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フリーレイアウトの商品カタログ制作に対応するDBパブリッシング

DTP上でおこなう自動組版が制作会社、印刷会社で注目されている。しかし、商品カタログは定型的なレイアウトの印刷物と違い、データベース整備も大変であり、レイアウトも不規則な表組を多用するなど自動組版には向いていない。
商品カタログに適しているのは、半自動組版ツールとオペレータの手作業を組み合わせることであり、フリーレイアウトに対応した組版レイアウトを実現することができる。また、カタログ制作を行うことで次年度用のデータベース整備も進めることができる。
デジタル・アド・サービス常務取締役の松田孝氏に、商品カタログの制作に適した自動組版について話を伺った。

商品カタログにおける自動組版の難しさ

デジタル・アド・サービスでは商品カタログの制作を手がけているが、自動組版への取り組みは順調ではなかった。
自動組版を行うには、与えられるデータの量や整合性を事前にチェックする必要がある。顧客側で責任を持って実施してもらえる保証もない。色校で初めて文字の校正を行うということも少なくない。実際の組版の形になるまで、データの内容、構造、フォーマットがなかなかチェックされないということも多い。
商品の型番やキャッチコピー、カテゴリーのタイトルなどは商品情報データベースに入っているが、どの位置にどのようにまとめ掲載するかという情報はない。商品の写真が3つある場合、商品説明文が必ずしも1対1で対応しているわけではない。このような場合の扱いをどのようにするかは、顧客と受注側のディレクターが一緒に組み立てていく部分であるが、この情報はデータベースに入っているわけではない。
結果として、それほど複雑でないカタログでも、商品情報を組み上げるルールを作り込むのはDTPで組むのと変わらなく、ルールを明確にする負荷は思いのほか大きい。

顧客側の商品情報データベースの必要性

顧客側からも、商品情報データベースを構築したいと言われることが多くなったが、あまり実現されていない。商品情報データベースを営業部門での販促資料の作成に使用したい、メーカーから販社や流通に商品情報を提供したい、Webカタログを構築したいなどの要望が増えている。

そこでデジタル・アド・サービスは、顧客に対して「カタログを制作しつつ、ある過程で商品情報データベースを構築して提供する」と提案している。商品情報データベースがある場合、それに欠けている台割情報を付加することによって、カタログを制作する。そのために現在デジタル・アド・サービスがバックグラウンドで使っているツールが、Catalog Composerである。

Catalog Composerの動作

Catalog Composerは、商品情報データベースを覗き込むための窓をInDesign CS2の上に持たせ、商品データベース側とのマッピング関係を1対nで組み、DTPを進めるという考え方のソフトウェアである。マッピングは常に保持されており、商品情報データベースの内容が更新されても、変更を指示する必要はない。表計算ソフトで言うなら、あるセルを参照している別のセルがあり、参照されているセルの内容を変更すると、参照しているセルの情報も変わる。このようなことが、データベースとDTP側でブリッジングして行われる。

商品固有のデータとカタログに掲載するための台割情報、組版情報を分離して扱うことができる。商品情報データと台割情報データがあり、それに半自動的にビジュアルデザインが適用されカタログが完成する。デザインは決まっているが価格が後で決まる場合、後で修正すれば、それが自動的に反映される。ただし、デザイン作業、どの情報をどこに配置するかは人間が判断する。完全な自動化というより、半自動組版とも言えるし、フリーデザインに対応しやすいとも言える。

Catalog Composerが商品カタログに適している理由は、複数商品からなる表組にも対応できることと、コレクション単位で再利用が行いやすいことである。情報構造は同じでも、ビジュアルデザインは別で管理している。実際にカタログ制作を行っていると、共通商品情報という考え方が出てくる。たとえば商品が5つあり、各商品の共通する情報がひとまとめにされるようなものである。コードと価格は違うが、共通している情報は別途管理できるようになっているので、実際のカタログ制作には使いやすくなっている。

(概要はJagat Info 2006年5月号,詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報 Text & Graphics No.240に掲載)

2006/05/03 00:00:00


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