電子写真方式のカラープリントが商用に使われ出したのは結構古く、1980年代から青写真業ではカラーの図面などに、軽印刷業では口絵に使われていた。それ以外ではコストと品質の面でなかなか使うことができなかった。1993年にindigo社がE-PRINTをIPEX展で発表し、その頃から印刷分野を意識したコスト・品質を掲げるカラープリントが増えていった。しかしよく使われるようになったのは2000年以降で、プリプレス側の充実や機械の安定性向上、構造の簡易化などによって、導入しやすくなったからだろう。
その後も電子写真のカラー画質は向上し、それが単なるプリンタでも、「オンデマンド印刷機」と呼ばれるものでも、「並」のオフセット印刷のレベルには近づいた。しかしカラープリントの画質が印刷に近づけば近づくほど、いろいろな面でオフセット印刷と比較されることは多くなっていった。例えば用紙との相性のようなものがあって、表紙にカラープリンタを使うと擦れた場合に容易に画像が剥げてしまうとか、プリント後に表面にオイルが残って、うまく追い刷りできないとか、割れるとか、トナーが多いところが盛り上がって平坦に積めない、など見た目とは別の理由でデジタルプリントが使いにくいところがあった。
従来の印刷物の取り扱われ方を考えると、パンフレットなどでも何千枚がパレットに載せられたものが何段も棒積みされて、冷房の無い倉庫の中で夏を過ごすとか、圧着や糊付けといった表面加工がされるなど、ペラの状態からでは考えられない工程を経て最終利用形態になる。上記のデジタルプリントの初期の欠陥は、さまざま解決されてきたものの、それぞれのプリンタによって個性があるために、どの仕事にどのプリンタが適切・不適切かを見分けるには大変な苦労が必要となっている。
オフセット印刷といえどもこのような加工に対して万全なわけではなく、イメージの強度を高めるためには耐光性、耐候性、耐熱性とか耐薬品性などの仕様のインキを選んで使わなければならないとかUVインキを使うなど、用途に応じた機能性インキが用意されている。オフセット印刷は他の印刷方式に比べると機能性インキの種類は限られるが、それでもこういったインキ開発によって用途を広げてきたともいえる。
最も多様なインキが開発されているのがスクリーン印刷インキで、紙以外の多くの媒体に印刷が可能になった。一方トナーはインキの機能性という点では限られた種類しか開発されていない。インキジェット用は最初は染料で耐性に欠けるものが多かったが、反対に近年はUVインキの発達に見るごとく、非常に多様な産業用途のものが登場してきている。デジタルプリントの用途拡大という面から考えても、他の印刷方式が過去に培ってきた印刷後加工の適性に追いついていかなければならない。
関連情報 3月22日(木)デジタルプリントの後加工と適性
2007/03/13 00:00:00