平台校正は大都市圏の「特産物」
「平台校正のこだわりをもっているのは,主に東京・大阪などの大都市圏」であり,地方にあってDTP導入の早かった直請け型の印刷会社などは,かなり以前から,カラープリンタでカラー出力したものを色校正として提出している。これで満足が得られない場合に,本機校正を行うのが一般的な色校正の流れになっている。
CTPの普及により,ますますスピードが要求されるようになり,スケジュールが読みづらい色校正工程が大きなボトルネックになってきた。このため,校正刷りで校了をとることに固執しすぎると,CTPのスピードが十分に生かされないことにもなってくる。
印刷側では品質とコスト面でいくつかの選択肢を用意し,品質要求に応じて工程やカラープリンタ,DDCPなどの使い分けを考えると良いだろう。
カラーマネジメント導入のステップ
パソコン用のカラープリンタは品質が大幅に向上してきた1995年ころから,カラーカンプ用途で使われ始めるようになった。さらにCTPが出現してからは,品質的には不安定な平台校正を,使いたくないという気運が高まってきた。印刷インキと本紙でなくても,印刷物に非常に近いハードコピーを得られるのが,最近のパソコン用のカラープリンタであり,両者の色の見えを合わせるのは,カラーマネジメント技術である。
そこで,デジタルプルーフを実現するには,カラーマネジメント技術を導入して,最終的には用紙別の印刷(本機)のカラープロファイルを作成し,カラープリンタ,カラーモニタとの間で色の見えをそろえることが必要になる。また,色を見るための視環境を整備するために,印刷色評価用の照明を取り入れることも忘れてはいけない。以下にそのステップを示す。
@新たな機械導入時には,カラーマネジメント対応可能な仕様を選択する。
Aキャリブレーション機能付きCRTモニタ,分光光度計,CMSツールなどを導入。
B視環境を整備。現場や営業の照明に印刷色評価用蛍光灯などを使用して,標準化する。
Cモニタやカラー出力機を安定化(出力装置のキャリブレーション)。
D印刷機の整備基準を明確にして計数管理(印刷機械のキャリブレーション)。
E社内標準印刷物を作成。Japan Colorやその他の業界標準印刷物を利用する方法もある。
F標準印刷物のCIELab値測定(分光光度計など)。
G測定結果から社内標準カラープロファイル作成。
H各出力装置にこのプロファイルを設定し,色の見えを確認。
Iこの作業を何度か繰り返して,色の見えを安定化。
J複数の機械の特性がそろうように,地道な努力を継続。
JAGAT研究調査部 参事 相馬謙一
(詳しい内容はプリンターズサークル5月号の特集「平台校正と決別するには」をご覧ください)
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2000/04/22 00:00:00