高品質な商品と信頼を提供したい
私は,自分の携わる仕事はすべて良い商品(印刷物)に仕上げたい,クライアントに喜んでいただける最高の仕事がしたいと以前から思っていました。ある日,書店で何げなく手に取った本がDTPエキスパートの本でした。以前から認証試験のことは知っていましたが,そこまでの知識が本当に必要なのだろうか?それを取得して何に役立つのだろうか?という思いと,そのころの私には,仕事をしながら勉強をする時間の余裕が全くなく,読もうともしなかったのです。しかし本を開いた私の目に飛び込んできた言葉「よいコミュニケーション」「よい制作環境」「よい印刷物」というキーワードに感化され,私の目指すものがここにあるのではと思い,多数の参考書や問題集を購入し必死に勉強しました。それが「DTPエキスパート」認証試験を受けるきっかけにもなりました。
DTPが現れてから印刷業界は目まぐるしい変化を遂げました。それまではコストや時間,技術的な問題で不可能だったことが可能になり,ビジネス環境に新たな展望が開けてきました。と同時に,個々の専門知識ではなく,全体を理解する幅広い知識が必要とされてきています。今は落ち着きを見せてきましたが,MacOS Xへの移行に伴う環境変化,PDF/Xワークフロー,デジカメの普及によるRGBワークフロー,CMS管理など,まだまだ進展していく技術や情報をいち早く得て,それを提案し使いこなしていけることが大切だと思います。それが私の仕事であり,また何か問題が起きた際,すぐに正しい解決策を見いだす能力を身に着けることが私自身に必要なのです。
現在,この業界の仕事は受注の減少が大きく,それに伴い価格競争が激化してきています。企業同士が競い合い,少しでも安い見積もりを提出して必死に仕事を取ろうとしています。そんな折,ついおろそかになりがちな品質面を見直し,低価格でも高品質な商品(印刷物)と信頼を提供していけるようにこれからもがんばっていきたいと考えています。
■月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2005年11月号
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2005/10/29 00:00:00