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PDFをベースに、派生サービスへ

DTP・PDF・ネットワークを中心としたデジタルパブリッシング技術で,幅広いサービスを提供しているグローバルデザイン(株)代表取締役の白旗保則氏に同社の姿勢を伺った。

PDFが注目されHPで新規顧客を開拓

静岡市にあるグローバルデザインは,現代表の白旗氏がデザインプロダクション勤務を経て,1997年1月に設立した若い企業である。前職での経験を生かし,グラフィックデザインを中心にCD-ROM制作,ホームページ制作等を手がけた。さらに設立当初からPDFに関わっていたことが特筆できる。
幸運なことに新規顧客の獲得のために飛び込み営業は必要なかった。自社の特色であるPDFを前面に押し出したホームページを立ち上げたことが功を奏した。当時PDFに関するホームページは検索エンジンで探してもほとんどなく,開設直後から問い合わせが多かった。「E-mailでお問い合わせをいただき,訪問し成約に結びついたケースが何件かありました。そういう恵まれた時期もありました」という。

公的支援も得て業務拡大へ

現在の主要業務は,(1)グラフィック,(2)CD-ROM制作,(3)ホームページ制作,(4)PDFサービス,に大別できる。
紙媒体にとどまらないあらゆる販促ツールのグラフィックデザイン・メディアデザイン業務一般が柱のひとつである。デザイン,DTPに始まり,デジタル画像処理,CG,ビデオ制作などがある。
CD-ROMコンテンツの企画制作は,既存の商品カタログ用データを流用して制作するだけでなく,そこに検索機能を付けている。CD-ROMにPDFファイル検索を加えたり,動画を組み合わせることにより,CD-ROMをインタフェイスにして,インターネットへ誘導することも可能である。
ホームページ制作も初年度は,企画・デザイン制作のみであった。それでも仕事はたくさんあった。2年目の98年からは,様変わりしてシステム設計から運営までも請け負い始めた。これは同年4月に,静岡マルチメディアソフトインキュベートセンターへの入居が認可されたことと関連する。静岡県がマルチメディア社会に対応するソフトウエア業,情報処理サービス業の創業者支援を目的として,静岡市内に整備する事業で,入居できたことで,資金面でも情報分野における仕事を全面的に推し進めることが可能になった。プロバイダーでプログラム開発をしていた人を社員として迎えたことも,それを可能にした一要因にはなっている。現在では,サーバ構築・サイト管理から,データベース開発,イントラネット構築・ネットワーク構築,CGI/Javaプログラミング,コンサルティング等も行っている。

PDFサービスビューロとしての充実した内容

現在ではPDF関連ではよく知られた会社となったが,同社のPDFサービスビューロの内容は大きく3つに分けられる。
(1)PDF変換サービス
これは単純にPDFに変換するサービスである。紙媒体の文書や電子ファイルからの変換業務である。PDFファイルへの変換は需要が多く,特に紙からの変換が最近増えているという。
(2)PDF編集
変換サービスはあくまでもPDFに変換するだけだが,編集サービスとは,そのPDFファイルにしおりやリンクなどのパイパーリンク機能を追加することである。Adobe Acrobat Exchangeで設定作業ができるが,実際の作業では自動化されておらず,かなり時間のかかる仕事である。同社は他社との差別化を図るためにも自社でプラグインソフトを開発し,自動化している。
(3)PDF付加価値サービス
 標準のAcrobatでは実現できない付加価値を提供するサービスである。具体的にはPDFをCD-ROMにしたり,イントラネットやインターネットで配信する際に利便性を高めるために付加するサービスである。Webサーバの構築からCD-ROMへの検索エンジンを登録したり,全文検索に必要なテキストデータの抽出などがある。このサービスは業務の効率化に有効なため今後需要の拡大が見込める。

自社開発のPDFソフト

前記の3点をPDF業務としているが,変換サービスを行っていく中で,いくつかの製品を開発してきた。
大量の紙媒体のドキュメント文書をスキャナで読み取り,自動的にPDFファイルに変換する「MultiDoc System」を企画開発した。ハイパーリンク機能や動画・音声などのマルチメディアデータを付加することができる。販売は大日本スクリーン製造(株)で行っている。
印刷会社が導入した例では,ビジネス拡張のためにPDF変換サービスを開始した。最高1カ月で4万ページの変換実績がある。制作企業内イントラネット用PDFデータの提供やPDF版のCD-ROM制作など,幅広いPDF変換ニーズに対応している。
同社では,その他CD-ROM等のパッケージメディアでのPDF配信用オーサリングシステム「MultiDoc Studio」,PDFのネットワーク配信に適したPDFデータベースシステム 「MultiDoc Web Studio」なども開発している。製品カタログなどのDTPデータをそのままPDF化し,インターネットで公開することができる。
結果として,自社の業務を遂行していく上で,便利なものを開発していることになっている。

PDF付加サービスと派生サービスに注力

売り上げベースをみてもネットワークコンテンツ制作の比重が大きくなっている。65〜70%がWeb関連業務である。それもシステム設計からデータベース構築,サーバの運営までを請け負うことが多くなると思われる。
同社はPDF戦略においてのネームバリューはある。それは強みではあるけれどもそこだけにとどまることはない。
PDFはさらに普及するといわれている。PDFサービスを行う会社だけでなく,印刷会社も顧客であるクライアント側も使えるようになる。誰もが使えるようになると,例えば変換サービスでは儲けにならなくなる。現にAcrobat4.0では,ドラッグ&ドロップするだけでPDFに変換できてしまう。つまりビジネスとしては成り立たなくなる。だから今後ますます付加価値を付けていくことが必要になるのである。
またPDFはあるフォーマットのひとつであり,そこから派生するネットワークコンテンツおよびサービスの提供に力を入れていきたいという。
「ローカルではナンバーワンでありたい。また全国レベルではある特化した分野でオンリーワンでいたい」と抱負を語る。
ネットワーク時代らしく地域間格差は感じられないが,現実的には東京のクライアントが7割になっている。営業としては,やはりフェイス・トゥ・フェイスが重要になるケースが多い。白旗氏自身も週に3日東京に来ている。同社では,今年「企画」と「プランニング」のチームを東京に出す予定である。(上野寿)

2000/02/08 00:00:00


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