本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

第24期DTPエキスパート認証試験 課題講評

1. 結果概要

 全受験者数は1,829人,筆記試験の合格者数は968人,課題の合格者数は1,269人。
 筆記と課題を合わせた最終的な合格者数は860人で合格率は47.0%でした。
 実技課題の内訳は以下の通りです。

選択課題
提出者課題合格者課題合格率
A携帯電話マニュアル
 146人
 112人
 76.7%
B・旅行パンフレット
1,348人
1,138人
 84.4%
C・自由課題
  32人
  19人
 59.4%

※課題を提出しなかった受験者303人中21人は筆記試験に合格しています。
 また,1人が提出要項違反(名前・受験番号未記入のため採点不能)で失格となりました。

2. 課題の講評

 今回の課題Aは,携帯電話マニュアル,課題Bの旅行パンフレットはマドリードでした。また,課題制作の手引きについては全面印刷していましたが,課題A,B,C共通項目は印刷(A3裏表2つ折)し,各課題の項目についてはCD-ROMにPDFファイルで収めました。
 提出された課題のなかで,作品については全体的にレベルが向上し,合格ラインを下回るものは少なくなりました。しかし,不合格になった課題のほとんどは,制作ガイドにおいて「課題制作の手引き」の基本条件を守っていないものです。
 制作ガイドは,提出した作品の制作指示ではなく,改訂版(課題A)やシリーズ(課題B)として第三者が制作するために必要なレイアウトや紙面設計が必要であり,誰が作業しても一定レベルの品質を保ち,かつ効率よく制作できる設計に基づいた詳細設定を正確に分かりやすく伝えることが重要です。
 課題Aはレイアウトの基本となるフォーマットが不十分なもの,課題Bはテキストデータの増減やシリーズ化に対するレイアウト設計ができていないもの,レイアウト設計図に出来上がった作品のキャプチャを使用して制作手順を記述しているものが目立ちました。また,作品の仕上りサイズが違うものや旧データを作品または制作ガイドに使用していたものもありました。
 いずれにしても,「課題制作の手引き」をよく読むことによって問題は解消されると思われます。

(1)設計
 レイアウトは単なるパーツの配置ではありません。シリーズ化,テキストデータの増減,標準化,効率化なども考慮した上で,設計者がどの部分を強調して各要素を配置するかという紙面設計が大切です。
 また,紙面設計にグリッドを活用することも有効な手段となります。制作ガイドにおいて,数値による各パーツの座標指示だけではなく,紙面構成の方針が理解しやすいレイアウト設計図(ラフレイアウトなど)は,制作過程が分かる重要なものとなりますので,必ず図示してください。

(2)要素
 制作ガイドにおける要素として,とくに減点の対象になったものは,各パーツについての組版指示や,パーツ配置についての記述が不足しているものでした。
 また,自由裁量の要素が多すぎて再現が困難と判断されるものも目立ちました。今一度,第三者が継承して制作するという立場を考慮した制作ガイドづくりが必要です。

(3)課題の想定や要件について

 課題制作における想定や要件,配布するデータ(CD-ROM)は毎回変更されています。課題制作の手引きをよく読んで間違いのないよう取り組んでください。
 また,他の受験者や過去の受験者の提出物と同様と判断されるものや,旧データを作品または制作ガイドに使用した課題は不合格です。

※今回は,不正コピーと判断され失格となった作品はありませんでした。なお,不正コピーは作品だけでなく「制作ガイド」にも適用されるのでご注意下さい。

 ◆不正コピーおよび旧データの使用禁止について

 

| 閉じる(DTPエキスパートTOP) |

2005/10/28 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会