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圧倒的なネットのパフォーマンスを我がものに!

9月末に 「大きく揺れ動く、グラフィックアーツの世界」 の記事で、2006年2月1日から3日まで開催されるPAGE2006コンファレンスのスピーカー募集を行ったところ、たくさんの応募をいただき、誠にありがとうございました。コンファレンスの時間枠が限られている関係で、入りきらないテーマは別途何らかのセミナー・ミーティングで採り上げさせていただきたく、検討を行っています。

2005年は電子文書法の施行に象徴されるように、従来の「紙はビジネスに外せないメディア」という定見を覆し、紙なしのビジネスもできるようにパラダイム転換の年であるが、実は法は現実の後追いをしているに過ぎない。PAGE2005ではアマゾン、楽天、グーグルなどネット上で活躍しておられる会社に出ていただいたが、もうすでにデジタルメディアを活用して大企業の一角に食い込んだ会社はいくつも登場している。

ITとさまざまなメディアを組み合わせて、顧客へのリーチを従来の方法よりもさらに広げ、また顧客と深い関係を築けるならば、このクロスメディア的な方法はいろいろなビジネスに適用されていくことは明らかである。スピーカー募集に応募をいただいた件数は昨年と大きく変わらないが、内容的には一層前進したものになっていると感じられた。たとえばeJAPANに向けての電子申請は実際にはそれほどの動きはないが、今後電子申請でどのくらい文書作成のパフォーマンスが上がるのかを予測されるような内容があった。今目に見えるネットビジネスも業務効率がよいものだが、これからは従来ビジネスも圧倒的なネットのパフォーマンスに巻き込まれていくことを、PAGE2006での発表から感じていただくことができるだろう。

新たなグラフィックビジネスの提案が集まるPAGE2006は、クリエイタから、プロデューサ、マーケティング、制作、メディアシステム開発、流通・販売までの方々が、個別の競争とは別に、協調してこの分野を発展させていくための場であり、新しいビジネスモデルの意見交換をして、ベンダーとサービスプロバイダとユーザがよりよい関係を築いていくことを願って、PAGE2006は「ビジネスコーディネーション」をテーマに、展示・コンファレンス・セミナーの他にもさまざまな特設ZONE、ジョイントイベント、クロスメディアコンファレンスなど、多彩なプログラムを用意する予定である。

今回応募をいただいたPAGE2006コンファレンスにおけるいろいろなソリューション提案は、以下の4つのトラックの下にある各セッションに振り分けさせていただいた。詳細は11月に入ってから順次紹介していきたい。

基調講演トラック 2006年2月1日(水)

印刷会社の売上の内訳の大半が印刷以外の要素であるように、出版社などコンテンツを提供するビジネスにおいても、書籍の量産配布だけでなく非常に多様に付加価値のつけられる領域がある。現在のビジネスモデルがどうなっているのかを解きほぐして、IT時代にふさわしい要素を見いだし、グラフィックスのノウハウを活かして伸ばすビジョンを探る。テーマは「出版とコンテンツビジネス戦略の「現在」」である。
午後の部は、膨大な情報を扱い技術をとりあげる「デジタルアーカイブ時代の情報管理」、前述の高パフォーマンスな文書システムを考える「自動文書生成のフロー」、印刷会社の取引先(顧客企業)の戦略に迫る「顧客の考えるメディアの活用価値」、メディアの仕掛けの大元であるプロデューサー側から見たクロスメディア問題「プロデューサーの求めるコンテンツ制作環境」の4セッションとなる。

デジタルメディアトラック 2006年2月2日(木)〜3日(金)

メディアの多様な組み合わせや使い方が可能になり、表現の幅もメディアのリーチも広がった。しかし,制作する側は紙などの単一のメディアで情報を発信していたときより,情報の設計やメディア制作に関するより多くの知識が必要となる。このトラックでは,デジタルメディアの発展の方向や制作技術の変化を紹介し,数年先を見据えてデジタルメディアへの取り組みを考える。以下の6セッションにまとめられた。
モバイルとユビキタスの進展
検索技術が創造する新たなコンテンツ
eラーニングビジネスモデル
大きく変わるWEBサイト構築技術
WEBインターフェース設計の今後
クロスメディアのポテンシャル

グラフィックストラック 2006年2月2日(木)〜3日(金)

DTPおよび印刷前工程のデジタル化の先に、印刷会社と顧客間は本当の意味でネットワーク構築が目標になる。顧客の立場に立ったオープン化,データの再利用,柔軟なシステム,全体最適化などを実現し,顧客の問題解決を図り,印刷会社のサービス価値を高めるチャレンジが行われている。このトラックでは,ITを活用した印刷会社のサービス価値の向上をテーマとして取り上げる。以下の6セッションにまとめられた。
プリンタにおける画像データの色再現
Web toプリント(オンラインパブリッシング)
広色域印刷の技術とターゲット
Windows Vistaにおける文字セットと字形
XML複合文書技術の動向
バリアブル印刷の拡大

MIS/CIMトラック 2006年2月2日(木)〜3日(金)

印刷CIMは,ビジョン・構想を語る段階を過ぎて実現に向かって着実に動いている。JDFは各ベンダー間の総合互換テストが進み、実用レベルのソリューションの幅が広がってきている。中規模印刷企業では,CIM実現をにらんだMISの再構築を始めた企業が増えている。デジタル印刷分野ではWebと連携した自動発注を含むCIMが仕組みとして出来ている。EC/EDIを含む印刷CIM実現に向けた具体的なシステム構築やビジネス展開について語り合う。以下の6セッションにまとめられた。
「JDF対応」MISの基本的要件と課題
「工務業務」の自動化に向けてのシミュレーション
全体最適を目指すネットワーク化
デジタル印刷のCIM
実用度を高めるJDF規格とCIP4の活動
MIS・CIMのロードマップ

印刷業界全体ではグラフィックアーツの世界が伸び悩むイメージを持つ人もいるが、業界の明日に希望が持てるホットな息吹を随所に感じるPAGE2006コンファレンスにご期待ください。

2005/10/27 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会