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JDFによる4つのワークフロー

JDFワークフローの導入では、最終的にはさまざまな自動化の要素を取り入れた上で、標準手順と標準工数がベースのMISをコントロールセンターにした印刷CIMの構築が目標である。しかし、はじめから全ての要素が揃っているわけではないので、導入へのステップが必要である。
JDFフォーラム公開無料セミナーでは、ホリゾンインターナショナル(株)からポストプレス工程から見たJDFによる4つのワークフローが提示された。

1. 工程設計ソフト(プリプレス)⇒ポストプレス
工程設計ソフトで作成したJDFをポストプレスに投げる場合

2. MISで全ての段取りを作成⇒ポストプレス
MISで全ての段取りを作成してポストプレスに投げる場合

3. MISで全ての情報を集約⇒ポストプレス
MISで工程設計ソフトの情報吸い上げ、まとめてポストプレスに投げる場合

4. MISの粗段取り+工程設計の詳細情報⇒ポストプレス
MISから粗段取り情報のJDFファイルをポストプレスに投げ、詳細情報はID合わせで工程設計ソフトからJDFファイルで受け取り、ポストプレス側で連結する。

(説明)
1.工程設計ソフト(プリプレス)⇒ポストプレス
・面付けソフトや工程設計ソフトでJDFファイルを作成する。
・JDFファイルでありながらPPFファイル的な一方通行の運用方法である。
・製本機を動かすためだけであれば、この方法で十分で最も理解しやすく導入も比較的楽に行く。
・しかし、JDFワークフローとしては機能が限られ、MISとの連携にはなっていない。



2.MISで全ての段取りを作成⇒ポストプレス
・これは、すべての工程情報をMISでまとめて書き出し、プリプレス、プレス、ポストプレスに投げる場合である。
・ここでの最大のメリットはJMFにある。JMFが返せることで作業状況を逐一MISへ報告し、予定に対する実績として一元的に管理することが可能である。
・しかし、MISで全ての作業工程の情報を記述することは難しい。



3.MISで全ての情報を集約⇒ポストプレス
・これは、すべての工程情報をMISでまとめて書き出し、プリプレス、プレス、ポストプレスに投げる場合である。
・ここでの最大のメリットはJMFにある。JMFとは、工程の作業状況を逐一MISへ報告するためのフォーマットで、例えば印刷機のスピード、ヤレ枚数、稼動時間、進行状況等を記述する事が出来る。
・MISで全ての作業工程の情報を記述することが難しいことから、粗段取りとしてプリプレス工程にJDFを投げ、そこで詳細情報を付加したJDFを吸い上げ、そしてポストプレスにまとまったJDFとして投げる。
・JMFは各工程から受け取る



4.MISの粗段取り+工程設計の詳細情報⇒ポストプレス
・これは、MISからは粗段取り状態で各工程にJDFを投げ、詳細情報はプリプレスからポストプレスというように各工程間でやり取りする方法。JMFに関しては各工程からMISに直接送信する。
・粗段取り状態でプリプレス、ポストプレス工程にJDFを投げ、仕事の入ってきたことを同時にアナウンスする。詳細情報はプリプレスで付加し、ポストプレスにJDFを投げる。ポストプレスではJOBのIDをキーにMISからのJDFとプリプレスからのJDFを結合し、一つのJDFとして読み込む。
・JMFは各工程から受け取る。
・現在の日本の印刷現場の流れに近く、柔軟な対応が取れる方法でもある。




現実的なワークフローは?

最初のステップとして、1のパターンがある。このパターンでは、面付けソフトや工程設計ソフトでJDFファイルを作成して、JDFファイルでありながらPPFファイル的な一方通行での運用方法にする。製本機を動かすためだけであれば、この方法で十分で最も理解しやすく導入も比較的楽に行く。しかしJDFワークフローとしては機能が限られ、MISとの連携になっていない。

つぎのステップとして4つめパターンが現実的で、受注を受けた時点でMISは各工程に作業指示を出すことが出来る。そして、プリプレス、プレス、ポストプレスの各工程においてもやるべき仕事が早期に明確になり予定が組みやすい。また、MISには各工程からダイレクトにJMFが返る事で各工程の進捗がリアルタイムに確認することが出来る。現状の流れからも移行がしやすく、柔軟な対応が取れることからも現実的な方法であろう。

このワークフロー化によるメリットを経営者サイド、現場サイドの両面から表現すると次のようになる。

経営者に対するメリットはつぎの点である
・デジタルデータの活用による自動化の推進
・ワークフロー全体の見直し(JDFによる企業のイメージアップ)
・ボトルネックの明確化と収益性の見直し

現場サイドに対するメリットはつぎの点である
・タイムリーな進捗状況の把握
・工程間の人為的ミスの削減
・オペレータの作業負担軽減

そしてこれら効果が相俟って利益の向上に繋がるものと考える。
(JDFフォーラム公開無料セミナー 2005/6 ホリゾンインターナショナル(株)衣川様の資料より)

2005/08/24 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会