Web2.0とビジネスのコラボレーション
プラットフォームとしてのWeb
2005年から大きく取り上げられるようになったWeb2.0は、米国のオライリーメディア社CEO、ティム・オライリーが命名した。従来のWeb(Web1.0)から質的な変化を伴う、新しいWebの特徴、あるいは関連技術、Webサイト・サービスなどの総称である。そのために人によって認識が異なるが、Web2.0の特徴として、「プラットフォーム(基盤)としてのWeb」などが挙げられる。
Web 2.0では、Webサイトの持つ情報や機能を外部のサイトなどから参照や呼び出したりできやすくなる。そのため、発信者の手を離れてユーザーや他の事業者がWeb上での情報や公開された機能をもとに、ソフトウェアやWebサービスを組み合わせて新たなコンテンツやツールを作成できるようになる。またアプリケーションや端末の違いなどの制約を受けることなく情報を共有できれば、様々なコラボレーションの可能性がさらに広がるであろう。
サービス価値を高める
Web 2.0では、ユーザーがコンテンツ制作、サービスの開発などに積極的に参加しやすくなるので、多数のユーザーが書き込み、編纂に加わっているWikipedia (インターネット上のフリー百科事典)のようなサービスや、ブログ、SNSなどの消費者発信型メディア(CGM:Consumer Generated Media)の認知が急速に進む。集団の知識や情報の集積が進むことで、さらに参加ユーザー以外の情報源としても活用されている。
Amazon.comでは、こうしたWeb2.0に先行したサービスをいち早くビジネスに取り入れた。書籍などのカスタマーレビューを寄せてもらうことで、潜在的ユーザーへの情報源としてサービス価値を高めてきた。それだけでない。集積されたユーザーの生の声を自社サービスの改善などに活かすこともできる。
GoogleやAmazon.comなどの企業では、自社のデータベースやAPIを公開し、外部利用を促進してWeb2.0のイメージを作り出している。このような背景には、公開した情報を利用するサービス開発が企業外部の協力者によって、自社では考えつかないような応用、組み合わせが生まれる可能性が高まるからだ。それらをサービスへ反映するとともに、利用範囲が拡大することが期待されている。
Web2.0の思想を企業向けに
日本でもビジネスと社会基盤のためのXML、Webサービスの普及を目指す
XMLコンソーシアムでは、部会活動の中でWeb2.0的技術要素を試用、試作して、2005年の愛知万博で「道路交通情報Webサービスを使った複合Webサービス実証実験システム」を行うだけでなく、ロングテール、マイクロフォーマッツなど、Web2.0の思想、デザインパターンについても議論を重ねてきた。
今年に入り、'Web2.0 for Enterprise'をXMLコンソーシアム全体のテーマとするとともに、Web2.0の思想を企業情報システム向けに翻訳し、利用原則、設計原則を導くための専門研究部会、Web2.0部会を立ち上げた。この部会を中核に、企業情報システムのためのWeb2.0活用を推進していく。
Web 2.0的アプリケーションの代表的な事例といえるGoogle Maps。その商用版である、Google Maps for Enterpriseが6月に米国で発表されるなど、多様な知識の集積とコラボレーションを可能にするWeb 2.0のBtoB、社内情報システムへの活用が今後ますます進んでいくとみられている。
関連セミナー:クロスメディア研究会7月拡大ミーティングビジネスに活かすためのWeb2.0
XMLコンソーシアムWeb2.0部会
2006/07/15 00:00:00