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PAGE2009は新たに電子ブックコーナーや、デジタルサイネージ特別Zoneが登場するなど、グラフィックサービスの間口の広がりが如実に感じられる。【PAGE特別連載 その6】
印刷はアナログ時代には「製造業」的で、一般のビジネスとは「別世界」であったが、IT化という環境の変化で印刷のビジネスが変わった。PAGEはプリプレスのデジタル化を促進する展示会として始まったが、今は印刷のeBusinessのトレードショウと言い換えるべき時代になった。印刷物制作工程のデジタル化という点では、成熟化・安定化したところでは選択肢が狭まっていく面もあるが、PAGE2009は昨年に比べて1割以上出展社数が増えたように、ビジネスとしての印刷の領域はデジタル化で広がり、まだまだ流動的で各社の工夫の余地が大いにある競争分野なので、競争力をなくすと脱落する恐れがある。
競争分野とは、印刷の引合・問合せ、原稿の授受から、プルーフ、クロスメディア展開まで、印刷サービス全般、いやそれ以上に及び、それらすべてがIT環境に即したものに変わりつつある。今回の出展でもIT・ネットを介しての印刷サービスの向上のためのソリューションが増えている。これは世の中がeBusiness化したのと同じ理由で印刷サービスもそうならなければ顧客と協調していけないことを表しており、経営側や管理者にとってはまだ未熟なMISも、対外的なサービスも含めてこれから取り組むべきテーマが多くあることがわかる。
いわゆるDTP・組版分野の出展はXML対応の自動組版が多勢になってしまった。しかもXML化やオープンな環境ということでWebとのつながりがいろいろな面で多くなっていて、これからの進化の方向を示している。制作現場は今後さらにITスキルとかIT環境を求められるようになるだろう。
カラーマネジメントやモニタプルーフは相変わらず多いが、IT環境の進展と共にリモートプルーフの要求が強まるのに合わせて、紙の色校正レスを目指そうという段階になりつつある。紙の色校正もインクジェットプリンタが定着し、ブロードバンド環境の中で「配達」しない使い方が増えるだろう。
制作現場の新たな投資先としては検査・検版が増えている。プリプレスの作業に関わる人数が減って、しかもフェースtoフェースの機会が殆どないまま制作進行することが増えるので、工程の節目での「保証」が必要になるからである。
またデジタル印刷の品質ならびに生産性の向上とプリプレス工程の短縮化によってサービスの機動力が高まったのに対して、後加工や仕上げに従来どうりの工数・日数がかかったのでは困るので、オンデマンド時代に合わせた装置が出始めている。
オープンなIT環境がもたらす新たなコラボレーションやサービス展開というのが近年目立っている点で、中国へのアウトソーシングも安定的に行われるようになり、また今年は新たに電子ブックのコーナーや、デジタルサイネージの特別Zoneが登場するなど、グラフィックサービスの間口の広がりが如実に感じられるイベントとなった。
テキスト&グラフィックス研究会 会報 Text&Graphics PAGE2009ブレビュー号(280号)より
PAGE2009みどころ解説をしたブレビュー号の冊子を、PAGEコンファレンス会場およびJAGAT書籍コーナーで、毎日先着順で配布します。