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「好ましい」や「忠実な」を実現する色再現技術

 色再現技術は、印刷をはじめとする各種デバイスで利用され、人間の感性や感覚に訴求する重要なファクターである。とくに、デジタルカメラやモニタ、プリンタ等のメーカーにとっては、差別化の技術であり、日々開発がおこなわれている。

 たとえば、家庭用プリンタでは、メーカー独自の色再現技術によって、画像をいかに見栄えよくプリントするかに注力している。これは、好ましい色再現(Perceptual)と呼ばれ、人間の記憶色に基づいている。この色は、主観的であり、人種、文化、時代などにより異なるが、数多くの被験者を対象にテストした場合、肌の色は健康的に見える、いわゆる湯上りピンク、空の色はより青くというように、傾向が定量化されてくる。
 とくに、肌の色は傾向が明確であり、狭い許容量で目標値が決まるという。これらの主観評価実験による結果データは、プロファイルとしてプリンタドライバ等に搭載される。

 一方、印刷業界では、高精度で忠実な色再現(Colorimetric)が中心になる。ロゴやイラスト(原画)原稿等では、オリジナルに忠実な色再現がおこなわれている。Colorimetricには、相対的な色彩保持(Relative Colorimetric)と絶対的な色彩保持(Absolute Colorimetric)がある。
 相対的な色彩保持は、デバイスのダイナミックレンジを考慮して白色点を一致させる。たとえば、モニタ上の白は紙白と測色値は一致しないが、同じとする手法である。
 絶対的な色彩保持は、白色点を三刺激値XYZによる絶対値で合わせるもので、忠実すぎるためドキュメント上の白がグレーで表現される場合もある。したがって、通常はRelative Colorimetricの手法が使われることが多い。

 また、印刷物の色は、光源など観察環境により変化してしまう。そこで、近年のカラーマネジメントシステムでは、環境光の違いを考慮したカラーマッチング技術も開発されている。
 カラーアピアランスモデル(Color Appearance Model)は、観察環境光の特性によって、各環境における「見え」を一致させる。すなわち、環境光による色順応モデルを用い、視覚系のLMS錐体の応答特性にゲインを導入することにより環境光を考慮した色再現を実現する。

関連情報「新たな技術で実現するカラーマッチング」

2006/09/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会