株式会社サン・ブレーンにおける大判モノクロプリンタLP-1010の選定、導入経過と事業の取り組みについて、同社製版部課長代理 清水正典氏にお話を伺った。
■プリプレス中心のデータ加工
株式会社サン・ブレーンは、1971年に設立された豊島区東池袋にある製版会社である。株式会社サンエー印刷の関連会社として企画・制作・編集からプリプレスまで行い、有名教育機関の学習参考書をはじめ、カタログ、チラシ、パンフレットなど商業印刷物を扱っている。
クライアントの持つコンテンツの有効活用を積極的に提案し、スピーディなデジタル処理とネットワークを駆使した生産体制を確立している。
同社では、Macintoshをはじめ、スキャナ(ドラム、フラットベッド)、RIP(True Flow)、DDCP、各種プリンタ、サーバー、通信設備などを整えている。
プリプレスを中心にCTP出力用のデータ作成から印刷工場へのブロードバンド配信までデジタルデータの入出力や加工を手がけている。
■LP-1010導入理由は、文字・モノクロ画像の再現性
株式会社サンエー印刷の関連会社、主にプリプレス部門として設立された同社は、CEPSからMacintoshへとデジタル機器を柔軟かつ効率よく導入し、早くからプリプレスのデジタル化を確立した。
1999年、サンエー印刷のCTP導入に伴い、プリプレス側である同社は、CTPデータの作成、ネットワークを利用した配信を行っている。現在では、CTP化率も90%以上になっている。
CTPでは、従来のようにフイルム上での検版ができないため、DDCPや大判プリンタに頼る部分も多くなっている。
従来、社内検版用やクライアント提出用に使用していた大判モノクロプリンタは、汚れや紙詰まりが頻繁に発生し、週1回のメンテナンスが必須な状態にあった。メンテナンスの頻度が高いため、急ぎの仕事が出力できないなど、スムーズな進行に支障をきたしていた。
そこで、新たな大判モノクロプリンタ導入の検討をはじめた。導入候補として、セイコーアイ・インフォテック社製Teriostar LP-1010をはじめ、その他2社のレーザプリンタを含む計3社を検討することになった。
清水氏は「検討の際、スピードへの要求はもちろん品質面やメンテナンスなど、総合的な判断で機種選定を行った」と話している。その結果、「スピードはもちろん、文字や画像出力の品質面でも優位性を発揮したTeriostar LP-1010に決定した」と語る。同社が手がける印刷物では、文字をはじめモノクロ写真が入るケースも多く、候補の機種の中でLP-1010の写真再現が一番良好であったと説明する。これは、独自の解像度(600dpi)変換技術によるモアレと階調飛びを低減する機能の優位性が理由であろう。
■LP-1010導入後、品質と安定性に威力を発揮
同社は、小・中・高の塾・予備校の参考書や教材、テキストなど1冊数百ページの印刷物を数多く手がけているため、1色や2色の出力が多い。そのため、モノクロプリンタの稼動は、短期間で数百枚を出力するなど使用頻度も高い。
「LP-1010導入後は、汚れ、紙詰まりなど以前は頻繁に起きていたトラブルが一切解消された」と語る。通常のプリンタは長時間稼動するとメンテナンスや不意のトラブルへの対処に不安がある。しかし、LP-1010の場合、「メンテナンス容易なシステムであり、まったくといってよいほどトラブルがない。安心して使用できる」と話している。
また、導入時の決めてのひとつになったモノクロ画像の再現性について、「LP-1010は、本番の印刷機よりきれいな出力が得られるほどである」という説明でもわかるように、品質面での満足度も大きい。これは、600dpiの高解像度と一成分現像方式により均一で高精細な画質を提供する機能が寄与しているためである。
さらに、システムの機能には、消耗性部品である感光ドラムをカートリッジ化することにより、大判機では初めてユーザーによる感光ドラムの交換を可能にしている。これにより通常の画質トラブルの際、メーカー側のメンテナンス派遣を待たずに復旧が可能になり出力業務のダウンタイムを軽減できる。しかし「トラブルがないためその必要性もあまり感じないほどである」とシステムの安定性を強調している。
■安定した品質を実現するプリプレス環境
同社プリプレスの現場では、最新の設備やデジタル機器を活用してデータ加工を行っている。
とくに品質面では、マンパワーと併用してデジタル検版機を使用している。デジタル検版機は、再校からすべてのジョブに使用し、データをTIFFでビットマップ化し前校と比較する。差異部分は色分けされてモニターやプリント結果として確認できる。これはデジタルデータのトラブルで多い変更していない箇所が意図せず変わってしまうというミスを防止するのに役立っており、目視の弱点を補うことができる。
このようにデジタル検版機とスピーディで安定した品質を供給できる大判モノクロプリンタを併用することによって、品質が厳しい参考書や教材の文字やレイアウト、面付け確認などを安定して行うことができる。
株式会社サン・ブレーンでは、1色、2色を中心にしたページ物の出力が多く、文字、レイアウト、面付け確認などの用途に、LP-1010のような高速モノクロプリンタの利用価値はたいへん大きなものがある。
今回の導入ケースでは、スピードと品質を考慮した結果、数社の製品の中からLP-1010が選ばれ、導入後にその実力を確実に発揮していることが印象的である。(参考:出力コスト約37円/A全、出力速度約45秒/A全)
清水氏は「このシステムは、モノクロプリンタとして高速・高品質を実現し、我々のような参考書、教材、テキストを大量に処理する現場では、使い勝手もよく堅実に稼動してくれる」と話している。
印刷会社では、1色や2色の印刷物の受注もある程度の量になるケースが多い。コスト、品質、短納期を考慮した場合、LP-1010のような大判モノクロプリンタの活躍する場面がますます多くなるだろう。
■月刊プリンターズサークル 2007年8月号掲載記事から
2007/08/26 00:00:00