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先にメディアありき、の時代は終わった。

紙媒体に加えてデジタルの情報媒体が次々に生まれるて多様化しているので、情報発信をする人なり組織にとっては、それぞれの情報伝達の目的に合わせてこれらの媒体をどのように組合わせるのか、どうすればコスト対効果が高いかを判断することが難しい課題になっている。

しかしどのような媒体の組合せがよいかについての決まった答えはない。例えばかつてはマスメディアや販促印刷物だけで行っていた集客の仕掛けが、広告媒体と店舗の間に携帯電話が加わったために、まず携帯電話でアクセスしてもらうという中間目標ができてしまった。マスメディアや紙媒体の意味が薄らいだのではなく、ここでは携帯電話への導線が作りやすい媒体が選ばれることが多い。

それが地域にフォーカスしているなら新聞チラシの場合もあれば、雑誌広告を出す場合、あるいはターゲットが絞られたフリーペーパーに広告を出すとか、自社のWEBを利用するなど、媒体の組合せ及び各媒体への予算配分が複雑化している。

その場合、携帯電話からのアクセスというリアクションがカウントできるものが有利であり、広告に2次元のQRコードが入れられる紙媒体は有利な位置にある。しかしどの紙媒体が有効なのかは印刷物を企画制作している段階ではわからず、結局各種媒体が利用者にどのように使われているかを調べなければならない。それは一体誰の仕事であろうか。

媒体の組合せは、広告でいえばメディアミックス、コンテンツ制作側からすればクロスメディア、出力側からみればワンソースマルチユース、などいろんな言い方がされているが、いずれにしても組み合わせた総体を把握することは困難で、サービスを提供する側も使う側も、また情報の受け取り手にとっても流動的なものであり、また次回の情報発信には違う情報伝達の仕組みになっているかもしれない。

これからは徐々に方法論が磨かれて技術的に枯れたものになるであろう。携帯電話を使うサービスについてはすでにかなりパッケージ化されつつある。それでもマスメディアのような固定的な媒体特性で判断する要素は減って、用途から考えてトータルに設計する方法が重要になるだろう。メディアの業務を請け負うのは大変リスクが多く、それが参入の障壁でもあり、新たなサービス提供者にチャンスを与えるものでもある。

通信&メディア研究会会報196号」より

2005/07/24 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会