本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

注目したいフレキソ印刷の技術革新

着実に拡大する欧米のフレキソ印刷のシェア

ずいぶん長い間、フレキソ印刷のシェアは拡大すると言われてきた。米国では、ここ数年、フレキソ印刷の出荷額が年率7%で成長し、現時点でパッケージ印刷市場の70%がフレキソ印刷で行なわれるまでになった(GATF World May/June2001)。ヨーロッパでもフレキソ印刷のシェアは増加してきており、印刷物市場全体におけるシェアは27%で、包装資材分野だけで見ると5割程度のシェアを持っている。(「The Future of the European Printing Industry」 Pira International)

今後についても、欧米ではフレキソ印刷のシェア拡大を予測しており、例えば米国における一般印刷を含む全印刷市場のフレキソ印刷のシェアが、2000時点の18%から2010年には20%になるとの予測も出されている(TAGA 2001 Newsletter No.137)。10年間で18%から20%に拡大するだけだから、大した変化ではないと思われるかも知れないが、同予測では、デジタル印刷が2000年の8%から2010年には20%へとシェアを大きく伸ばす反面、平版印刷は46%が37%へ、グラビア印刷は18%が15%へ、そして凸版印刷は7%から5%へといずれも減少すると予測している。

欧米におけるフレキソ印刷のシェア拡大に対して、日本では、例えばインキ使用量ベースで見ると、過去20年間ほぼ横ばい、あるいは若干縮小で推移している。日本の顧客の品質に対する過剰とも言える要求の高さが欧米との差になっているように思われる。しかし、ここ数年の技術革新は、品質の改善を含めて、プリプレスから印刷に至る幅広い分野で進んでいるので少し注意をして見ておく必要が出てきたように思われる。
去る5月に北京で開かれた世界印刷会議では、サイレル副社長のロバート・レイ氏が、フレキソ印刷が今後ともシェアを伸ばしていける根拠として、最近のフレキソ印刷の技術革新について講演した。以下にその概要を紹介する。

平版,グラビアに劣らなくなった品質

フレキソ印刷の品質、コスト、納期を平版印刷、グラビア印刷と対比してみると、コストについては従来から強みを持っていた。装置価格が安くヤレが少ないからである。
最近関心が高まってきた環境対応面では、水性インキやUVインキの実用性において、グラビア印刷に対して優位性が認められてきている。

フレキソ印刷における大きな課題はその品質で、従来のフレキソ印刷物の品質は平版印刷物やグラビア印刷物に比べて劣っていた。しかしながら、1995年にフォトポリマータイプのデジタルプレートが開発、導入されるようになって、他の版式に対する品質ギャップは小さくなった。デジタルプレートは、今までのフレキソ印刷で実現出来なかったハイライトの再現とグラデーションの再現、さらに一定品質での印刷を可能にした。そして、現在では、平版やグラビア印刷物をしのぐ品質の印刷物もできるようになった。IoPP(Institute of Packaging Professionals)が毎年選定し表彰するAmeriStar Packaging 賞の食品部門で、フレキソ印刷の製品が最優秀賞に選ばれた。この製品の印刷には、もちろんデジタルプレートが使われた。

競争の焦点は生産スピードへ

フレキソ印刷の品質は、平版印刷、グラビア印刷と互角のレベルにまで向上してきた。したがって、フレキソ印刷の次ぎの課題は、生産スピードを向上させるところにきているが、この面でもさまざまな技術的改良による改善が進んでいる。
印刷工程では、シリンダ―を自動的に取りつける方式やスリーブ方式の採用で仕事の切り替え時間がスピードアップされた。これらの技術と自動洗浄装置を組み合わせると、印刷機付人員それぞれが、いろいろな作業を同時に行なうことができ作業効率が非常に高まる。また、10ユニットあるいは12ユニットの印刷機を使って、5ユニットあるいは6ユニットで印刷している間に、残りの5ないし6ユニっトのセットアップ゚をすることもできるようになってきた。ビデオによる見当コントロール等の改良も、印刷スピード向上に寄与している。

フルデジタル化の進展

デザインやプリプレスの分野では、デジタルワークフローへの移行が進み、著しいスピードアップが図られつつある。
ハード、ソフトともに標準的なプラットフォームが広く使われ、ワークステーションの価格もどんどん低下して処理スピードもより速くなっている。アプリケーションソフトもパワフルになり、数年前の非常に高価な専用システムより機能的に優れたものになってきた。プリプレス工程のフルデジタル化で、従来、熟練作業者による手作業で数時間要していたトラッピングや多面焼き作業も数分でできるようになった。

進むデジタル校正での改善

従来からフレキソ印刷方式が持っている一つの強みは、幅広い特色を使えることである。しかしながら、最近まで多彩な色を正確に校正する唯一の方法は、クロマリンのようなアナログ式校正であった。この方式ではネガフィルムが必要となり、校正作業は熟練を要する労働集約的な作業で相当に時間が掛かった。また、印刷段階でのドットゲインが非常に大きいので、校正用フィルムと印刷版用フィルムと異なる2枚のフィルムを作らなければならず、時間的、コスト的ロスが大きいと同時に、余分な工程変量を起こす要因になっていた。

最近になって、デジタルクロマリンのようなインキジェット方式の連続調の校正システムがアナログ校正に置き換わり始めた。第1の特長は、色・調子の良好な再現性と再現の安定性である。また、カラー再現領域が広いので、スポットカラーを正確に表現できる点も大きなメリットである。
エプソン、ヒューレット・パッカードを始め、各メーカーは、非常に精度の高いカラーマッチング機能を驚くほど安い価格で提供している。そして、プリントサイズが多様で、設備価格が安いのでリモート校正用の校正機としても適している。

実用化されたCTP

フレキソ分野でもCTPが開発、導入され始めている。CTPは、フレキソ印刷の品質レベル向上に大きく貢献すると共に,プリプレス工程の生産期間短縮にも大きな成果をもたらしている。
第1世代のCTPは、既に3年間の稼動実績持っているが、新しい技術にありがちなように設備が大きく高価であった。そのために、その市場は高価な設備費用に見合う仕事量が確保できる製版専業者に限定されていた。しかし、最近紹介されたBarcoやCreoScitexの小型フレキソCTPの価格は安くなり、より多くの印刷会社がCTPを導入していくことはもちろん、デジタルイメージング専門の製版会社へのCTP導入も促進するだろう。

以上のように、既にデザイナから製版専業者、そして印刷会社という生産工程内部のワークフローの中では新しい技術が採用され、生産性向上がなされてきたが、今後は、顧客も含めた各企業間のコミュニケーションを促進するネットワーク化によって、さらなる生産期間短縮が目指されることになる。そして、そのような動きは既に始まっている。

(出典:社団法人日本印刷技術協会 機関誌「JAGATinfo 2001年7月号」より)

2001/06/22 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会