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Web to プリント+サーバ自動組版が中心となったDTP編集

<IGAS2007注目製品(DTP・プリプレス)>

IGASの一般展示はもともと印刷・加工分野が中心であり、DTP・プリプレスは少数派であった。近年、デジタルカメラデータ入稿やCTPの一般化により、プリプレス分野の出展も随分と縮小されたというのが、率直な印象である。

しかし、デジタル印刷を最適化するための「Web to プリント」やパーソナライズド印刷のための「バリアブル編集ソフトウェア」、大量データを編集するための「自動組版システム」、デジタルデータを有効活用するための「アセット管理システム」などは、活発な展示がおこなわれていた。
以下では、これらの分野について概観してみたい。

キヤノンマーケティングジャパン

編集レイアウト・ソフトウェアの「Edian Wing」「Edicolor」の最新バージョンを紹介していた。その他に、パンフレット・チラシや情報誌作成システム、「Webパブリッシングソリューション」を紹介していた。Webブラウザからのデータエントリとサーバ自動組版を組み合わせたソリューションである。

コダックグラフィックコミュニケーションズ

バリアブルデータ編集ソフトウェアの「Darwin VIオーサリングツール」を紹介していた。Adobe InDesignのプラグインで、パーソナライズドされたDMやパンフレットを容易に製作することができる。パーソナライズドイメージ機能により、クリエイティブな画像で顧客名を表現するなど、インパクトの強い印刷物を製作することができる。  また、デジタル入稿・管理、およびWeb to プリントソリューションとして、「Insite Storefront」、デジタルアセット管理システムの「InSite Asset Library」を紹介していた。

サカタインクス

バリアブル編集ソフトウェアのPersonalEffect、uDirect/uImageを紹介していた。uDirect/uImageは、PhotoShop CS2画像のテキストレイヤーに可変データを取り込み、パーソナライズドイメージを生成するソフトウェアである。
また、XML/XMP対応のデジタルアセット管理システムであるMediaBeaconを出展していた。

モリサワ

新製品の「MXP」は、データベースのデータに対し一括処理にてデータの前処理、組版をおこない、MDS-B2に読み込み可能なデータを生成するソフトウェアである。組版やデータ変換の設定が容易で、簡単にテストをおこなえるため、自動組版の準備段階の効率が大幅に向上する。
また、編集組版システムである「MC-B2」では、新たに「熟語ルビ」「JIS2004字形対応」などに対応している。

ビジュアルプロセッシングジャパン

デジタルプリントを最適化するWeb to プリントソリューション、「Press-sense iWay」を紹介していた。Web入稿、見積り・納期管理、受発注管理、作業進行管理、出力サービスなど、デジタルプリントを依頼する顧客(プリントバイヤー)と印刷会社の双方の効率化を実現する。

富士フイルム

Free Flow Web Servicesは、富士ゼロックスのプリントビジネス向けのWeb受発注ソリューションである。Web入稿から作業進行管理などをカバーしたソリューションである。
富士フイルムシンプルプロダクツは、InDesignとデータベースの双方向連携を実現する「Orbit (オービット)」を出展していた。カタログやチラシの自動組版をおこない、InDesignで修正した小組レイアウトをデータベースに書き戻すことができる。また、XML環境での運用を実現しているため、商品スペックのWeb入力やWebブラウザ上でのコマ割りを実現することができる。

方正

組版ソフトウェア「Founder FIT」のサーバ版である「Founder FIT Server」を中心とした出展であった。求人・不動産・中古車・クーポンなど情報誌制作を、Webブラウザによるデータエントリーシステムとサーバ上の高速自動組版システムとして実現することができる。
その他に、出版社向けの台割管理システム・広告管理システムなどを紹介していた。



DTP編集の分野でも組版機能や編集機能は成熟段階にあり、むしろオペレータのスキルによって品質や効率の差が大きくなっているのが現実である。
しかし、全体的な方向としては、Web環境下で誰でも容易に扱える、あるいはデジタルデータや進捗状況などを共有できるシステム、専門のオペレータに依存しない方式へと移行しつつあると言えるだろう。
その意味で、Web入稿やデータベースパブリッシング、デジタルプリントのためのWeb toプリントは、今後も進展していくことが考えられる

(2007年10月)

2007/10/09 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会