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DTP豆知識(200007)出版印刷物の制作と、知的財産権

本コーナーでは,DTPエキスパートを目指すうえで理解しておきたいことを模擬試験形式で解説します。JAGAT認証DTPエキスパート 田邊忠氏に,問題のポイントや重要点を解説していただきます。試験勉強のご参考に,またはDTPに必要な知識の確認にご活用ください。
次回,第14期DTPエキスパート認証試験は2000年8月20日に行われます。詳細はDTPエキスパートのページをご覧ください。



問1 出版印刷物の制作

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

 書籍は基本的には,全紙サイズの印刷用紙を対象に,複数のページを[A:(1)版付け (2)面付け (3)天付け (4)糊つけ]して版を作り,両面印刷し,[B:(1)別丁 (2)背票 (3)折丁 (4)束見本]を作って,それをそろえて綴じるという工程で制作する。[A]と[B]は相互に関連しており,また製本は机上では把握しにくいため,企画段階で[C:(1)背票 (2)ミニチュア (3)カンプ (4)束見本]を作り,書籍の大きさや,印刷方式,用紙の条件などを決めなければならない。

 用紙は,書籍が仕上がった状態で紙の目が[D:(1)裏目 (2)ヨコ目 (3)タテ目 (4)ナナ目]であると,ページがめくりにくくなるので避けなければならない。紙の目と判型と印刷機は相互に関連している。部数が多い印刷は[E:(1)全判より半裁 (2)より大きい判 (3)オンデマンド印刷 (4)軽オフ]が有利だが,印刷サイズが倍の場合,適する紙の目は[F:(1)反対になる (2)元と同じである (3)ヨコになる (4)タテになる]。巻き取り式の印刷機では[G:(1)紙の目が自由に選べる (2)半裁以上はない (3)片面しか刷れない (4)印刷サイズで紙の目が決まる]ことに注意する。

 用紙サイズを決める時には,印刷上,必要な[H:(1)くわえ代 (2)送り代 (3)待ち代 (4)重ね代]や,製本の裁ち代,無線綴じの場合の[I:(1)ステイプル (2)ミーリング (3)ウェルダ (4)糊]部分などを考慮する必要があるので,版面に余裕を加えた用紙を用いる。例えば,A系列の書籍には一般に[J:(1)菊 (2)四六 (3)美濃 (4)三四]判を使用する。

 造本設計に当たっては,表紙の大きさ/厚さ/背幅などを考慮した[K:(1)装丁 (2)組版レイアウト設計 (3)折丁 (4)サムネイル],本文のページサイズや開き方を考慮した[L:(1)装丁 (2)組版レイアウト設計 (3)折丁 (4)サムネイル]などが必要である。



    【模範解答】
     A(2),B(3),C(4),D(2),E(2),F(1),G(4),H(1),I(2),J(1), K(1),L(2)


    【出題のポイント】
     出版印刷物の制作について,総合的な知識を問う問題である。書籍の制作工程を通じて,企画から用紙の特性とサイズ選択,紙の目と印刷方式の関係,造本設計の知識を確認する。

    【問題解説】
     全紙サイズには,印刷機に使われるA判原紙とB判原紙がある。A判原紙はA全(A列本判)と呼ばれ,サイズは880mm×625mm,B判原紙はB全(B列本判),1085mm×765mmである。

     印刷時には,この全紙に複数のページを面付けするが,輪転機の場合には印刷機の機種によって,面付けの方法が変わる。厚手の本で中綴じの場合には,ドブの幅を標準(3mm)より大きくとること,中心に近い折りでは版面の位置を中央に寄せることなどにも注意して,面付けを行う。
     全紙に対してページの配置を確認する折丁は,製本方式に従って紙を折り,ページ,ノンブルを振る。印刷物を確認するには,実際の紙厚に合った用紙を使い,製本方式も実際と同じにして,束見本を作る。これを元にして,本の背の厚さ,書籍の大きさ,印刷方式,用紙の条件を確認する。

     印刷物工程で重要なことは,仕上がり状態での紙の目と,印刷機で使用する用紙の紙の目の関係である。書籍の場合は紙の目がヨコ目にならないようにする。平台印刷機の場合,全紙での紙の目と,仕上がり状態での紙の目の関係は表1のようになる。巻き取り式の印刷機(輪転方式)では,印刷サイズで紙の目が決まることに注意する。

     印刷機では,印刷用紙の端をつかんで用紙を搬送する。ここには印刷ができないので,これを印刷上必要なくわえ代として,用紙サイズの決定の際,考慮する。

     また,製本時の裁ち代も重要である。A全紙の用紙サイズは図1のように決まっている。図1はこちら
    無線綴じの場合には,製本時にノドの部分を3mm断裁して接着剤で固めるので,見開きではセンターの左右に,3mmずつのミーリング代が必要になる。ミーリング代の設定も面付けソフトで行う。

     造本設計で重要な要素は,表紙の大きさ,厚さ,背丁の幅などを考慮して装丁を決めることである。装丁はデザインの要素も大きい。また,版面は仕上がり寸法が大きくなるほど大きくとれるが,同時に余白の比率も大きくなる。版面レイアウト設計は日本語組版とともに,書籍の読みやすさを決める重要な要素である。


問2 知的財産権

 次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

 知的財産権は,特許権,商標権,実用新案件,意匠権,著作権などを含む。いわゆる工業所有権は,申請して認可されると権利が登録されるもので,[A:(1)特許権 (2)商標権 (3)意匠権 (4)著作権]は含まれない。日本の著作権は著作物が創作された時点で発生する[B:(1)方式主義 (2)無方式主義 (3)判例主義 (4)自然主義]であり,保護期間は[C:(1)創作後20年間 (2)登録後20年間 (3)認定後30年間 (4)著作者の死後50年まで]が原則である。

