三菱製紙株式会社 洋紙事業部 情報・特殊紙営業部 木村 篤樹氏
オンデマンドという表現もあるが、そのためには必然的にデジタル印刷機、デジタルプリントを使用する。
印刷方式としては、インクジェットあるいは電子写真に分けられるし、ハードウェアによっては、さらにネットワークプリンタあるいはデジタル印刷といった階層に分けられる。
以前は単純に分速50枚程度を境に処理速度で分けていた時期もあったが、最近はむしろ機能性で、例えば重送を避けるとか、安全性等、プロユーズになっているかどうかによって、デジタル印刷なのか、あるいはカラーコピアやネットワークプリンタなのかという表現で分けられるのではないか。
デジタル印刷機を使いこなすことにより、短納期、多品種、小ロット、パーソナライゼーションという、個人個人への可変情報を打ち出すことが可能になる。
オンデマンド印刷は、見方によってはビジネスコンビニ等が取り扱う小ロット印刷と、大手あるいは中堅印刷会社が取り扱うパーソナライゼーション機能を利用したヴァリアブル印刷に分けられる。
ヴァリアブル印刷は、金融機関等の請求書、明細書、提案書等に、1枚1枚違った内容の可変情報を印刷する場合があり、必然的にボリュームも中ロットあるいは大ロットとなり、自ずと処理も非常に高速になる。
特にヴァリアブルを中心にデジタル印刷を考える。もともとインクジェットの歴史(図)は、100年以上も前に、イギリスで発見されており、このとき既にコンティニアスジェットの基礎となる液滴性理論が発表されていた。
その後、多くの技術的な革新を経て、1980年代あたりからコダック等がインクジェット方式の工業用デジタルプレスを提供している。また、ワイドフォーマットのグラフィック印刷や、フラットベッドによる工業用の分野でも多数のメーカーが提供してきている。
一方、電子写真方式に関しても、1938年のCarlsonによるカラーXerographyの提案以来、今日までに信じがたいほどの技術的な進歩が遂げられている。それらは、複写機の発展型というよりも、むしろ最初からデジタルプレスとして登場したものもある。
例えば、1993年あたりになると液体現像方式のIndigo社のE-print 1000、今で言うIndigo Pressが出てきたし、ロール紙対応ということでXeikon社からDCP-1というものも出てきている。
1990年代後半になると、これらのデジタルプレスが開拓したショートラン、パーソナライズ印刷の用途に代表される印刷のアプリケーションが次第に成長してきた。2000年を過ぎて、HeiderbergのNexpressとか、XeroxのDocuColor、iGen 3等が市場に参入してきて、よりハードの競争が厳しくなってきた。
さらにこの2、3年、昭和情報機器から電子写真でSR-3000が、ミヤコシからはインクジェットでMJP-600、大日本スクリーンからはTruePress Jet520といったプリンタも出てきた。2007年はミヤコシのMJPもヴァージョンアップされる。市場のほうも当然拡大していくものと思われる。
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(2007年11月)
2007/11/02 00:00:00