デジタルネットワーク化の一要素となる印刷CIMについては,その概念を知る段階から,自社なりの形で将来実現していくべき課題であるとして,いろいろな情報を集めながらじっくり取り組んでいく段階,との認識も増えている。中堅の印刷会社では,MISの再構築に当たってJDF対応についてどうするかの関心は高い。
一方,印刷CIMで使われるJDF規格については,バージョン1.3が2005年9月に発表され,工程進行途中で各種変更が多い印刷物生産により柔軟に対応できるようになるとともに,その適応範囲がオフ輪やパッケージの生産に広がるというように,進化を続けている。デジタル印刷機を使う印刷物生産の場合には,印刷CIMがほぼ実現できるところまできている。印刷CIMは,各社が具体的にその実現に向けて考える時期に来たということである。
@自社のMIS再構築
・統合システム化
・電子伝票化
・CIMに則した工程管理の流れ
・シミュレーション機能付加
AMISと生産設備との連携
・MISのJDF対応
・生産設備(プリプレスと印刷・後加工設備)の入れ替え
B外部組織との連携
・Web利用による情報共有
・EC/EDI
C上記の内容に応じた組織,役割分担の変更 ・特に営業と工務業務の見直しと変更
デジタルネットワーク化では,MISと生産設備との連携による自動化や顧客,外注先あるいは、資材発注先といった外部との連携を目指すので,仕事の流し方や情報の流れ,つまり受発注と工程管理の内容は従来と異なるものになるし,その中で業務の自動化も目指すから,MISの機能としては,判断以外の人の介在を極力排除したものにしなければ十分な効果が得られないことが想定される。基本的には統合システム化されていることだが,それ以外にシミュレーション機能のような従来のMISにない機能を付加したMISにする必要がある。
MISと生産設備との連携では,JDFがXMLで書かれているので,MISのXML対応をどのようにしていくのかを考えておかなければならない。
システム構築時点だけではなく,以降の展開,つまりJDFのバージョンアップや自社システムの改変時のことも当然考慮する必要がある。後者の点からは,自社開発で進めるのかあるいはJDF対応をうたっているパッケージソフトを使うかの判断も重要である。
印刷機のような生産設備のJDF対応は,設備の入れ替え時期を見計って行うことになり,移行過程では新旧の設備が混在することになる。この段階では,どの程度のことを目標にするのかによって,付帯設備の考え方も変わってくる。
外部組織との連携については,考えられる相手先(顧客,外注先,資材調達先)として,いつ,どの時点でどのような連携をするか,また,一気に理想形にもっていくことはできないから,ステップアップの計画が重要である。 MISの再構築,外部組織との連携の内容によってはかなり大きく業務プロセスが変更されることになるから,社内の各部門や担当者の役割は変わることになる。特に,営業と工程管理部門に関わる部分が多いので,場合によっては組織変更も考えなければならないかもしれない。
以上,デジタルネットワーク化,印刷CIM実現のために考えるべき範囲と内容概要を述べた。
最初に述べたように,最終の形は企業それぞれによってかなり異なるものになるだろう。どのよう形であるかは別に,ステップ・バイ・ステップで進める必要がある。このとき、すでにかなりのとこらまで印刷CIMを実現してきた企業の経営者の「導入に当たっては,他社の事例などを当てにするのではなく,すべてを自らが判断,決定していく必要がある」というアドバイスは非常に重要である。
(「JAGAT info2006年1月号」より)
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2006/01/18 00:00:00