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印刷業オンラインKPIベンチマークサイト オープンにあたり

従来の経営計画立案や戦略選択における課題

 多くの企業は,業界の平均指標などを参考に会社経営の指針や戦略選択の参考にする。定量的な経営目標を設定する上で大切なことであるが,平均値を参考にしている限り,平均的経営から脱しにくいことも意味している。このような意味で,ベストプラクティスを実践する企業を発見し,その仕事の手法を研究して採り入れていくベンチマーク手法は非常に有用であろう。しかしながら,世の中ほとんどの企業は費用と人員をベンチマークに投入するほどの資源を持ち合わせない。日本の株式会社の99%はいわゆる中小企業なのである。

なぜKPIをベンチマークするのか

 明日1月20日の10時にオープン予定のサイトはこのような観点から構想された。Web上で仕事の手法をやりとりすることは難易度が高くコンサルテーションの領域に係ってくるため,現時点では難しい。従って,総資本経常利益率をキーとした業績別5段階(Best,Better,Midlevel,Poorer,Worst)のKPI(Key Performance Indicator=重要業績指標)を提示し,自社業績との客観比較をWeb上で可能にしようとする,KPIのベンチマークシステムとしている。

特徴と機能

 このサイトは,(1)オフ輪の有無別,(2)全国4地域,(3)従業員4規模,(4)印刷業4業種から自社特性に近いセグメントを選択(複数選択も可)できるため,'Best'企業群との乖離を定量的に把握,自社の業績ポジショニングを確認して,経営の参考にすることができる。例えば「首都圏の商業のオフ輪非保有」など。'Best'企業群との乖離は,どのような仕事のやり方の違いから生まれているのか,なぜそうなったのか。乖離幅を縮小させるためにすべきことは。自律的に構造的に考えていくことが真の目標へ到達する第一歩となるし,当サイトはそのための一助となることを目指している。また,これを手がかりにサイトコンテンツ充実させていく第一歩と位置付けている。

自社業績の相対評価の必要性

 年次では財務諸表に基づいたベンチマークが可能であり,月次では売上高や用紙購入額など6指標を他社と比較できる。2004年度の「Best」企業群の営業1人当り年間売上高は合計で見ると128百万円であるが,オフ輪非保有の企業では111百万円であり,オフ輪保有企業では164百万円となっている。また,ある月の売上高前年比が103%だとしても,業界全体が110%だったときと,95%だったときでは「103%」の持つ意味は自ずと異なってくる。このような意味で,業界他社やマクロ動向を常に意識し,自社業績を相対的に客観評価することは,正確な意思決定を行う上で不可欠であろう。

ご利用条件

 このサイトは,JAGATが媒介して助言機能を果たし,会員企業相互が有益なデータ交換を行うことで,会員企業相互の繁栄とひいては印刷業界全体,周辺産業の発展に寄与することを目指しています。従って,データ入力や経営力調査票への回答が利用条件の一つとなります。
 (1)JAGAT会員企業であり,(2)印刷会社(プリプレスデータ加工(出力)業,製本加工業,デジタルコンテンツ・Web制作業,その他印刷関連業を含む)であり,(3)利用申込みをしてメンバーになり,(4)自社データを入力するか,経営力調査票に回答することで,利用資格を得ることができます。なお,利用料は無料です。
 JAGAT会員企業の方は,1月20日発送予定の「2005年度 印刷産業経営力調査」に同封されるご案内をご覧ください。
 また当サイトへのリンクは,1月20日(金)にJAGATホームページの左側上部に表示の予定です。

※上記は予定であり,諸般の事情により日程を変更することがあります。予めご了承ください。

2006/01/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会