本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
Web上で日本語組版を実現するための「JIS X 4051」に相当するドキュメントが公開された。
Web技術の標準化機関であるW3C(World Wide Webコンソーシアム)は、2008.10.15に「日本語組版処理の要件の英語版」・「日本語版」ドキュメントの最新版を公開した。
このドキュメントは、将来CSS、SVG、XSL-FOなどの技術に日本語組版機能を実現させるために記述されたものであり、「JIS X 4051」の主要部分をカバーしている。
Requirements of Japanese Text Layout
「日本語組版処理の要件」(日本語版)
■W3Cが日本語組版を検討した背景
W3CはWeb技術の標準化機関であり、XMLやHTMLなどWeb関連の規格策定を進めている団体である。
XMLにはCSSやXSL、SVGなど、表示や印刷をコントロールするレイアウト関連規格がある。
これまでにも日本語を扱う機能は含まれているが、日本国内で発行されている書籍や新聞・雑誌を制作するレベルの日本語組版機能は実現していなかった。
実際、これらの規格策定に関わっているメンバーのほとんどは、「日本語」や「日本語組版」について深く理解しているわけではない。また、日本語組版を理解するための英文の教科書もドキュメントも公にされたものが無いのが実情であった。
「JIS X 4051」は「日本語文書の組版方法」を規定したJISの規格であり、日本語で書かれている。しかし、この文書は難解な専門用語に溢れており、日本語組版の専門家でなければなかなか理解できないと言われているものであった。
そのため、W3C会員であるジャストシステムやアンテナハウスとJAGAT、および日本国内の有志メンバーで、W3Cに対し、より正確な「日本語組版」を反映する活動をおこないたいと提案した。
■W3Cの日本語組版タスクフォース
日本での有志グループの提案を受けて、2007.2、W3Cの正式な活動として「日本語組版タスクフォース(JLTF:Japanese Layout Taskforce)」が発足した。
JLTFは、新しい規格を策定するのではなく、レイアウト規格に日本語組版機能を取り入れるための要件(Requirements)をまとめ、ドキュメント化することを目指している。このドキュメントは、「JIS X 4051」に相当する解説書であり、日本語版・英語版の両方を同時に作成することを目標としている。
日本語に堪能でない海外の方でも理解できるような解説書を想定している。
W3CのCSS、SVG、XSL-FOのメンバーもレビュー等で参加しており、将来CSS、SVG、XSL-FOの規格に「JIS X 4051」の内容が反映されることが期待されている。
■今回、公開したドラフト版の構成
1章(はじめに)
2章(基本版面、組体裁、柱・ノンブルなど)
3章(行組版、約物・禁則、行の調整など)
4章(ページ組版、段組、見出しなど)※未掲載
付録
(文字クラス一覧)
(用語集)
※4章以外は、ほぼ完成に近いものとなっている。
JAGAT 千葉 弘幸