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後加工がアツい!

掲載日: 2012年07月13日

drupa2012でも後加工が注目を集めていた。利益を上げる後加工とは?

drupa2012を称して「後加工drupa」という人が多い。それは時代の流れそのものでもあり、その流れの中で開かれたdrupa2012には、多くの後加工メーカーが元気に出展していた。

CEPSからDTPに移行していった頃(80年代)、これからはプリプレスだといって、印刷会社が競争してプリプレス部門を立ち上げ、自社内に製版を充実させていた。

製版部門立ち上げにも若干の差があり、「旧型CEPSでスタートした会社」「集版機といった単一目的型CEPSからスタートした会社」「標準プラットフォームからスタートした会社」「金額の高い設備はジャンプして、いきなりDTPからスタートして巨額の設備投資を回避した会社(その代わりに不十分なDTP機能で相当苦労したと思うが)」「トラブルが出尽くした頃にDTPに参入した会社」などである。

それぞれの会社で歴史があるとは思うが、このプリプレスの時代もあっという間に過ぎてしまい、印刷機が回ること(印刷すること)自体に価値が移っていった。しかし、その印刷の時代も終わりが見え始め、今しきりにいわれているのはPost Press、後工程で儲けるということである。

これがPost Pressの時代ということであり、一言でいえばデジタル印刷機に後加工機をダイレクトに接続し、インラインでチェックや最終製品に仕上げてしまうというシロモノである。つまり全自動化で最終製品に仕上げるということであり、オフィス感覚でPost Pressまで操作出来る全自動のインライン後加工機が究極の姿である。(もちろん後加工を得意としていた印刷会社は、古い手動の後加工機をフル活用して他社との差別化を図っているのだが、今回はデジタル力での差別化に力点を置いている)

もっとかみ砕いていえば、デジタル化が進んでA3の見開きが簡単に出力できるようになっても、A3ペラを束ねてホッチキス止めしても売り物にはならない。売り物にするためには丁合して製本、断裁して、初めて製品として売り物になるのである。要するに、売り物にするには後加工がいかに大事かということだ。

その後加工だが、製品がPODとなると理想はインラインだ。オフラインだったとしてもすぐ隣に後加工機を置くのが基本である。外注先に出す時間をオンデマンド製品にはかけられないし、利益の源泉である後加工は自社内で完結したいというのが本音である。

それでは利益を上げる後加工とはなんだろうか?
一言で表現すれば人の手を極力廃した全自動ということが出来る。言い方を変えれば、デザイン、文字、版下、製版の垣根を廃したのがDTP、デジタル化であった。そして印刷までデジタル化されたのがCTPの登場である。
アナログ印刷機でもCTPになり、見当精度や網点再現精度、キーコントロールデータがデジタルデータとして反映されるようになると、印刷工程までデジタル化されたと考えて差し支えない。もちろんデジタル印刷機の場合は説明の必要はない。

そして後加工だ。しばらく後加工だけがデジタル化の波に乗り遅れていたのだが、drupa2012に華々しく展示された後加工機のほとんどはデジタルデータで同一ワークフローとして接続されている。そのデジタル接続のベースになるフォーマットがJDFであり、そのJDFをどれだけ効率よく使うかに機械の性能やユーザーノウハウが関わってくるというものである。

今回のdrupa2012全体のキーワードであるコラボレーションが後加工でも重要になっている。もちろん印刷機とのドッキングにはコラボレーションは欠かせないが、例えばイギリスのTimson社(製本ライン等を持つ印刷関連機械メーカー)のように製本機の前にインキジェットヘッドを付ければ、完全オートの大型エスプレッソ(Xeroxにドッキングさせた全自動オンデマンドブック作成機)が出来上がるというわけである。この手の展示も会場内と会場外(Oceのように工場に連れて行って見せていたところもある)問わず、数多く見られた。

デジタル印刷機とのドッキングではノウハウも重要で、本格運用に入ったロールtoロールのインキジェット機などでは、ドッキングにWebbufferというロール紙のクセを排除したり、速度調整する装置が必要となり、この性能が生産性のポイントとなる。
断裁機だってクロスカッターと呼ばれる双方向の断裁機等新技術のオンパレードだ。このように勉強しなくてはいけないことが山積みなのである。

このように、その知識があるか無いか、後加工機の選択によってビジネスの成否を分けるくらいに後加工が重要になってきている。

これまで、デジタル印刷機の後加工では、フォーム畑出身ということも関係してスイスのフンケラー社が早くから活躍していたし、日本のホリゾンはJDFを活用したワークフローで後加工に新時代をもたらせた旗手という立ち位置で活躍していた。しかし、今回のdrupa2012では、その他メーカーも追いつけ追い越せで切磋琢磨している状態である。とにかく後加工が熱いのである。

かように後加工にスポットライトがあたっている。しかし、後加工に関しては経験的な知識は持ってはいるものの、体系だって勉強したこともないし、理屈で比較したこともないのが実情だ。

そこでテキスト&グラフィックス研究会ではdrupa2012を踏まえて、Post Pressを整理し、ポイントをハッキリさせるべく「デジタルワークフロー時代のポストプレス」---drupa2012に見るポストプレス最新動向--- を開催する。

「後加工が熱い」!!!熱いうちに、是非ご参加下さい。

(研究調査部部長 郡司秀明)

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2012年07月24日(火) 13:00-17:00開催
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