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DTP・プリプレスにおけるデファクトスタンダードと標準規格

DTPにおけるデファクトスタンダード

「デファクトスタンダード」とは、あえて説明するまでもなく、「事実上の標準」や「業界標準」を意味する言葉である。
標準化団体などによる公的な標準ではなく、市場の実勢によって事実上の標準とみなされるようになった規格・製品を指す言葉である。「デファクト」は、ラテン語で「事実上の」を意味する「de facto」に由来すると言う。

一般的には、家庭用ビデオにおけるVHS、パソコン向けOSにおけるWindows、インターネットの通信プロトコルにおけるTCP/IPなどを指して使用されている。

DTPやプリプレス・印刷関連においても、多くのデファクトスタンダードが存在する。
アドビシステムズ社が開発したPostScript は、ページ記述言語としてDTPの基盤となり、デファクトスタンダードとして誰もが認めることであろう。
PostScriptは、文字や図形をベクターデータとして表現し、出力デバイス毎にラスタライズをおこなうことで、デバイス・インディペンデントを実現した。つまり、同一データから、各デバイスに最適・高精細出力が可能となった。また、同一のスクリーンフォントとプリンタフォントを利用することにより、WYSIWYGを実現した。
拡張性・柔軟性に富んでおり、DTPにおけるデファクトスタンダードとして認められるようになった。

標準規格の動向

現在、多くのテクノロジー分野で標準規格が策定されており、DTP関連で利用されている標準規格も数多い。

文字では、国際的にはUNICODEがあり、国内でもJIS文字コードが策定されている。
圧縮画像では、JPEGなどがある。
CIELabは、CIE (国際照明委員会)が策定したカラーモデルである。
カラーマネジメントに使用されているICCプロファイルとは、ICC(International Color Consortium:国際カラーコンソーシアム)が中心となって策定したものである。
RGBカラースペースのひとつであるsRGBは、IEC(国際電気標準会議)によって策定された色空間の規格である。
また、Web関連の標準化機関として代表的なものがW3C(World Wide Web Consortium )であり、XML関連の標準規格を策定している。

デファクトスタンダードと標準規格の意義

これらの標準規格の多くは、各々の分野の代表的企業、先進的な企業のサポートによって開発されている。企業を超えて国際的な標準を策定することにより、技術を進化させ、普及させることができる。

つまり、標準規格が策定されると、その規格にしたがって各社の製品開発が一気に進展し、標準規格準拠の製品を販売する。多くのユーザーは、標準に準拠していることで安心して製品を導入することができる。
標準規格の動向は、さまざまな技術開発・製品開発の先行指標となっている。

そのため、標準規格やデファクトスタンダードについて理解を深めることは、今後の技術動向や製品開発の方向性を知る大きな手がかりとなる。
DTPや色・画像、プリプレスに関するデファクトスタンダードや標準規格の動向を理解することで、この分野の将来のあるべき姿・方向性を予測する能力を研くことが出来るだろう。

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