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デジタルカメラによるRGBワークフローアンケート報告

 デジタルカメラの普及により,印刷用原稿として多くのRGBデータが入稿されるようになった。しかし,入稿されるRGBデータの形式や画像品質など課題も多いといわれている。
 これらの現状や問題点を把握するため,社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)では,印刷会社を中心にデジタルカメラによるRGBデータ入稿についてアンケートを実施した。 「プリプレスにおけるRGBワークフローアンケート」と題し,2005年9月FAXにて送付し,79社から回答を得た。

1.回答された企業の主な製作品目(複数回答)

製品
回答数
比率
(1)商業印刷物

67

57%
(2)書籍・出版印刷物
28
24%
(3)ラベル・シール
14
12%
(4)ビジネスフォーム
8
7%

2.RGBデータ入稿比率
 (RGBデータ / RGBデータ+写真原稿)

現在
前年
37.7%
25.6%

RGBデータ入稿は前年に比べて5割近く増加している。
その分,スキャナ入力が減少したことであり,分解料による売上も減少したと思われる。 入稿してくるRGBデータが,問題なく後工程で使用できる品質を持っているのであれば問題ないが,現実はどうであろうか?


3.入稿するRGBデータの種類

プロファイルなしやRAWデータのように,撮影された現物の色についての手掛かりを持っていないRGB原稿の入稿が6割を占めている。これらの原稿は,こんな色に仕上げて欲しいという意思も意欲もないのか,そもそも知識がないのだろう。
カラーポジの時代にはカメラマンはフィルムを選び,補正を掛け現像ラボを選び,現像指示を行い,上がったポジの色キズをチェックしてと入念に作品を仕上げていた。カメラマンへの知識の啓蒙がもっと必要だろう。


4.RGBからCMYK変換の方法



5.画像データの補正・修整について

 全体の仕事の約79%の画像データについて,何らかの補正・修整を行っている。

 スキャナ分解と比較した補正・修整の手間は?

増加した
減少した
変わらない
41社
11社
18社


6.各社のカラーマネジメントについて

項目
人数・台数
画像データを扱うオペレータの人数
4.0人
定期的にキャリブレーションしているモニタ数
3.3台
印刷色基準の色調整を行っているプリンタ数
1.7台

モニタキャリブレーション:色の判断をどのように行なっているか,モニタで色判断を行なうか否かで,キャリブレーションするかどうかの判断が分かれる。
モニタで色判断するのであれば,照明,照度,モニタ周囲の色,外光の影響など視環境を整備しなければならない。
色判断をモニタに頼らないのであれば,色を表現する数値で発色が想像できるようなオペレータ教育が必要になる。


7.クライアントへの校正手段

いずれの方法でも,本刷りとのカラーマッチングを顧客に信用してもらえるのかという,管理全体(カラーマネージメント)がポイントである。


8.RGBデータ入稿の問題点について

色見本としてカラープリンタ出力が添付されるケースは約39%ある。

その他,階調不足,グレーバランスがとれていない,シャープネスがかかりすぎている,解像度不足などの問題点が目に付いた。

9.今後の課題について

項目
回答数
これから検討する

41

モニタやプリンタなどのカラーマネジメント

40

RGBレタッチなどの人材育成

42

AdobeRGBモニタなど設備の拡充

23


技術的な課題だけではなく,収益性も見据えながらどのような流れやルールを作っていくのかが課題である。


10.RGBデータ入稿が80%を超えるのは何年後(予想)ですか

 各社の回答を平均すると,3.44年であった。


11.RGBデータに関する入稿シート(マニュアル)について

 社内用入稿シート(マニュアル)を持っている企業は,11%(9社)
 社外用入稿シート(マニュアル)を持っている企業は,5%(4社)という結果であった。

(テキスト&グラフィックス研究会)

2005/10/23 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会