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マス・パーソナライゼーションの時代へ

efi社のユーザーコンファレンスConnect(コネクト)が米国・ラスベガスで開催された。今年で7回目を迎えるが、年々参加者が増加しており、今回は1300名(900社)が全米から集まった。米国ではデジタル印刷のコストが大幅に低下してきたこともあってか、4割の人が印刷会社から来ており、950ドル(通常価格)を払って会議に参加していた。開催前日の4月30日(日)には早くもシステム管理者向けの技術セミナーが開催され、続く5月1〜3日は1時間刻みのセミナーが、200本近くも開催された。日本からの参加者は出展者を除くとわずか2人である。
日曜日の夕方6時からは歓迎を兼ねたオープニングセッションがあり、続いて歓迎パーティが催された。

マス・パーソナライゼーション
オープニングセッションで、ガイ・ゲットCEOは、「アップルのiPodは音楽をパーソナル化しており2006年の第一四半期は2004年の7.5倍も売り上げが伸びたし、インターネット経由のテレビ視聴が3000万世帯になると予測される2007年には、広告主の6割は今までのテレビの30秒CMの効果に疑問を感じて、広告予算を5〜10%減らすのだ」という話から切り出した。そして、ダイレクトメール(DM)+データプリント+カラー化=大きな「マス・パーソナライゼーション」市場になると強調していた。発注者はカラー化による高い応答率を期待しており、現在のデジタル技術によって、狙いの市場に的を絞った少部数のカラー印刷を、狙いの対象に向けて打てるようになる。 例えば、自動車のフォードではDMの内容をパーソナル化しているが、これを増やして2年後には1日当たり平均200種類以上のDMを客に送り込むことで、車を購入する見込み率を平均7〜9%に高めることを画策している。 印刷会社などの顧客にとっても、今後はパーソナライズなビジネスが必要になるので、このようなニーズにこたえられることが、ビジネスチャンスを拡大することになると述べた。

歓迎パーティの会場は展示会場
夜7時から10時は会場を隣に移しての歓迎パーティであるが、そこはパートナー出展者の展示会場でもあり、efi関連の展示に加えて、アドビ、ゼロックス、キヤノン、東芝、リコー、大日本スクリーン、ハイデルベルグ、小森コーポレーション、ローランド、さらにXMPieなどのソフト関係の企業15社が協賛していた。

デジタルプリプレスの総合ソフトベンダーに
デジタル出力機向けRIPであるFieryから出発した同社が現在提供する製品群は、Web入稿やJDF対応を含む入稿・制作システム、MISや工程管理システム、面付けやCTP・オフセット印刷とデジタル印刷をつなぐOneFlow、そして主力製品のFieryや、大サイズカラーインクジェット出力機であるVUTEkも提供している。扱うデータはすべてデジタルデータであり、管理情報はJDF、コンテンツデータはPDFが基本になる。

Web to プリントシステムはMISと連携
印刷受注で大きな割合を占める営業人件費を最小にするためのインターネット受注(Web to プリント)窓口機能を持ったソフトにはDigitalStoreFront、PrinterSite Exchange、PrintSmithSiteなどがあり、MISとの連携もできる。JDF Jobチケットの指示を読み込んでPDFデータを取り出してデジタル印刷・加工への指示ができる。カラーマネジメントにはBest Application Suiteがあり、まもなく可変データ処理のためにXMPieも利用可能になる。

MISは大規模向けから小規模向けまで
同社は今やMISの総合ベンダーでもある。大規模な印刷企業向けから小規模なプリントショップ向けまで、Hagen、PSI、Logic、PrintSmithという4種類のMISを提供している。

ダイナミック・スケジュール機能
PrintFlowという工程管理ソフトは、グローバル・オプチマイゼーション・セオリー(大域最適化:数多く解が存在する中で最良かつ決定的な解を見つける手法)を応用している。画面操作としては、生産計画の棒グラフ(ガントチャート)を左右にスライドさせることで日程調整ができ、資材や日程の都合で複数の機械の仕事を瞬時に割り振れるダイナミック・スケジュール機能をもっている。また、リアルタイムの状況をWebサイトでも監視できる。 まもなくMISとの双方向の接続や、後付けの稼働記録計であるAuto-Countとのリアルタイムな統合もできるようになる。

経営を可視化するEIS(企業情報システム)
経営者は朝出社したらパソコンに向かってマウスクリックするだけで、昨日の経営状況が手に取るように分かるという経営ツールである。これはMISで集計された経営状況の結果をグラフなどで分かりやすく可視化できるデータマイニングツールである。

efi社
世界で初めてCEPSのレスポンス300を開発したサイテックスの創業者エフィ・アラジ氏が1987年に立ち上げた企業。製品はカラーマネジメントシステムソフトのはしりのCache(カシェ)に始まり、現在の屋台骨を築くことになる高速複写機やデジタル印刷機向けのハード製品として高機能RIPコントローラであるFieryシリーズの開発に成功した。Fieryはゼロックスやキヤノンなどの高速複写機から、超高速のコダック・バーサマーク向けなど、今まで世界中に100万台以上を出荷してきた。

(JAGAT 相馬謙一報告)

2006/05/23 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会