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日本語文字セットとフォントの新しい環境2006年リリース予定のマイクロソフト次期OS,Windows Vistaでは,「国語施策として示されている印刷標準字体」及び「法令に基づく施策である新人名用漢字」の双方に対応したJIS X 0213:2004規格に対応した日本語フォントが搭載される。 PAGE2006コンファレンス・グラフィックストラック「日本語文字セットとフォントの新しい環境」では,文字セット拡張の意義と互換性等の問題,DTPにおける日本語フォント環境について議論をおこなった。
JIS文字コードと国語施策の歴史
小形 克宏 氏
1946年,文部省により当用漢字表が制定された。これは日常使う漢字を一定の範囲に制限したものである。1949年に,当用漢字字体表が制定され,字体の標準が示され,異体の統合,略体の採用,点画の整理が図られた。この時点で既に表外漢字の字体不統一が問題になっていたと言う。1978年,通産省によりJIS X 0208(78JIS)が制定された。
1983年,JIS X 0208の最初の改正,いわゆる83JISができた。ここでは,例示字体を略字体に変更し,変更前の伝統的な字体を第2水準に追加,例示字体のうち第1水準の伝統的な字体を,第2水準の略字体と入れ替えた。また,例示字体の文字の形を256字変更した。 2000年に,JIS X 0213(00JIS)が制定された。JIS X 0208の6,879字に加え,これを拡張する4,344字を規定した。97JISで規定された互換基準,29字が追加された。この追加により,JISコードとして初めて78JISの字体と83JISの字体両方が同時に使えるようになった。
その11ヵ月後,文部省は表外漢字字体表を発表した。非常に長い時間をかけ,非常に慎重に検討していた。しかし,JIS X 0213の後になってしまった。ここでは印刷標準字体1,022字,そのうちの22字については簡易慣用字体も併せて示している。 JIS X 0213は,2004年に改正され,JIS X 0213:2004となった。例示字体を印刷標準字体に変更した。これが168字ある。目的は,国語施策で示されている字体と完全に合致させることである。 現在のMac OS Xのヒラギノフォント,アドビシステムズの小塚フォントは改正前のJIS X 0213に基づいたデザインがされている。2006年末に発売されるWindows Vistaの新MSフォントは,改正後のJIS X 0213に基づいたデザインである。この結果,両者の間で,あるいはVista以前のWindowsのバージョンとVistaとの間で情報交換をすると,「字体化け」が発生するということになる。
アドビの文字コレクションと標準の文字セット
アドビシステムズ(株) 日本語タイポグラフィ マネージャー 山本 太郎氏
■アドビの文字コレクション文字コレクションとは,アドビだけが使っている用語で,文字・種々の字体のバリエーション・記号類の集合のことである。一般的にグリフセットと言われるものと,ほぼ同じである。ここで言う文字とは,JISコードの規格等で言うコード付けされた文字という意味ではなく,グリフセットであるというふうに解釈してほしい。
Adobe-Japan1-0 ■OpenTypeと字体切替え
アドビは,OpenTypeフォーマットを推進している。OpenTypeでは,字体切替え,文字の配置切替えもフォントの中に含めることができる。 OpenTypeには,印刷標準字体に対応するnlck,jp04という2種類の仕組みがある。この仕組みを利用するには,アプリケーションが対応しなければいけない。最新のInDesignの場合,nlckに対応している。nlckをサポートしているフォントを使って,字体切替えフィーチャーをサポートしているアプリケーション上でnlckを指定すると,普通のデフォルトの字体が印刷標準字体の字体に切り替わる。 印刷標準字体とJIS X 0213:2004に対応するには,字体,字形がないといけない。ほぼそれはAdobe-Japan1-6のフォントになるか,あるいはそのサブセットの形のフォントになると思われる。アドビ以外のフォントベンダーも,nlck及びjp04のフィーチャー情報を含むOpenTypeフォントを作ることで,印刷標準字体とJIS X 0213:2004に対応することが可能である。 ■文字コレクションへの字体追加 従来のフォントを用いてユーザが作成した文書と,新しいAdobe-Japan1-6の文字コレクションに対応するフォントを用いて作成した文書との間には,単純に文字を拡張しただけなので,非互換性は発生しない。
今後も標準的な文字セットの拡張や追加,新しい規格の定義や字体の変更もあると考えられる。その場合,アドビの文字コレクションは,既存の字体の変更ではなく,新しい字体を追加する。既存の字体の変更は,文書の再現性の面で危険性があり,おこなわない。1つの字体を変更すると,結局は変更前と変更後の2つの字体が必要になる。 現在アドビでは,2006年度中に印刷標準字体とJIS X 0213:2004に対応するAdobe-Japan1-6のOpenTypeフォントのリリースを計画している。詳細ははっきりしていないので,いつ出るのか,どういう形で出るのかはまだわからない。
標準とWindows
マイクロソフト プロダクトディベロップメント リミテッド Windows開発統括部 阿南 康宏 氏
■「日本語」Windowsと標準
「日本語」Windowsの役割は,「日本語」を利用するための標準的な環境をWindowsに実装することである。そのための仕組みが主として3つある。NLS(National Language Support)と,文字コード,フォント関連技術である。 Windowsに搭載しているMS明朝,MSゴシック等のMS書体は,標準的な日本語を利用するためのシステムフォントという位置付けになる。最新のWindowsを使用することで,国語施策にも合って,しかもワールドワイドな文字コード標準に合う標準的なテキスト処理環境,フォント環境をWindowsは用意する。 ■JIS2004の背景と対応指針
2000年12月,国語審議会答申による「表外漢字字体表」では,常用漢字とともに使われることが多いと考えられる表外漢字1022字を特定し,その1,022字に限って印刷標準字体を示した。
たとえば,「シナカモメ」,「バツカモメ」のどちらが標準かというと,Unicode的には両方取扱いが可能だが,特に指針がないときは,必ずシナカモメを使うというのが基準である。常用漢字と同様に,法令,公用文書,新聞,雑誌,放送と一般の社会生活に使用する場合の文字の字体選択のよりどころを決めたものである。 例示字形を変更してまで標準字体が必要な理由は,特定のプロフェッショナルが印刷標準字体を必要としているからではない。国語審議会の答申にあるように,印刷標準字体は子供から大人まで皆が共有すべき文字だからこそ,標準的に使えるようにならなければいけない。このような立場から,JISの例字字形の変更がおこなわれた。 UCS,Unicodeというところに符号化の標準が移っており,マイクロソフトの対応も,0213,JIS2004対応と言うときには,符号化方法はUnicodeを意味する。 ■Windowsから見たJIS2004
Windowsから見たJIS2004は,日本語の表示に必要な標準的な文字レパートリである。さらに,JIS2004に例示されている字体の採用は,日本の国語規範・施策に適合することでもある。
国語施策として,ようやく標準字体が定められた。マイクロソフトの本来の立場は,同じ国語を共有する利用者に国語「標準」を実装し,提供することである。
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