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デジタルプレスにおけるプリント技術

印刷産業向けデジタル印刷機が登場して約15年が経過した。当初の機種は、オフセット印刷の機能を代替するような機種が中心であった。近年では、機能の高度化、専門化が進み、さまざまな印刷方式に対応したバリエーションが広がり、商業印刷や出版印刷から事務用印刷、産業用途など幅広い分野においてデジタル印刷が利用されている。また、無版方式ならではの可変データ印刷を生かしたパーソナライズ対応など、新たなジャンルの印刷物が誕生し、成長段階にある。

このように成長を続けるデジタル印刷には、電子写真方式とインクジェット方式が利用されており、そのプロセスにはさまざまな技術が駆使されている。デジタル印刷機における重要な技術的特徴について、テキスト&グラフィックス研究会でお話を伺った。

電子写真方式とインクジェット方式

デジタル印刷機は大きく進化している。高品質印刷の実現には、印刷方式を支えている技術が存在する。また、印刷物を製作するには、プリプレス、プレス、ポストプレスという工程があり、この流れの中で、原稿作成から最終的な印刷物を作る上で、各技術の中に重要な部分がある。

電子写真方式の特徴は、かなり高品質な画像を高速に印刷することが可能なことである。ただし、感光体の問題などがある。また、メディアのサイズにも制限があり、限られた大きさになってしまうということもある。
一方、インクジェット方式は非接触で印刷できるので、凹凸や曲面、段差などがある媒体でも、画像を高精度に作ることができる。

現在では、エレクトロニクス分野での画像形成の一つの手段として、インクジェットを使用することが、非接触という大きなメリットになっている。また、ワイドフォーマット対応であり、大きなメディアに印刷することも可能である。

ただし、非常に大きなものを高品質で印刷するには、やはり速度が落ちる。インクジェット方式は、本質的に1点ずつインク材料を置いていくという技術である。従って、ヘッドの穴の数を増やすことで、ある程度の高速化に対応しているが、それでも大きなものを高精細に印刷しようとすると時間が掛かってしまう。

電子写真方式のプロセス概要

電子写真方式の各プロセスは、ブラックボックスである。ボタンを押せば電子写真方式でいくらでもプリントが出てくるが、中ではいろいろなことを複雑に行っている。
基本的に、感光体と呼ばれるドラムの上に、例えばマイナスの電荷を乗せる帯電というプロセスが最初にある。その後、露光ということで、いわゆるイメージングをする。ここでは、感光体に光が当たることにより、電気的な特性が大きく変わってくる。

光が当たった部分の電荷が中和され、表面電荷がなくなり、画像上の静電潜像という目で見ることはできないが、電荷が乗っている部分と乗っていない部分という形で像を作ることができる。
それを可視化する意味で、現像というトナー粒子を電荷の上に乗せる工程がある。ここで初めて可視画像となり、ドラム上に画像が形成される。

その後、実際の媒体である、例えば紙の上に転写させる工程になる。ここにもいろいろ工夫が必要になってくる。基本的にトナーは粉なので、紙の上にただ乗せただけでは取れてしまう。それを何らかの形で定着する工程が必要になる。
ドラムはクリーニングという工程を経て、また帯電、露光、現像というプロセスを高速で繰り返している。


(続きはJagat Info 2008年7月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報 Text & Graphics No.268に掲載しています)

(テキスト&グラフィックス研究会)

2008/07/27 00:00:00


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