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情報ビジネスの断絶を乗り越えよう

デジタルとアナログという方法は異なっても、共通で普遍なのはコンテンツである。ではコンテンツにしがみついていると食っていけるのだろうか? 1980年代からマルチメディアが叫ばれて以来、印刷会社は出版コンテンツの電子化によって電子出版の手伝いをしようとした。しかし 20世紀末にはTVが娯楽の王様になり、出版物が国民の話題の中心になることは少なくなっていた。出版分野では情報誌が盛んになり、索引・ガイドなど、何かを見つけるための道具として紙媒体が使われることが多くなった。

インターネットの時代になって何かを見つける方法はWEBがダントツになった。Googleは勢いに乗って過去の書籍もスキャンしてWEBで検索できるように努力していて、出版界と軋轢を起こしたほどだ。出版印刷が停滞した一つの要因にこういった流れも関係している。コンテンツが普遍であるとしても、コンテンツに到達する手段や、コンテンツを活用できる方法の側にも価値の軽重があり、それは時代とともに、技術とともに変わってきたといえる。

だからそれぞれの時代において、コンテンツの真価が発揮できる手段がビジネスとしては価値をもつわけで、過去の電子出版ビジネスではデジタルにすれば何か用途が増えるのではないかとか、印刷会社もコンテンツがあるなら加工の仕事もあるであろう、という漠然とした見方で、はっきりした用途や利便性を指向あるいは試行していなかった点が、電子出版ビジネス全体を曖昧模糊としたものにしてしまった原因ではないだろうか。

今のところWEBは目的指向の強いものであり、人間が漠然と接しているアナログ情報とは対照的である。デジタルコンテンツに関わる作業は、版下・製版の労働集約的情報加工とは根本的に異なり、WEBの利用目的への最短距離を目指し、XMLのようにシステム設計とプログラムでなるべく最適加工を最小コストで行う方向で競争がされている。デジタルコンテンツの加工ビジネスとは、この目的指向のパートナーになることである。

漠然とIT化したといっても、実際には人手のかかるドロ臭い作業が必要だろうからという程度の取り組み姿勢では、最適加工を最小コストで行うパートナーとは考えてもらい難いだろう。ITの進展はおそらく1980年代の想像以上のものになったのだろう。Googleは世界中のWEBサイト100億ページを索引化するくらいになっている。これでは「手作業」「泥臭い」などの方法はあり得ないところまできている。こういった巨大サイトの活躍の影で、手作業サイトはビジネスにならなくなっていく。

またWEB情報が増えるに従って、印刷原稿がそこから来るようになるばかりでなく、コンテンツをテンプレートに流し込んでWEBページを自動発生させる方法が印刷にも多くなるだろう。DTPも手作業から自動組版、自動文書生成へと進まざるを得なくなるのではないか。文字であれ画像であれ、また映像であれ、コンテンツを加工する道具がデジタルになったのに、アナログの時代と同じ位置付けで作業をしていても仕事の付加価値は上がらない。こういった変化に意識を向けて、デジタルの土台の上ではどのようにコンテンツ加工ビジネスを進めればよいのかを考える場として、2006年2月1日〜3日のPAGE2006に注目していただきたい。

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2005/12/02 00:00:00


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