現状の大きな課題に印刷の多品種小部数化による印刷会社の利益率の悪化がある。JDFは電子伝票の規格であり最新バージョンは1.3であるが、現状の課題を解決できることを念頭に置きながら規格内容が決められてきている。ここではJDFver1.3に加えられた内容を見ながら、実用化に向かっているJDFについて報告する。
1.より効率化、更なる自動化の推進のために
印刷会社では受注時にジョブチケット、面付け仕様、コンテンツなどを確定するワークフローこすることで、製版処理工程(工数)の削減、校正処理(印刷側、客先の双方)回数の削減など、印刷品質・スピード・価格の差別化を図って仕事を確保し、効率化による利益率の改善、さらに他社に比べてのページ単価の競争力を保持し、納期短縮を顧客に提案できるだろう。
2.CIP4/JDFは3つのキーワードがある
○インテグレーション
生産システムと経営情報システムを統合化できる。
○マネージメント
生産機が準備中、稼動中、完了時などに稼動状態などの詳細データをMISに送信してくるので、プロセスとリソースの管理(ボトルネックや在庫の削減)ができる。
○オートメーション
印刷機ではプリプレスから刷版情報、及び絵柄データの自動取得とジョブへのリンクによって、システム間の情報の受け渡しの自動化、機器のコントロールとセッティングの自動化ができる。
3.現状のプリプレス工程の問題と課題
顧客から発注依頼があり、原稿が入稿した段階では大まかに、部数、刷色、製本タイプ、紙質、サイズなどの要求しようが示されるが、印刷側での校正作成、客先の校正・承認・確認、印刷側での直しのサイクルが回ることによるタイムラグの発生があり、その結果、最終的なチケット作成、面付け作成、プリフライト、Trap処理などは最終的な校正承認以降になり、それからCTP出力、印刷が行われる。
現状では、このようにフロントと印刷サイトでのやり取りに時間を要している。
4.JDF 規格から見たワークフローのコンセプト
JDFの規格の方向性からは、顧客/制作側での校正承認を含めてできるだけ前工程で必要な作業を完了させようというものになってきた。たとえば、JDF1.3では、Proofing(校正)、Approval(承認)の機能を強化して、顧客が発注前に出力結果を'簡単に'確認が可能になるような、JDF連携による「レスプルーフ化」の推進による更なる効率化、短納期を可能にすることが考えられている。また、面付けデータの定義については、顧客/制作側でCTP、印刷等で必要なパラメータを'自動で'生成できるようにすれば、CTP〜印刷工程の自動化を推進することも可能となり、コストダウンに貢献することができるだろう。
5.JDF Ver1.3に加えられた機能の概要
(1)Ver1.3の公開
Sept 9-15(Print05): Public Announcement
Sept 30:Publication
JDF Ver1.3は2005年9月に公開された最新のバージョンであり、各ベンダーが対応して実際の製品に反映していくのはこれからである。また、ICS V1.3については現在、策定中である。
(2)JDF1.3 MIS-Prepress関係への追加項目
○JDF/@Status=Interrupte
'特急'などの割り込み(Status='Interrupted')ができるようになる。これは装置の不具合(Status='Stopped')によるものとは異なる。
○<新規>のJMF Messages
受注内容の変更管理やJDFの同期ができるようになる。
・UpdateJDF: resource links の変更又はresources の新規追加
・ModifyNode: 送付済みJDF内部のattributes を変更
○Proofing の強化
・Proofing ICS を設定
・Approval and SoftProofingをMISto PRE ICSに追加
・Graybox: PageSoftProofing, ImpositionSoftProofingを新規に追加
○Approval Structure
・承認者のトラッキングが可能
・承認の無効化が可能
○Versioning対応
・欧州多言語対応のため、K版のみ言語別に設定可能(File Format Conversion)
6.JDF Ver1.4の検討が始まっている
大貼り運用(大判でいくつかの仕事を付け合せて刷る場合)については、次期のJDF Ver1.4で検討されている。
検討内容は、大貼り運用をどのように記述するか、ひとつのJOBに複数の発注者(顧客)をどのように書くのか、、印刷後にどのように再分割(個々のJOBに戻す)するのかなどである。
次のようやり方が検討された。、
・MISはそれぞれのJobにひとつのJDFを作成
・MISは大貼り用のJob< gang job>を、別途作成
・大貼りするJobの情報を全て含むJDFは作成しない
大判の出力装置に送るJDFは
○JMF:SubmitQueueEntryに大貼りプロセスを記述
○大貼り関係のResource/Component/Device/Mediaを定義
・Inputs:定義されるResource:
・StrippingParams
・Layout(Incomplete / Empty)
・RunList(Incomplete / Empty)
○'Ganging Device'(大判の出力装置)からの出力
・全て定義済みのStripping
・全て定義済みのLayout
・集約されたRunList
○この出力からMISがGangJOBを作成
・各フィールド(Prepress,Printing)へSubmitする。
7.JDF Ver1.4 の予定
仕様に関する最終議論は2007年春のInterop(相互互換テスト)で、正式発行は2007年秋、Drupa2008までにがVer1.4の実装期間になるという。
8.CIP4活動
CIP4会員のベンダー技術者が世界中から集まって定期開催しているInter Operability TESTの次回は、2006年5月14日(日)〜19日(金)に富士写真フイルムがホスト役となって新宿住友ビル47Fで開催される予定である。
9.おさらい(JDFワークフロー)
(1)ジョブの開始時(ステップ1)
○MISから各装置へJDF(ジョブチケット)を発行
JDF(ジョブチケット)の内容:
・ジョブの情報:ジョブ名、ジョブの説明…
・顧客情報:顧客名、顧客ID…
・ノード情報:ジョブ開始時刻、終了時刻…
・各プロセス情報:(印刷プロセスの場合は)
・パラメータ:設定値…
・用紙情報:用紙サイズ、厚さ、紙質…
・色の情報:色数、刷順…
・印刷枚数:本紙枚数、損紙枚数…
(2)ジョブの開始時(ステップ2)
○プリプレスによるリソース準備完了通知
(3)ジョブの開始時(ステップ3,4)
○リソース準備完了通知と、データの取得
(4)ジョブの開始時(ステップ5)
○絵柄データからインキ・キー開き量に変換し、ジョブとリンク
(5)ジョブの開始時(ステップ6) ○インキ・キー、紙サイズをプリセット
(6)ジョブの実行中
○各装置からMISへジョブの状態をJMFによって定期通知
JMF(シグナル)の内容
・デバイス情報:デバイスの状態、スピード、生産量…
・オペレータ情報: オペレータID、シフト…
・ジョブフェーズ情報:本紙枚数、損紙枚数、ジョブの状態…
・オペレータコメント:
(7)ジョブの完了時
・各装置からMISへ更新されたJDFを送信
・JDFにジョブ終了時の状態を記録する内容
ジョブ情報:ジョブ終了時の状態(完了、中止など)
・ジョブの開始時刻、終了時刻
・トータル時間
・トータル本紙枚数 、トータル損紙枚数
2006/02/25 00:00:00