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セマンティックWeb

セマンティックWebは、膨大な情報が存在するWebを有効に活用する技術である。HTMLで記載するWebは人が読むには問題ないが、コンピュータが効率的に情報を処理することは難しい。そこで情報にメタデータをつけることで、コンピュータが意味を理解して、自動に処理できるようにと考えられたのがセマンティックWebである。World Wide Webを発明したティム・バーナーズ・リーが提唱し、実現すれば、WWWの情報をひとつのデータベースとして使用することができる。

セマンティックWebの技術を表す有名な図がティム・バーナーズ・リーのレイヤーケーキ(階層構造)である。セマンティックWebは、ひとつの技術で実現するものではなく、URI、XML、RDFなどのように、技術をひとつづつ重ねることで実現できることが広がる。セマンティックWebの情報が充実した「The WebKANZAKI」では、WWW2005のバーナーズ・リーの基調講演でレイヤーケーキが若干変更されていたことを指摘している。推論規則言語に関する標準化の活動が動き始めたことを反映しているのではないかと神崎氏は推測している。(http://www.kanzaki.com/memo/2005/05/12-1

セマンティックWebの技術は現在W3Cで標準化が進められている。2004年2月にはRDFとオントロジー言語OWL (Web Ontology Lnguage) の勧告が発表された。W3Cの技術文書には4つのステイタスがあり、1.ドラフト、ワーキングドラフト、2.勧告候補、3.勧告案、4.勧告という順番に発表される。「勧告」として発表されれば、W3Cはその技術仕様を確定させたことを意味するので、RDFとOWLの技術仕様は確定されたことになる。

RDF (Resource Description Framework)とはXML技術をベースにしたメタデータをするための記述の枠組みである。RDFの応用であるRSS(RDF Site Summary)は、ニュースサイトやブログの新着情報を配信する際のフォーマットとして利用されている。 また、オントロジー(Ontology)とは、もともと哲学用語の「存在論」からきており、セマンティックWebにおけるオントロジーは語彙と語彙の間の関係を表わす。オントロジーを用いた知識データベースの利用事例としては、医療情報や法令などがある。語彙の関係を定義しているオントロジーを活用すれば、処方する薬を検索した際に一緒に処方してしてはいけない薬を組み合わせることはない。情報の知的な扱いは業務やワークフロー管理の効率化も実現する。セキュリティシステムの場合、セキュリティ情報の管理やIDS、復旧情報などを統合的に管理して、リアルタイムに事象を参照できる。

欧米と比べてセマンティックWebに関しての開発が遅れていた日本だが、(株)サイバーエッヂが日本語処理が可能なセマンティックWeb基盤パッケージソフトウェア「SemanticWeb エンジン」を開発した。既存のセマンティック Web 関連ツールキットには米国 HP 研究所の Jena やスタンフォード大学の Protege などがあるがインターフェースが英語である。国内の開発者が開発しやすい環境を提供している。

また、W3Cにホストとして参加している慶応義塾大学は萩野 達也教授を中心にセマンティックWebの普及に力を入れている。INTAPや人工知能学会でも研究が進められている。概念的な話が多く、理解するための資料があまりなかったセマンティックWebだが、Webでの情報が増えたのはもちろん、最近では書籍も増えた。「進化するWeb セマンティックWeb」(Dieter Fensel , Henry Lieberman, James Hendler, 斎藤 信男 (翻訳), 萩野 達也 (翻訳)ジャストシステム)や「RDF/OWL入門-セマンティック・ウェブのための」(神崎 正英 (著)、森北出版)などがある。登場の背景を知りたい場合は、ティム・バーナーズ=リーが1999年に執筆した「Weaving the Web」(和訳:「Webの創生」訳 高橋徹、毎日コミュニケーションズ)を読むと、WWWの創出から将来のWebであるセマンティックWebの考えに至るまでの経緯が書かれており、セマンティックWebの理解の助けになるだろう。

■セマンティックWeb関連セミナー
 2005年8月25日  セマンティックWebとオントロジー
 2005年9月13日  デジタルメディア技術の焦点とビジネス動向ロジー 〜Web、出版、電子カタログ、eラーニング〜

2005/07/26 00:00:00


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