創業40周年を迎える明祥印刷株式会社は、商業美術印刷を主力にオフセット印刷、デジタル印刷、SPツールの企画制作、海外ディスプレイ商品の輸入販売を手掛ける。同社代表取締役の小森洋一氏に営業展開への取り組みについて伺った。
東京都中央区新川の明祥印刷は、「国境を越え地域を限定せず、積極的に印刷を軸とした技術・サービスを導入し、お客様へ新しい価値として提供する」をミッションに、海外のユニークな販促ツールを見つけ出し、日本での販売ライセンスを取得、これらを「GLOBAL IDEAS」というブランド名で販売しながら、SP企画、POP開発・企画、ディスプレイ開発など効果的なコミュニケーションのためのデザイン、コピー制作まで一括して受注している。
アイキャッチ効果の高い「GLOBAL IDEAS」は大成功を収め、多くの大手メーカーを優良顧客とした。その時小森氏は気づいたことがあるという。
「お客さんは店頭で何を基準に商品を選ぶのだろう? SPツールがお客様の背中を押すのだということに気がつきました。われわれ印刷会社は、タッチポイント(顧客と商品との接点)に立っているのではないでしょうか?」(小森氏)
果たしてSPツールを売るだけでいいのか? 他者との差別化を図るためには、先方の課題を聞き出し、商品を販売し、リピーターを増やすといったキャンペーン自体を提案できる体制作りが必要なのではと考えた。
同社が目指しているのは、従来の固定客を回る営業ではなく顧客ときちんとコミュニケーションができ、顧客に最適な提案ができる営業スタイルである。 さまざまな人とコミュケーションができるようになるには豊富な知識がベースにないといけない。知識がないままクライアントと接しても話題が引き出せないからである。
「より積極的に人と関わり、先方のビジネスを知ろうとする姿勢が提案型の営業には必要だと考えます。相手の考えに沿いながら、会話の中で困っていることを見つけ、解決していくのが理想です。机上の勉強も必要ですが、それだけでは足りないでしょう。
当社の営業は、クリエイティブ系の外部スタッフと顧客のところへ一緒に行ってもらい、客とのやり取りの中で学んでもらっています。そして2カ月に1回、社内で事例発表会を行い、どんな仕事をどんなふうに取ったかをお互いに報告し合います。現場で実践しながら経験を積み、経験を反復することでノウハウを仲間と共有し、そこで得た知識が自らを支える軸となるでしょう」(小森氏)
同社は2007年春、「GLOBAL IDEAS」に新たな特許SPツール「LAMA(ラマ)」を追加した。フランスMARIN'S 社とMarin's Japanの販売代理店契約を結び、日本市場での浸透を図っていく予定である。
同商品は、デジタル印刷で2部より対応し、世界90カ国以上で製造販売されている。主な特徴は、折り畳みから素早く自立することによる簡便さ、発送・保管費用の低減、そして紙製のため環境にも優しい点である。
小森社長は海外展示会へ行く度に、気になるSPツールを販売している企業とコンタクトを取り、つてを作るよう努めてきた。 また、ミラノにある事務所のスタッフが面白そうな情報を仕入れ、報告してくれることになっている。今後も他社との差別化を図るため「世界の情報をいち早くあなたに」をキャッチコピーにいろいろな提案をしていきたいと語る。
小森社長は、顧客の新規開拓に最も重要なことは情報収集だという。社員一人ひとりだけでなく、トップである社長自らが情報の集め方を工夫し、有効活用することで新規開拓につながっている。
ユニークな商材をクライアントにアピールするため、積極的に国内展示会に出展し、展示会で発表した商品は自社ショールームで見ることができる。展示会での反応はかなり良く、問い合わせもけっこう多い。ショールームにはすべての商品を展示しており、会場では伝え切れなかった商品の魅力や顧客の要望に沿った提案ができ、受注に結び付いている。
(『プリンターズサークル』9月号 特集「川上からの価値創造で顧客ニーズをつかめ」より一部抜粋)
2007/10/06 00:00:00