企業などのWebサイトをリニューアルする場合、情報の整理とクライアント側の最も訴求したいところにユーザを導くためのサイト設計が、改善の重要なポイントとなる。
大規模サイトを構築する場合、全体のプロジェクトに対してゴールの設定をしていくのがプロデューサーの仕事である。この設定を明確にできるか否かで、サイトの良し悪しは決まってくる。目標値とか、サイトを作る意味に立ち返れるような仕様書や要件定義が作れるかで、サイトの広がり、振れ幅が大きく変わる。
Webのユーザビリティ向上も重要だ。ユーザが自分の行き先を直感的に見られないWebサイトも多い。入口からメインビジネスに直結するところまで、いかに簡単に行けるようにするか。
Webでは情報過多は禁物だ。あるサイトでは、トップページの文字量が一番多かった。検索エンジンに引っかかりやすく、アクセス数は増やしたが、反応率が異常に悪い。
紙媒体の編集とWebサイト構築は別物である。Webサイトの情報を適正量に、多ければダウンサイズするのがリニューアルであり、ユーザビリティにつながる。
必要十分な要素、強弱のついた十分な選択肢、統一性、一貫性、わかりやすい言葉、直感的なレイアウトを取り入れる。作りすぎた部分は余分なコストになる。それがクライアントを半減させたりもする。
リニューアル結果を、どのように評価するか。仮にバナークリック単価が100円、増加分が1日あたり630クリックとした場合、年間約2,300万円がプラスになる。このように、高いユーザビリティ、シンプルな構造が、いかにサイトの収益性につなげられるかを打ち出した方が、クライアントにも満足のいく結果になるのではないか。
最近は作りきる前に各論から決めてしまう。総論だと決められないが、担当者でも判断しやすいところから仕様化する。それからサイトが持っている機能の要件定義、色彩計画まで落としていく。ページネーションと色などから、パーツがいかに自分たちの分析した戦略の上に則っているかを強く認識してもらう。
次の段階で、ターゲットとサイトコンセプトの設計をする。「今回想定するターゲットはこういう人なので、サイトコンセプトはこうだろう、ユーザの環境はこうだろう」と再設定していく。目標設定、内容を決定して、プロセスのどこをWebとしてサポートできるか要件定義をしていく。
このプロセスで、判断軸、つまり何でユーザが判断してくるのか、必要なタイミングで情報が提供できるのか、ある程度継続的な関係維持のためにこういうページネーション、コンテンツが必要だと説明する。そこで初めてページとコンテンツの役割というものが出てくる。
レイアウトの決め方は、このゾーンにコンテンツが入るという程度のラフスケッチで構わないが、このゾーンの決定がクリック数やアクション数の伸びに後々響く。クライアントと制作側の間でゾーニングを決定しながら進めていく。
制作前にスキマティックス(概念図・表)、例えば仮想のWebサイトのようなものや、この役割は何かという表を作っていく。メニュー部分やボタンの大きさ、導線が必要な順番、入力項目が必要な場所などを事前に作り、その後にこういう形になるという確認作業も含めて埋め込んでいく。これを基に作っていくと、ボタンの使い勝手や流れの確認など、ある程度のユーザテストができる。
受注まで持ちこむには、どのようにしてクライアントと仲間になるかという考え方で仕事を進めている。先述の担当者を巻き込んでいくような、工夫を凝らしたツールを用いることも、特にリニューアルの場合には効果があるようだ。
2006/08/22 00:00:00