Adobe Creative Suite 2日本語版の概要

Bridge−フィルムストリップ表示

アドビは，約18カ月ぶりにCreative SuiteのバージョンアップとなるAdobe Creative Suite 2日本語版（以下CS2）を発表した。Creative Suiteと同様にStandard版とPremium版とがある。Photoshop CS2，Illustrator CS2，InDesign CS2が含まれているStandard版と，これにGoLive CS2，Acrobat Professional 7.0を含んだものがPremium版となっている。CS2には，単品では販売されないアプリケーションとしてAdobe Bridge，Version Cue CS2が含まれている。

Creative Suiteがリリースされた時には，それまで別々にバージョンアップされてきたアプリケーションが，同時にリリースされたことに大きなインパクトを与えられた。同時リリースによって，トータルの価格が低くなることと，アプリケーション間の相互互換性や操作の共通化によって得られるメリットが大きいことに気づかされた。しかし，Creative Suiteに同梱されたファイル管理アプリケーション，Version Cueは，一つのアプリケーションにおける複数バージョンのファイル管理には効果的ではあるが，アプリケーション間の連携面の効果はなく，実際に使用される場面は限られていた。したがって，従来のCreative Suiteに対する認識は，アプリケーションのセットであることと相互互換性が向上していることに過ぎなかった。

ここでは新たにCS2に含まれたBridgeによって，各アプリケーション間の連携がより緊密でスムーズになっていること，Version Cueとの連携によって制作効率のアップが図られていることに注目したい。さらには，アセッツ管理システム（DAM）との関連性について考察したい。

Adobe Bridge

Bridgeは，従来のPhotoshopにあったファイルブラウザ機能を単独のアプリケーションとして独立させたもので，さらに機能拡張したものである。選択したフォルダなどに存在するさまざまなアプリケーションファイルのプレビュー一覧を表示することができる。仕組みとしては，アプリケーションファイルをすべて読み込むのではなく，メタデータだけを参照して一覧表示している。既にアプリケーションファイルにプレビュー画像が埋め込まれている場合は，素早くプレビュー一覧が表示される。

●Bridgeウィンドウの切り替え
プレビューを表示するビューであるBridgeウィンドウは，容易に切り替え，カスタマイズが可能である。「サムネール表示」「フィルムストリップ表示」「詳細表示」「バージョンおよび代替案表示」が選択でき，これを切り替えると，プレビューとアセッツのメタデータがおのおのの形式で表示される。また，プレビューの大きさはスライダで無段階に調整可能である。さらに，Bridgeウィンドウの構成をワークスペースとして保存し，メニューから簡単に呼び出すことができる。

●各アプリケーションとの連携
Bridgeの最も重要な使用方法は，CS2の各アプリケーションとの連携である。アドビでは，アプリケーション間の「ハブ」の役割を果たすのがBridgeであると語っている。

従来，例えばPhotoshopで画像を合成している最中には，ほかの画像の内容を見る必要に迫られることが多い。また，InDesignでページレイアウトを行っている最中に，レイアウトする図版や画像，テキストなどの素材の内容を確認することも多い。これまでは，アプリケーションの切り替えや，ファイルを読み込んだ上で内容をチェックするなどの操作が必要であり，そのための時間と手間は大きな無駄となっていた。Bridgeは，このような場合にたくさんのアセッツの中から必要なものを簡単に検索し，プレビューやメタデータを確認することができ，作業や思考の中断なしに，デザインワークを大幅に効率化することができる。

（プリンターズサークル 2005.8号より一部を抜粋。同号に全文を掲載）

2005/07/29 00:00:00