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ハイデルベルグ/「インフォーラム99」を開催

ハイデルベルグ社では去る4月から5月にかけて、ウィスロッホ工場にパッケージ分野の顧客を招き「インフォーラム99」を開催しました。
 このインフォーラム99は刻々変化する市場環境の中で、ハイデルベルグ社が企画するパッケージ印刷に関する国際イベントの一環として開催されたものです。とくに今回は、「これからはインテグレーションの時代」というスローガンを掲げ、パッケージ印刷工程におけるデジタル・インテグレーションの実演を行い、印刷機をデジタル的にもロジスティック的にもパッケージ印刷工程に統合したデモンストレーションを行いました。会場ではパッケージ分野のプロである600人を超える顧客を前にして、パッケージ印刷における最新の技術開発成果が披露され大きな関心を呼びました。今回はこの話題の概要をご報告致します。
 ハイデルベルグ社のパッケージ印刷部門では、何年も前からいくつかの明確なマーケット・トレンドに向けて技術開発が行なわれています。そのトレンドの一つがさらなる多色化傾向です。最近では、6色印刷がスタンダードとなることもめずらしいことではなく、また、ここ2年はスピードマスターCD102シリーズの8色機の販売も好調なことから、ますますこの傾向が拡大するものと見ています。
 もう一つのトレンドは、印刷時間の短縮化です。製薬会社向けの折り畳み箱の場合など、印刷枚数が数千程度の少ロットも珍しくありません。顧客から「ジャスト・イン・タイム」の納入を求められることが多い中、とくに、前準備時間の短縮とノンストップ稼働が大きなキーポイントとなります。
 パッケージ印刷部門の市場セグメントの多くはすでに飽和状態にあります。このことは即ちこの分野の企業は、ますます高まるクライアントからの価格圧力(低価格化)に対応する必要があることを意味しています。したがって、生産のコスト低減効果をさらに高める新技術が強く求められているのです。

これからはインテグレーションの時代

 ここ数年の純生産高の伸びは主に自動化の進展によるものですが、ハイデルベルグ社は、統合生産ソリューションに向けての次の開発ステップを踏み出すにあたり、新世代のCP 2000を提案しています。第一の目的は全体のワークフローの最適化です。これはまず、デジタル・ワークフローに印刷機を組み込むことから始まります。現在進行中のこの流れは、新しいCP 2000コントロールシステムの最先端技術として実現されています。第二の目的は、生産工程全体のロジスティックスの流れに印刷工程を効率的に組み込むことです。ハイデルベルク・ロジスティックスのポイントはモジュール構成により、必要な材料を自動的に組み込み、ノンストップ稼働を可能にするシステムです。このような統合化ソリューションによって、純生産能力をさらに向上させる可能性の大きい分野として、まず、パッケージ印刷が上げられます。
 このインフォーラムでは、6色機スピードマスターCD 102を2台使って、70 x 100 cm版の統合ソリューションの実際例のデモンストレーションを行いました。特に参加者の興味を引いたのは、新しいイメージ・コントロールCPC 24色イメージコントロール(印刷品質管理装置)です。このシステムのデモンストレーションでは、カードボードのデザインが用いられました。印刷は6つの印刷ユニット、コーティング・ユニット1つ、拡張デリバリを装備したスピードマスターCD 102-6+L(X)で行なわれました。分光測色にかかる時間は、70 x 100 cmの印刷用紙の場合わずか25秒以下です。160,000以上の個々の測定ポイントのデータを用いて、プロセスカラーとスペシャルカラーの自動画像分析を行います。その結果を基準値と比較し、色差を認識して表示します。これを元に計算された修正値は、オンラインで印刷機に直接送られ、インキゾーンの調整が行なわれます。測定技術を生産工程に統合することはユーザにとって、準備時間の短縮、ヤレ紙の削減、高精度色再現性で生産が行なえるというメリットがあります。

「ハイデルベルグ・ロジスティックス」を使ったノン・ストッププロダクション

 ハイデルベルク・ロジスティックスによるノン・ストッププロダクションの実演も、新世代CP 2000制御のスピードマスターCD 102を使って行なわれました。このシステムはすでに50台以上の機械とともに納入されています。完全な物流レイアウトにより、生産性が最高20%も改善されることが実証されています。
 生産工程の自動化バックボーンとなるのは、標準化されたシステムパレットです。受注先企業からの同意があればこのシステムを受注時から最終段階まで通して使うことができます。印刷用紙はオートパイル・ローラー・ガイド・システムにより給紙装置に送られます。給紙装置でのパイル交換は人手を介さずに最大生産速度で行なわれます。空になったパイルは自動的に機械のステップの下を通ってデリバリまで運ばれます。