 著作権は譲渡が可能であるが,第三者が著作物を使用する場合には,原則として[D:(1)著作者 (2)譲渡されたところ (3)著作者か譲渡されたところのいずれか (4)著作者と譲渡されたところ両方]の許諾が必要である。

 人の著作で著作権の対象にならないのは,[E:(1)コンピュータプログラム (2)私的小説 (3)アマチュア写真 (4)裁判判例]である。一方,[F:(1)新聞の時事報道記事 (2)写植機の文字 (3)CGで作られたデジタル画像 (4)製版フィルムや版下類]には著作権が発生する。また,ロゴマーク作成で著作権侵害となるのは[G:(1)2社の写植文字を組み合わせた (2)写植文字見本帳からコピー改変した (3)書家の文字をコピー改変した (4)DTPで文字をアウトライン化して変形した]場合である。

 演奏や放送など,著作物の伝達に欠かせない役割を担う人々には,著作権とは別に[H:(1)著作財産権 (2)著作人格権 (3)著作隣接権 (4)有線放送権]が認められている。この権利は印刷事業者には[I:(1)認められている (2)適用されないが著作権者になれる (3)認められたことがない (4)申請により認められる]。

 無方式主義の著作物が方式主義の国でも保護されるように,万国著作権条約で[J:(1)TM (2)SM (3) (C)
  (4) (R)
]マークが決められた。従って,このマークは日本国内での権利主張ではない。商標法の登録商標であることを表示するのは[K:(1)TM (2)SM (3)(C) (4) (R)]マークだが,登録された商標は,このマークがなくても保護が適用される。


    【模範解答】
    A(4),B(2),C(4),D(4),E(4),F(3),G(3),H(3),I(3),J(3), K(4)


    【出題のポイント】
     印刷関連では,知的財産権,工業所有権などを扱うことがあまりなかった。しかし,これらの権利はデータベース,マルチメディアのコンテンツ管理では重要である。知的財産権,工業所有権の規定,権利範囲と,それぞれの関係を整理しておくこと。また,それぞれの権利を標示するマークも知っておくこと。



    【問題解説】
     知的財産権は社会に貢献する技術,アイデアが対象になる。これらの知的生産物を生産した人,企業が,それらを財産として所有する権利である。知的財産権と工業所有権の関係は表2のとおりである。

     知的財産権に含まれる特許権,商標権,実用新案権,意匠権,著作権のうち,申請,認可を経て,特許庁に権利が登録される特許権,商標権,実用新案権,意匠権は,工業所有権に分類される。一方,著作権は,工業所有権に含まれない。著作権は登録しなくても,著作物が完成した時点で自動的に権利が発生する無方式主義である。

     実用新案権には,1994年1月1日に施行された新しい実用新案権と,それ以前の実用新案権(旧)がある。新しい実用新案権は,形式的な審議だけを行い,出願から約6カ月で登録される無審査主義である。

     工業所有権の保護期間は特許権,商標権,実用新案権,意匠権のそれぞれで異なるが,いずれの工業所有権に比べても,著作権の保護期間は長く,著作者の死後50年までである。

     著作権は他者への譲渡が可能であるが,さらに第三者がその著作物を使用する場合には,元の著作者とその権利を譲渡された者の両方に,使用の許諾を得る必要がある。

     特許権には,これを貸与する場合,通常実施権と専用実施権がある。通常実施権では借り主がその特許発明を実施できるだけでなく,貸与した元来の特許権者も自らの特許発明を実施できる。一方,専用実施権は契約の範囲内で借り主が実施権を占有しており,借り主の許諾なしでは,元来の特許権者も自らの特許発明を実施できない。

     著作権法で規定される著作権が対象にしているのは,小説,脚本,論文,その他の言語による著作物,または,音楽,絵画,写真,画像,学術的な図版,模型である。さらに,コンピュータプログラム,データベースも含まれる。著作権は,その権利を明確にするために文化庁に登録できる。また,コンピュータプログラムは財団法人ソフトウエア情報センターに登録する。

     演奏,放送などで著作物の伝達を担う人々には,著作権とは別に著作隣接権が認められている。ここには楽曲のアレンジ,演劇を上演するには欠かせない演出などが含まれる。ただし,印刷業者が印刷のために種々の加工を加えても,それを著作隣接権として認めた判例がない。ちなみに,著作人格権は著作権とともに認められている。著作人格権の内容は,公表権,氏名表示権,同一性保持権である。

     日本の特許権は登録しなくても,著作物が完成した時点で権利が発生する無方式主義であるが,特許権にも登録などが必要な方式主義の国がある。

     万国著作権条約は,無方式主義の国で認められた著作権と,方式主義の国で認められた著作権を調整している。同時に,万国著作権条約では,著作権物に (C)マークと著作権者,最初の発行年を一体に標示すれば,方式主義の国でも著作権が認められる(図2)

     商標権に関する (R)マークは,その商標が登録済みであることを,TMマークは登録申請中であることを示す。2000年1月1日に施行された商標改正法では,出願された商標がすべて公開され,出願中でまだ登録されていない商標でも,無断使用する他人に金銭的請求ができるようになった。






(出典:月刊プリンターズサークル連載 2000年07月号記事より)

2000/07/24 00:00:00


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