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戦略力と現場力の調和が力を生む

掲載日: 2008年12月25日

すでに印刷改善の手法や手段は数多くあるので、印刷受発注両者のタイアップがそれらの活用の大きな鍵になっている。PAGE2009特別連載 その2

「プリントマネジメント」という言葉で、印刷物のコストカットを行おうという機運が日本にも起こりつつある。しかしコストカットはいつまでも続くものではない。毎年10%程度のカットを続けていても数年立てば半分になってしまう計算だが、それではプリントマネジメント会社自体の経営が持たないことになってしまう。今までのマネジメントが足りない時代からすると、最初のうちだけコストカットの大きな成果が出るのだろうが、その先にプリントで如何に価値ある仕事をするかという想定をしていないと、コストカットのためにコストを掛けるという奇妙なものになってしまう。
今日、デジタルプリントでも、デジタルメディアでも、従来の大量印刷に置き換えられる選択肢は増えているので、媒体の使い分けはある意味いろんなことが考えられ、どこかがうまくいった例を真似してコストとかワークフローの改善した気になることはたやすいが、新たな価値を生じたかどうかを見極めることはなかなか難しいだろう。てんでんバラバラな小さな改善を総計すれば大きな成果が出ることはなく、プリントマネジメントのようなやり方も戦略的に位置づけないと思い切った改革にはならない。

つまりその企業なり組織にとっての重要さから考える戦略的なプリントマネジメントという取組みと合わせて、個別の印刷物の価値あるいは果たす役割を向上させるという日常的な現場の視点を融合させた運動が必要で、それがコストカットと同時にストレスなく役に立つ印刷物を産み出す基盤を作り出すだろう。最近そのことに気づかされるような事例に出くわしたが、まだ大きな成果はないものの、印刷改善のヒントとしては重要だろうと考えた。

その会社はいわば社内印刷を独立させたようなところであった。そうなったのには2つの背景がある。第一はグループ企業の各本社が散らばっていたのが、だいたいひとところに集中してきたことである。そこで企業個別の対策ではなくグループ企業全体を対象として印刷関連の改善ができる条件ができた。第二はデジタル印刷の登場で、印刷の経験がなくても人の配置転換で印刷サービスの会社の組織化ができることである。印刷サービス側から見ると前者は営業上のメリット、後者は印刷の「質」に関するメリットである。

もとよりデジタル印刷は誰でもオペレーションできるので、実際にはOGである主婦の人が担当している。ここまではどこでもある話かもしれないが、その人たちは元々製品の出荷前の検査などに携わっていた人なので、単に印刷がうまく出来ているかどうかよりも、製品についての知識やチェックのポイントなどを知っていた。つまり印刷する内容もチェックできるような人であった。こういった人がそれぞれ一人でデジタル印刷の受注の営業から出荷までの流れをずっと携わることは、発注する側とのコミュニケーションもうまくいくし、発注するほうの安心感にもなる。当然ながらできた印刷物の信頼度も高くなる。

もうひとつはこれも今このことが起こっている背景に関係するが、開発や営業の方が自分でパワーポイントやエクセル、ワードを使って日常的に資料を作るようになっていることがある。しかしそれは素人仕事であり見劣りするとか適切な表現ではないこともある。そこで印刷サービスの側にデザイナを置いて、いくらか仕上げとかアドバイスとかテンプレート作りをすれば、見栄えはよくなるし、現場側も作業は簡単になるし、それらを使い回しすることでCI的にもなる。

それに留まらず、今まで部署ごとの縦割りの中に埋もれていた営業ツールなどが印刷サービスのところに集中してくることで、どんなツールが現場で使われているのかをお互いが知ることができるようになる。するとあるところでうまくいった販売キャンペーンを他のところが使わせてもらえ、しかもそのための印刷物キットは相当流用できるので、立ち上がりが非常に早くなる。このようなことを繰り返していると、各所に雑多にあった印刷物は有用なものに次第に淘汰されていくのである。

組織の改変や投資が伴うデジタル印刷機の導入やワークフローの切り替えは戦略的に行わなければならないが、その最終成果を享受する現場のメリットも見据えることで、印刷受発注の良い関係が築けるようになるのだろう。PAGE2009では印刷物発注側が本当に必要としていることを、制作側は受け止めてもらいたいし、印刷物発注側にはソリューションの選択肢が今どのようになっているかを理解してもらいたい。すでに印刷改善の手法や手段は数多くあるので、印刷受発注両者のタイアップがそれらの活用の大きな鍵になっているのだ。

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