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生活者の嗜好を鏡として映す折込広告

■拡大を持続する折込市場
 読売ISのデータによれば、2006年1月において首都圏の1世帯1か月当りの新聞折込平均枚数は664.2枚、対前年比+1.8%増だった。地区別に言えば、都下(+3.4%)、神奈川(+1.3%)、埼玉(+1.6%)、千葉(+5.3%)の4地区は前年を上回り、都内(▲1.5%)のみが前年を下回った。
 折込出稿数を底上げしているのは、基盤となる小売業が、準百貨店以外で順調に伸びた(+5.7%)ことをベースに、医療・健康系を主体にサービス業(+4.4%)と、金融保険業(+11.5%)が全体を引っ張った。一方、年々シェアを下げている不動産業からの出稿(▲9.4%)は前年割れとなっており、5年連続の減少である。また教育・教養事業(▲2.7%)も落ち込みを見せている。総じて、一方で今後に陰りを与えると思われる状況も見られるものの、折込広告市場は拡大基調で推移し、印刷企業にとって魅力ある市場と言えよう。

■生活者の購買行動における折込広告
 折込広告の市場を考える場合、情報を入手する生活者は、どのような反応を示しどのような行動を取っているのであろうか?生活者は、日々情報に囲まれた環境において、平均的にメディア接触率は、テレビ、新聞に次ぎ、折込は第3位の地位を占めている。
 一方で、その接触時間は、テレビやインターネットが夕方から夜の時間帯に比較して、新聞、折込は圧倒的に午前の時間帯であり、接触上の競合は回避されている。また、テレビは商品認知、興味喚起の手段となるのに比べ、折込は行動促進つまり購買直前の意思決定に働きかけることが多い。

■生活者の折込広告活用スタイル
 折込広告の出稿部数の規模拡大と同時に、購読するチラシも多種多様に増加し、ニーズの多様化の様相が出て来ている。これは性別や年齢層、さらにライフステージ(学生、未婚、既婚、子供の有無、等)や個人の趣味や嗜好によっても異なっている。また、購買行動に直結する段階で見ることが多いため、商品認知の段階に比べ、取捨選択が明確であり、選択眼も厳しいと思われる。
 いずれにしても学生以上の全人口で平均85%以上の人が折込広告を見ており、この多様化するニーズにマッチした内容の折込広告を出稿することは、生活者が購買直前の意思決定をする現状を見ると、非常に効果的であると言わざるを得ない。
 近年、インターネットに代表される情報インフラの整備、情報技術の進歩を考慮すれば、この細かな生活者の要望やニーズをきめ細かく捉える手段は可能であり、そこがビジネスの成功要因であり、競争優位性の源泉の一つではあるまいか。

 2005年の折込市場の市場動向、及び生活者の視点から折込広告を捉えることを目的に、来る4月27日(社)日本印刷技術協会では、読売インフォメーションサービスの柴山氏を招き、「折込広告の最新動向」と題して拡大ミーティングを開催する。

データ出典:「年間折込広告調査REPORT 首都圏版」、「折込広告 活用される生活情報源」株式会社読売インフォメーションサービス

2006/04/07 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会