フレキシブル・ダブル・コーティング技術

 スピードマスターCD 102-6+LYYL(X)を使って、ノン・ストッププロダクションの実演のほか、化粧品向けのハイグロス高級パッケージの高品質印刷の実演も行なわれました。印刷には従来のプロセス・オフセットインキが使われました。ダブルコーティング技術により、コーティング剤塗布を組み合わせることが可能になりました。第一のコーティング・ユニットで用紙にプライマーを塗布し、2つの中間ユニットで乾燥させます。スピードマスターCDのこの乾燥セクションは、この用紙クラスでは最も長いものです。第二のコーティング・ユニットでは、用紙をUVコーティングで完全にコーティングします。このコーティングニスを硬化させるためのUV硬化は、最後のユニット、つまりデリバリの最後で行なわれます。これは下地の上のUVコーティング剤のレベリング向上を計り、これにより高品質のつやが得られるからです。
 今回はIST Metz GmbH(ドイツ、ニュルティンゲン)のUVシステムを使用しました。同社はまた、会場で来場者向けにUV硬化に関する情報提供も行ないました。

スピードマスターCD 102を使ったオフライン・コーティング

 70x100cmクラスにおけるオフラインコーティングを行なうスピードマスターCD 102の実演は、会場でパッケージ印刷関係者の注目を集めていました。この印刷機は、コーティング・ユニットと中間ユニット(ドライヤーユニット)を合計4つまで、どのような組み合わせも可能ですので、顧客の要求にきめ細かに対応することができます。最大印刷速度は15,000枚/時です。オフライン操作が行なえることで、ハイ・グロスUVニス、マットニスと(つや)ニスの組み合わせ、プライマーとUVニス、プライマーと(金ニス)などさまざまな種類の塗布が行なえます。
 プログラムの最後には、印刷ユニット間の非接触用紙搬送用のエア・トランスファ・システム、インキ・ツボへのインキ自動供給および監視を行なうインキラインシステムといった、新しいスピードマスターCD 102の革新技術のデモンストレーションが行なわれました。また、インテリジェントなカラー・ファスト・ソリューション・「カラーブースター」の紹介も行なわれました。これはCP 2000制御コントロール・システムに組み込まれたソフトウェア・ソリューションで、インキングユニットの反応をスピードアップするものです。印刷用紙の両面にパウダーを噴霧することによりパウダー消費量と拡散を大幅に押さえるエグザクトロニック・デュオ・プラス・「サンドイッチスプレー」システム、および新しいモジュール式ブランケット洗浄装置も展示されました。

印刷室におけるカラー管理

 インフォーラムの最後は、プリプレスとプレスとのリンク、および将来への展望に関する情報の発表で締めくくられました。印刷室にいながらにしてカラー管理を行なうことを目指した研究が現在進行中です。ご存じのように、典型的なカラー印刷は、顧客が要望をまとめる → カラー・オリジナルを作成する → プリプレスでさまざまな出力ユニットを使用する → 印刷機で最終的な製品を仕上げるという手順で行なわれます。しかし、これらの工程においては、カラー効果が一貫して一定であるとは言えません。インフォーラムではこの問題を解決する当社製品の最新技術を具体例を使ってご紹介しました。
 プレゼンテーションの中で、ワークフロー全体にわたり実演が行なわれました。まず、参加者の写真を撮影し、これをスキャンニングし、プリプレスで処理してCD-ROMパッケージに挿入しました。
第一の結果としてデジタル・プルーフが出力されました。次に、トレンドセッター上で、実際に版を作成する工程を目の前でご紹介しました。この版を使って、スピードマスターCD 102-6+LXで印刷を行ないました。この印刷機には、プリプレス・インターフェースCPC32により転送されたデジタル・データがプリセットされていました。イメージ・コントロールCPC24を使ってカラー修正を行ない、印刷準備が完了しました。印刷された用紙とデジタルプルーフを比較した参加者の納得度は確かなものでした。
 この工程にはかなりの準備作業が必要でした。準備段階においては、まずテストフォ―ムを用いてプレス側とプリプレス側の調整を行ないました。当社ではこれを行なうプリント・カラー・マネジメントという製品をまもなく発売する予定です。この製品には、特殊なテストフォームを印刷機で印刷し、これをCPC 24イメージ・コントロールで測定する機能が含まれています。プリント・カラー・マネジメントは、このデータからICC出力プロファイルを作成します。

ご期待下さい。日本での初公開

 来る9月20日より開催されますIGAS 99におきまして前述のハイデルベルグのオフラインコータCD102LXYを初公開致します。また、IGAS 99終了後、東京および大阪ショールームにてインフォーラムの日本版としてパッケージ印刷へのソリューションショウを予定しております。ご期待下さい。

1999/08/16 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会