切なソリューションを提供するものであると言えよう。
 なお盤面の印刷は,昇華型リボンプリンタのため,インクジェットプリンタと異なり,表面の印刷が色落ちしにくい。そのため,卒業アルバムや結婚式など永久的に残したいデータ管理には最適と考えられる(例:写真2)。

CD-Rコピーガード「サムライガード」世界に先駆けて発売
 「サムライガード」も同社が開発した製品で,情報セキュリティ強化が叫ばれる時代に,世界に先駆けて開発された全自動CD-Rコピーガードデュプリケータ(写真3)である。
 その最大の特長は,情報セキュリティへの安全度の高さであろう。それは,「ほかのCD-Rへの複製やリッピングができないこと」「ハードディスクにコピーしても,オリジナルCDがないと閲覧できないこと」が挙げられる。全自動で連続してコピーガードができ,市販のCD-Rを使用できるため手間とコストも省ける。Word,Excel,PowerPointなどあらゆるソフトで作成されたデータを暗号化して書き込んでいくことができる。暗号化されているため,PCにCDを入れて操作すると,文字化けしてデータ内容が識別できない状態になり,コピーやハードディスクに移動させたりするようなこともできなくなり,またCDなどの媒体にもコピーすることはできない。読み込み用のCDを使えば,データを見ることはできるが,特にビューアは必要としない。他社でも類似の製品を販売していが,それらと比較してもコピーガードの強度が非常に強い。現在モニタリングを行っているがまだそのガードを破ったという報告はない。
 他社では専用のCD-Rを購入して,それにデータを書き込まないとコピーガードができないようになっているケースがあるが,サムライガードでは,市販のCD-Rでコピーガードができるので,非常に安く済ませることができる。また,他社製品では,CD-RをPCに入れて1枚1枚手動で作業しなくてはならないが,そうした作業を軽減させる自動装置により設定した枚数分を作成できる。 個人情報や会社の重要な技術情報やデータを入手させない方法として活用できる。現在,同社の取引先としては,官公庁を始め医療関係,学校,金融業界など,機密情報を取り扱う企業・団体が多く,こうした取引先には大変重要な製品である。今後は情報セキュリティの重要性から,印刷関係での利用も増えていくものと考えられる。
 印刷業界参入に当たっては,こうしたデータのバックアップのシステムがなかったことに着目をしていた。現に印刷会社に製品の提案をすると,こうした製品のあることに驚く会社もあるため,まだこうした製品を求めている企業が潜在的には多いと考えられる。ガードは,ソフト上でのイメージで設定されるが一部装置上でもガードが掛けられ特許となっている。パスワードは4桁あるいは8桁,16桁などと組み合わせて設定でき,その範囲で,例えば2000個であれば2000個それぞれ違ったパスワードを設定することができる。このことにより,クライアントごとにパスワードによる用途と管理が可能である。

 用途展開について
 この商品は,今年3月に発表したばかりにもかかわらず早速予備校への導入が決まった。同校では,ある有名な先生の講義内容を入力したCDを販売していたが,一人がそれを購入し,勝手にコピーをされるという問題を抱えていた。しかし,この「サムライガード」によって,そうした違法コピーを防ぐことができる。印刷業界においても大事なコンテンツデータ,画像データ,個人データなどもこの製品で管理すれば流出を防ぐことができる。今後は,サムライガードとほかの製品の機能を合わせた商品も想定される。展開先としては,製薬会社,電機メーカなどを想定しており,他社に流出しないためにコピーガードを求めることが考えられ,印刷会社では,発注クライアントからの情報保護に関する要望に対応できる。発注クライアントからサムライガードで入力したCDを手渡されるというケースやサムライガードの導入により,クライアントの重要なデータを管理できる体制のあることを提案することは十分可能である。


 事業展開について
 同社では,単に物を売るだけでなく何かしらの付加価値を提供することを方針としている。世界の主要企業を始め,自社のオリジナル製品にこだわりあらゆる業種,企業を対象に展開をしている。開発においてもいろいろな顧客のニーズを聴きながら,数年を掛けて製品開発を行っている。今後も同社にしかないものを作り,販売していくことにより「オンリー・ワン」として展開することを目指している。どの製品にしても対象とするマーケットは大きいが,今後も大きなマーケットに対して,資金と人材を投資したいと考えている。

関連情報
●会社概要
株式会社ディジタル・ストリームス
URL:http://www.digital-streams.to/
所在地:東京都台東区上野2-11-6 黒澤ビルB1
創立:2000年1月21日
代表取締役:三宅義治
従業員:10人
事業内容:
 (1)米国リマージュ社製CD-R/DVD-Rパブリッシング・システム販売および技術サービス
 (2)米国Primera(プリメラ)社製CD-R/DVD-Rパブリッシング・システム販売および技術サービス
 (3)フランスIMT(アイ・エム・ティ)社製CD-R/DVD-Rパブリッシング・システム販売および技術サービス
 (4)CD-Rコピーガード「サムライガード」システム販売および技術サービス
 (5)CD-R/DVD-Rコピーサービス
 (6)日立マクセル,太陽誘電,他のCD-R/DVD-R販売
 (7)米国Litton社製硝子旋盤輸入販売
 (8)エレクトロニクス機器,電球製造機,硝子製造機輸入販売

●沿革
 1989年:米国MST社(現リマージュ社)が世界初のフロッピーディスク高速コピアーを発明。丸紅マシナリー(株)が
       同社の日本総代理店契約を結ぶ
 1990年:MST社がRimageに社名変更 三宅が販売課長となる
 1998年3月:世界初のネットワーク対応・全自動CD-Rパブリッシャー・オートスターを輸入。記念すべき第1号は
         現在(株)ディジタル・ストリームス社内に保管中
 1999年11月:丸紅マシナリー(株)とリマージュ社の代理店契約が消滅
 2000年1月:三宅が丸紅マシナリー(株)を退社
         日本のリマージュ専門会社として,(有)ディジタル・ストリームスを設立
         リマージュ社と正式販売代理店契約を締結
 2001年3月:米国Digital Now社と日本総代理店契約締結
 2002年8月:フランスIMT社の国内総代理店となる
 2003年5月:資本金1000万円に増資し,(株)ディジタル・ストリームスとなる
 2003年10月:日立マクセル(株)の販売代理店取得
 2004年11月:米国Primera社の国内販売代理店契約締結

『プリンターズサークル 2005年7月号より』

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2005/07/08 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会