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デジタル印刷を実ビジネスとして展開するにあたり多くの印刷企業が壁に突き当たっている。日本印刷産業連合会では課題と提言を報告書としてまとめた。
日本印刷産業連合会では昨年、「平成19年度 デジタル印刷の技術と将来展望に関する調査研究報告書」を行ない報告書を発刊し、課題と提言を「ビジネス、オペレーション、システム性能、システム開発」の4分野に分けてまとめた。第二回はオペレーション分野を報告する。
1.現状
・プロもアマもデジタルカメラなどでは道具の差がなくなってきている。そして、アマチュアや比較的小規模の広告代理店などから入稿が増加してきた。このような原稿には印刷できるデータとして使えないものが多い。
・商業印刷でも前工程の負担が意外と大きい。入稿データをそのまますぐにワークフローに流せることはほとんどない。小ロットになればなるほど、デザイン技術の無いような人のつくったデータが入ってくることが現実には多い。
・ビジネスフォーム印刷では、モノクロデジタル印刷機で可変データを印刷し、大量の請求書発行等が行なわれている。しかしフルカラーデジタル印刷機は、RIP 速度、印刷内容による制約等のため、機械のパフォーマンスを十分に引き出すまでは至っていない。
2.課題
・不完全な入稿データが多く、デジタル印刷のプリプレス処理もCTP/オフセット印刷のプリプレス処理も同じ手間がかかっている、つまりオフセットで印刷2,000 枚、3,000 枚刷るための前準備も、デジタル印刷で50 枚、100 枚流すための前準備もかなり近い労力がかかっているということである。
・前工程が意外と時間が掛かっている。バリアブル印刷をやろうとしても、前工程でデータをつくるのに結構、時間がかかっている。デジタルプレスに限らず印刷機であっても機械を動かそうとしても前工程が終わっていないことが意外と多い。
・トランスプロモでは可変のカラー画像を出力すると、RIP 処理がネックになって印刷機の速度が低下する。
・フォントをいろいろ変換して合わせて印字をしなければいけないなどの制約がある。
・機械的にもまだジャムが意外とあって機械がしばしば停止する。
・シール・ラベル印刷ではブランクの原反に固定情報と可変情報を同時に印刷する、または固定情報は事前に通常の印刷機で印刷しておく(プレプリント)の両方の方法がある。
・実生産で大変なのが検査である。デジタル印刷機は高速出力できるが、後工程の検査は人手に頼るところが多い。
3.提言
・可変データを印刷する技術はファイルメーカーで自社開発、マーケティング提案も含めエリアマーケティングの分析ソフトも取り入れている方法もあり、参考にする。
◆出典:『平成19年度 デジタル印刷の技術と将来展望に関する調査研究報告書』(平成20年3月) 社団法人 日本印刷産業連合会
※報告書の全文は、 日本印刷産業連合会Webサイトに掲載されています。
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