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1兆円規模を目指すインターネット広告

■サーチエンジンで牽引されるインターネット広告
日本のインターネット広告は2002年に一度伸びが鈍ったが、2003年以降は年率40%以上の伸びを継続している。米国のインターネット広告も、2002年まで減少する局面があったが2003年以降は年率27%強で再び伸び始めた。これらの伸びを牽引したのがサーチエンジン広告である。米国の2005年のインターネット広告費(120億ドル強)の40%が、Googleの「リスティング広告」を代表とするサーチエンジン広告である。これはインターネットのもつ地理的制約を受けないグローバル性により、海外国際ビジネスの割合を増やしていることが大きく寄与している。
日本でも、2005年のインターネット広告費の21%をサーチエンジン広告が占めている。 サーチエンジン広告が伸びる理由は、利用者のニーズに沿った広告を送り込むことができることと、利用者のアクションに応じた広告料金体系になっている点で、広告主にとっては費用対効果の透明性が高い手段だからである。広告効果の測定は、常に大きな課題として残されてきたが、インターネット技術はその課題に有効な回答を提供しつつある。今後は、サーチエンジン広告を進化させた「コンテンツ連動広告」や「行動分析マーケティング」などの伸びが期待されている。

■範囲の経済(シナジー)を志向するモバイル広告
インターネット広告で注目されるもうひとつの分野が携帯電話である。モバイルインターネット広告は、2005年で288億円、インターネット広告全体の10.3%になっている。第三世代携帯電話と携帯電話通信料の定額制の普及、携帯電話端末のハード・ソフト両面でのさらなる性能向上によって、固定系インターネットの世界に近づきつつある。その上で、位置情報データを組み合わせた情報発信機能の活用など、独自の効果を生み出すメディアとしてその存在感を増すことは間違いない。

■1兆円市場に成長し、テレビに次ぐ第2位の地位に
インターネットが持つ情報検索機能や口コミ的なコミュニケション機能と、それらを利用する消費者の意識の変化は、ニッチな商品、市場を対象としたビジネスを可能にした。 「みずほ産業調査 2006 No1」(みずほコーポレート銀行)は、2011年にはインターネット広告が1兆円近くに達するとの予測を発表した。シナリオは、最初にサーチエンジン広告、アフィリエイト広告など成果連動型の広告が伸び、次いで大企業広告クライアントのブランディング需要に応えるTVなど既存マスメディア広告と組み合わせた「クロスメディア・コミュニケーション」の一環としてのインターネット広告需要が顕在化して伸びる。そして2007年頃からはモバイル広告が他の分野の伸び率を越えて拡大し、2011年におけるインターネット広告の規模は9814億円となり、新聞を抜いてテレビに次ぐ第二の広告媒体になると試算している。

2005年のインターネット広告市場の動向、及びインターネットを活用したマーケティング・コミュニケーションについて、来る5月30日(社)日本印刷技術協会では、みずほコーポレート銀行の産業調査部 浅野氏を招き、「インターネットにおけるマーケティングコミュニケーションの動向」と題して拡大ミーティングを開催する。

2006/05/10 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会