ビジュアル・コントロールはアートではなく科学
有限会社 湾岸道路 苅田和房
ビジュアルとは,商業印刷物のデザイン全体と定義しておく。なぜ,あえて『デザイン』と呼ばないのか,明確にしておく必要がある。
商業印刷物には,カタログやチラシ,通販などのダイレクト・レスポンス・メディア,メーカーの製品パンフレットなどがある。しかし,そこに掲載される商品が何であろうとも,およそ商業印刷物である以上,商品やサービスを訴求するためのメディアであり,ツールであることが目的であり,それがすべてである。つまり,デザインのためのデザインは一切不必要である点から,デザインというよりはビジュアルというほうが適切だといえる。
また,そうしたビジュアルは,既に科学的に検証され,体系立てられた方法論が確立されている。そう認識し,基礎的なテクニックを習得することの重要性を知るべきである。「ビジュアルに占めるアートの割合は最大でも20%」という説があるほどで,従ってビジュアルはアートではなく科学である,と断言しても過言ではない。少なくとも,主観的な領域や感性の問題だなどと,逃げ道をこしらえているようでは,プロの名が廃る。
デザイナーの仕事のことを,よくクリエイティブともいうが,これも甚だ怪しい。より創造的にプランニングされて初めて,クリエイティブな仕事と評価できるのである。やはり,ビジュアル・クリエイティブとはいうが,デザイン・クリエイティブとはあまりいわないのが何よりの証拠であろう。
そこで,本項では,あくまでも費用対効果において効果的なビジュアルを提案し作成することと,それを的確にチェックすることのできるノウハウを示すことにしよう。これらのディレクションおよびマネジメントの業務を総括して,「ビジュアル・コントロール」と名付けている。
ビジュアル基本3原則に執着せよ!
1.リーチ(開封)率を高める工夫を施す
サイレント・マジョリティ(無反応層)の多くは積極的な拒否層ではなく,その情報を認知していないことが多い。そこで,ターゲットにいかに情報を認知してもらえるか,というリーチ率の向上に意を払わなければ,高いレスポンスを得ることはできない。情報に関して興味・関心を抱かせ,こちらが伝えたいメッセージまで到達させるために,よく見たいと思わせる工夫が必要なのである。
2.広告内容(主旨)を明快に示す
仮に商品の写真や価格,電話番号などが記載されていても,それがその場で注文のできるダイレクトレスポンス広告であることが,顧客にわかりにくいものが少なくない。「欲しければ買えば?」と言わんばかりの乱暴なビジュアルが後を絶たない。
まず,表紙やタイトルの部分で,広告の趣旨を「宣誓」することが必要である。
3.アクション(注文)へのフックを作る
商品の申込方法の案内や注文ハガキをつけることのみにとどまらず,顧客が注文しやすく,その気になるようなスムースな流れと,矢印などを使用したデザイン処理によって,注文行動へと誘導する視覚的なポイントを作る必要がある。これを,ビジュアルにおけるアクションへのフックと呼ぶ。フックが不十分だと不親切な紙面となり,顧客の購買意欲が減退してしまうため,アクションが顕在化する確率を落とし,レスポンスに大きな影響を及ぼすのである。
(プリンターズサークル6月号「売れるカタログ/DM企画制作法」より抜粋。詳しい内容は記事をご覧ください)
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2000/06/03 00:00:00