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付加価値を出すための特殊印刷・後加工知識 その3

■表面加工
 表面加工の目的は,絵柄を保護することにより印刷物にいろいろな耐性をもたせることと独自のデザイン性を強調することにより見栄えを良くすることにある。
 一般的な加工として,光沢コート・プレスコート・ラミネートがある。光沢コートは,OPニスをローラー塗装することにより表面のツヤ出し・インキのブロッキングを防止・汚れ傷の防止などに役立つ。主に書籍や雑誌・カタログ・パンフレットなどに多く使われている。
 プレスコートは,印刷面をビニール引きし100℃〜120℃のロールで加熱加圧し冷却して光沢を出す方法である。用途も雑誌の表紙・薬品箱・ポスター・カレンダーなどに使われている。
 ラミネートは,PPフィルムやPETフィルムを高温のシリンダで熱圧着させて光沢感を出す。コーティング加工やプレス加工よりも強じんなため本の表紙やカバーはもちろんのこと,下敷きやレストランのメニューなどに利用されている。印刷物は,いずれは廃棄物として焼却されるが,その際にダイオキシンが発生するかどうかが問題になる。この点についてはラミネートメーカーもこの問題に取り組んできており,ダイオキシンが発生しないものも開発されている。
  ■オフラインからインラインへ
 表面加工は,印刷後オフラインで加工されることが多いが,最近では印刷機での表面加工にも注目が集まっている。例えば,印刷表面にグロス部とエンボス部のメリハリを形成して視覚効果に訴える手法がある。
 これは専用のOPニスで絵柄を平版オフセット印刷した上に専用のUVコーティングニスを全面塗布すると,重なった部分が弾かれてエンボス調を形成し,UVコーティングニス部分のみが光沢部分となる。このような表現効果を出すための専用インキが各インキメーカーから発売されており,例えば大日本インキ化学工業では「擬似エンボス」と呼んでいる。こういうことが可能になったのは4色以上のユニット+コーターをもった印刷機が発売されており,特色を増やすだけでなく表面加工もできることを考えてデザインすれば,低価格で高付加価値の印刷物を提案できよう。

(研究調査部 伊藤禎昭)

『プリンターズサークル』9月号より

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2005/09/06 00:00:00


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