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Inca導入とアライアンスで新たなプリンティング市場を開拓

金羊社はHANEDA S&D FACTORY事業部を創設して、Inca Columbiaを導入、サイン・ディスプレイを中心とした新たなプリンティング市場開拓に取り組む。同社代表取締役社長 浅野健氏と同事業を統括する製版部部長兼S&D営業部部長國崎守男氏、S&D営業部副部長の野本清隆氏にお話を伺った。

変わるビジネス環境へ対応

金羊社は今年80周年を迎える。現在、同社のメインの仕事はオーディオ・ビジュアルなどエンタテインメント系の顧客が8割を占めるが、そのうちでも、特にエンタテインメント系のソフト用のパッケージ印刷が主力となっている。残りは商業印刷と出版印刷、CD、DVDのオーサリングなどである。

同社は、昭和30年代にレコード会社との取引を開始、徐々にエンタテインメント業界のソフトウエアパッケージに特化していった。しかし近年、ビジネス環境の変化に対応すべく業態変化などが起こっている中で、同社も業務転換していく必要性に迫られている。

そこで、インクジェットプリンタInca Columbiaを導入して、サイン・ディスプレイ関連を中心として、これまでの印刷市場を越えた業務エリアを開拓しようということで、HANEDA S&D FACTORY事業を立ち上げた。

「当社は商業印刷、出版、音楽関連市場という3本の柱があったが、この10年ぐらいで業務の中心は音楽・映像・電子ゲームのソフトパッケージ分野に絞られてきた。その理由として、商印、出版が過当競争だったことがある。もちろん、エンタテインメント系の仕事が過当競争ではなかったということではないが、まだ、商印や出版印刷に比べると、比較的競争が少なかった。しかし、ビジネス環境が変化する中で、従来どおりのことをやっていては次への成長が望めない。また、より顧客のために役立ちたいと考えた時に、現在の機能の強化と新たな業務領域の拡大が必要である。HANEDA S&D FACTORYは、その業務領域の拡大を担っている」(浅野社長)

HANEDA S&D FACTORYは金羊社の事業部門であるが、前面に金羊社の名前を出しているわけではない。それは、一つには印刷業界がもつ受注体質的な傾向から、少しでもこれまでと違った営業展開に変えてきたい。特にサイン・ディスプレイ、POP市場をターゲットにセールスプロモーション分野に力を入れていく上で、従来の事業分野と区別するために新事業部という形にした。

「受注体質を打破して能動的な体質をもった営業活動へ転換する社内の起爆剤になればということから、Incaを導入しました。Incaの仕事では、まずオーディオ・ビジュアル系の顧客の大判プリント需要に対応するなど、従来の顧客層との取引を続けることはもちろんですが、それ以外に、例えば建材メーカーや店舗内装などを手掛ける会社など、これまでわれわれのマーケットとして視野に入っていなかった業種・業界もターゲットになると感じています」(國崎氏)

Inca導入に当たって、國崎氏がヨーロッパを視察しているが、当地では、スクリーン印刷を行っている会社がIncaを導入している事例が多く、Incaユーザーの85%に上る。つまり、既存のオフセット印刷市場とは異なる市場となる。また、ヨーロッパのIncaユーザーは店舗向けのPOP製品などをメインに制作しているところが多い。一面で大判を印刷するだけではなく、多面付けができるので、ヨーロッパのユーザーは、POPを大きさによっては20面付け、30面付けで印刷している。看板・ディプレイ市場だけではなく、POPや建材市場など、市場が広がるということである。

『プリンターズサークル6月号』より一部抜粋

株式会社金羊社 HANEDA S&D FACTORY
URL http://www.sd-factory.jp/

2006/05/30 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会