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スキルレスDTPによる新たな出版ワークフロー(テキスト&グラフィックス研究会 速報)

スキルレスDTPによる新たな出版ワークフロー

株式会社NSS 副社長 表 淳一氏

株式会社NSSは、「週刊ゴング」を発行している日本スポーツ出版社の子会社で、システムの開発・販売をおこなっている。日本スポーツ出版社より依頼を受け雑誌編集・統合組版システムを開発し、2006年4月より一般販売を開始した。

開発に際して、フリーレイアウト対応で編集者自身が容易に操作できること、DTP内製化によりコスト削減をおこなうこと、画像やテキストなどの素材データの2次利用を容易に行えることを目指した。新ワークフローのポイントは、全てのデータをシステムが一元管理すること、テンプレートに流し込むだけで組版操作のほとんどがおこなえるスキルレスDTPを実現すること、素材データの2次利用が容易なことである。

ライターへの原稿依頼は、自動メールにて行われる。返信が自動入稿メールとなり、サーバー上で全半角文字の統一、約物数字の表記統一、外字処理・ルビ処理などの自動校正が行われる。デザイナーに依頼して作成したテキストフレームへの流し込みは、テキストフレーム上の合番とテキスト原稿上の合番により一括でおこなうことができる。この操作は、InDesignのプラグインで実現しており、編集者はInDesignの機能や操作を覚える必要がほとんどない。
原稿の一覧や記事の一覧、進行状況がすべて閲覧することができ、工程管理がおこなえる。またレイアウトデータからWebページへの一括変換機能も持っている。
今後は、機能の充実を図るとともに、自治体広報誌やマニュアル等への展開も考えている。

「週刊ゴング」のポジ資産デジタル化プロジェクト

株式会社NSS 執行役員 松山 孝一氏

「週刊ゴング」では、過去35年に撮影した1500万点以上の貴重なポジを保管している。しかし、倉庫の費用もかかり、また必要なものを迅速に探すことができず2次利用もあまりされていないのが実状であった。

NSSでは、コスト削減のためベトナムに会社を設立し、「週刊ゴング」向けのポジ資産デジタル化サービスを行っている。現在、月5万点ずつデジタル化している。1点あたりの費用は、国内同業他社の数分の1程度である。解像度・品質に応じてキヤノン製スキャナとハイエンドスキャナを使い分けている。解像度は150dpiから8000dpiまで、画像フォーマットはTIFF・JPEGデータと、要望に応じて対応している。実画像の他に、検索のためのサムネイル画像も付けている。
オプションで、PDFデータを作成することもできる。OCRでファイル名や文書・撮影情報を読み取り、自動的にPDFのプロパティに書き込む。この方式により、全文検索のような画像ファイル検索を実現することができる。

「週刊ゴング」では、過去のすべてのポジではなく、さまざまな特集号や別冊としてすぐに利用する一部をデジタル化する予定である。
また、NSSでは新聞社や出版社などフォトストックを持つ企業にデジタル化サービスを提供していく。

2006/04/05 00:00:00


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