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オカムラ印刷株式会社

オカムラ印刷
【会社概要】

 

住所

 

東京都中央区(本社)/東京都江戸川区(工場)
年商

 

13億円
従業員数

 

40名
主な仕事内容

 

ポスター・カタログを中心としたカラーの商業印刷物が中心。色にはうるさい仕事が多い。
設備概要

 

プリプレスはMacDTP,DDCPはスピードプルーフ
最近,アキヤマの両面8色機(半裁)を導入

【CTPの概要】

 

導入機種

 

Luxel T-9000CTP(1台),T-6000CTP(1台)
導入時期

 

1999年11月,2000年2月より立ち上げ(1台目)
フロントシステム

 

FACILIS(面付け),CelebraNT RIP
使用版材

 

サーマルポジ(富士フイルム)
出力版数

 

90〜100版/日/2台(半裁の方が多い)

1.CTP導入のねらい
競争力の強化と印刷工場の生産性向上
・DTPシステムが完成し,次の展開を考えたときに,わざわざフィルムを出力するのではなく,直接プレートを出そうというのは当然の帰結であり,短期的な収支計算ではなく,長期的な方向性として正しいと確信したので導入に踏み切った。もっと高性能で低価格の機械が欲しいとか,CTPプレートの価格が下がってからなどと待っていては,いつまでたっても導入できないので,トップの決断が必要。CTPへ速やかに移行するために,アナログの刷版設備を廃棄した。その結果,2〜3ヶ月でCTPが完全に立ち上がった。現在,在版フィルム等の仕事は刷版外注している。
導入した結果,CTPは社内改革や会社の体質強化につながると実感している。

・短期的に成果が出ると見込んだのは,印刷工場の生産性向上(見当精度の向上とゴミつきや焼きボケがないため)。特に小ロットの印刷物が多いので高い効果が予測された。さらにより一層CTPの効果を出すために,最近両面8色機の枚葉印刷機を導入。一度に8枚のプレートの供給や高い見当精度が要求されるため,CTP導入が前提といっても過言ではない。 版の供給が追いつかなくなることが予測されたので,2台目のCTPを導入。ほぼねらいどおり進展している。

2.CTPのワークフロー
制作部(中央区)と工場(江戸川区)の2拠点での運用。専用回線(キャリアネット)で接続されている。RIP(CelebraNT RIP)はどちらの拠点にも設置。面付けはFACILISを使用(2拠点とも)。
現在の運用パターンは3種類
(1)制作部からDTPソフトのネイティブデータを送り,工場で面付け,RIP出力。(最も多い)
(2)制作部からPSファイルを送り,工場で面付け,RIP出力。
(3)制作部で面付け,RIPまで行い,RIP済みのビットマップデータを送り,工場では出力のみ(通信転送時の推奨パターンだが利用頻度は最も低い)。

・セオリーでは,信頼性の面からRIP済みデータを転送するのであろうが,どの仕事をどの順番で印刷するのか,半裁で刷るか全判で刷るか,絵柄をどう面付けするかといった判断は,印刷現場で行いたい。
・現在,DTP部隊がオーバーワーク気味なので,なるべくCTP側に作業を分担してほしい。
・RIP済みデータは直しがほとんど出来ないので,管理もしていない。
・印刷工場にRIPとCTPを設置するので,何かあったときに素早く対処するためには,かなりのDTPの知識と経験が必要となる。DTPの延長という考え方でCTPを導入した。
・一方で,DTPのフィルム面付けと刷版で求められる面付けは大きく異なる。印刷機や製本加工を知らないと出来ないので,DTPオペレータへの教育は大変だった。
・通信利用は,現段階では社内便(車で10分ほどの距離)の補助的役割。印刷見本は社内便で送っている。ちょっとした直しが入ったときや,夜の間にデータを転送して朝から印刷したいときに通信を利用。通信で大容量データを送ると,時間がかかるし信頼性ももう一つ。将来的には,製版部隊が最終面付けまで行い,RIP済みデータを転送するという構想もある。

3.運用のポイント(色校と検版)
現状色校のパターンは3種類
(1)初校:フィルム出力+平台校正(外注),再校or念校:スピードプルーフ,校了:CTP出力。従来のやり方をほとんどそのまま踏襲。納期は変わらず,フィルム出力の回数が減る分の修正代だけ安くなる。(80%)
(2)スピードプルーフで責了 (10%)
(3)初校:CTP出力+平台校正(プレート供給で外注)or 工場で本機校正
色は合うがコストが下がらない。場合によってはコストアップも。

・DDCP責了は発注側も受注側もお互いにメリットはあるのだが,お客さんの意識が変わらないと移行は難しい。先方の担当者としては,新しいやり方に変えてリスクを負いたくない。
・フィルムの場合とCTPの場合とで,なるべく色が合うように調整した。ひとつは印刷オペレータに違いを意識してコントロールしてもらう。もうひとつは,校正刷りをCTPの再現になるべく合わせる(CTPのほうが色が浅く出る)。ただし,CTPの出力カーブを調整して,小点をとばすようなことはしていない。品質向上というCTPの良さをうち消してしまうので。これまで,これによるトラブルはほとんどない。何故なら校正よりも本刷りのほうがきれいに仕上がるので。ただし,CTPで小ロットの見本刷りを行い,クライアントが気に入って,大部数の増刷をかけたときに,フィルム出力+オフ輪で印刷したときに,細かなディテールが出ずにクレームになったことはあった。
検版
・CEPS系のWSを介さずDTPから直接RIPして出力しているためか,DTPの普及時と同じような出力トラブル(罫線が太る,細る,画像の墨版しか出ない等多岐に渡る)が多い。そのため検版は必要不可欠。検版システムの導入は,工程が1つ増えるので避けたい。現状は,刷りだしの紙と印刷見本とを重ね合わせて目視でチェックしている。
プレートの目視検版は見づらいし,細かなチェックができないのでやっていない。モニタチェックの環境も整えてあるが,作業性と正確なチェックという意味では,現状のやり方(刷りだしでの比較)のほうがよい。

2000/10/18 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会